ソ連時代には「2+2=5」の標語が掲げられていたロシアの首都モスクワでは、市民はいつも“ビッグ・ブラザー”に見守られているらしい。
モスクワ市は2015年以来、通信事業者から利用者の位置データを取得するために8億円余りを費やしてきたことが既に報道されているが、モスクワ市当局によると、さらにタクシーや地下鉄、携帯電話のデータ、監視カメラ映像などからも市民の移動経路を追跡しているという。
公共交通機関の需要を特定するためにタクシーのデータが分析され、交通渋滞の評価には監視カメラの映像が使用されている。通勤客の個人データと紐付けられた地下鉄カード(JRのSuicaのようなもの)の利用情報はすべてモスクワ市役所のデータベースに蓄積されており、交通網の全体像を把握することができる。
市はこれらのビッグデータは交通網を改善するためだけに使われており、個人を特定するようなデータは含まれていないとしているが、専門家からは懸念の声が上がっている。自由なインターネットとユーザーのデジタル権利の保護を目的に設立されたNGO団体Roskomsvobodaの創設者は、「これらのシステムは中国をモデルにしており、監視に使用したい時は監視にも使用されるだろう」と言う。「法執行機関であれ役人であれ、誰も悪用できないシステムであるべきだ。それは公衆の管理下に置かれるべきだ。そうなって初めて、統計に資する影響について語ることができる」。
そもそもロシアの現行の法律では非個人データの概念はなく、このようにビッグデータを利用すること自体がグレーゾーンなのだという。ロシア国会では今年の初めに、厳格なプライバシー規制法案を通過させる予定だったが、法案の採択は夏以降に延期されることになった。
画像とソース引用:『themoscowtimes.com』『pixabay.com』より
https://www.themoscowtimes.com/2019/07/10/moscow-tracks-commuters-movements-in-china-style-surveillance-scheme-a66349[リンク]
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