2人目が無料になる『beeHive』の1FOR1サービスでお得度を検証してみた!

  by 古川 智規  Tags :  

シンガポールのオネストビーが提供する「beeHibe(ビーハイブ)」が「1FOR1」サービスを開始したので実証取材した。
年会費4980円(税込み)の会員になり加盟店レストランに二人で行くと、指定メニューに限り一人分の料金でもう一人分が無料で提供されるというもの。
記者が顧客の立場で、オネストビーやレストランの担当者にそれぞれ話を聞いて三者にどのようなメリットがあるのかを含めて取材した。

1FOR1とは、1つ買うともう1個プレゼントという意味の東南アジアではポピュラーな販売方法である。
写真はフィリピンのショッピングモールのものだが、「BUY1 GET1 FREE」と書かれていて1個買うともう1個が無料という意味である。雑貨に限らず食品でも果物でも飲み物でも、この類のプロモーションは非常に多い。
日本ではこういう場合、半額にするケースが多いと思われる。結果としては名実ともに半額にするか、実質半額としてもう1個プレゼントするかという違いだ。
その違いは後述するとして、実際の流れをみてみる。

アプリをスマホにダウンロードしてお店を探すところから始める。デリバリーサービスはお買い物代行サービスだが、これは別の機会に紹介する。
現状では東京都23区内におよそ100店舗あまりが加盟店として登録されている。事前に検索して探すことも可能だが、GPSで現在地から探すことも可能だ。今回は銀座付近で探すことにした。

お店に目星をつけたら提供されるメニューや料金、条件を確認して必要であれば予約する。
今回選んだのは銀座のイタリアンレストラン・イルピノーロ銀座。このお店の条件はシェフのおまかせコース(12100円・税込み)がクーポンの対象で、電話予約が必修だ。メニューはおまかせなので明示されていない。フルコースなのでお楽しみといったところか。

さて、予約をしてお店に向かう。
ここからは、提供された料理をすべて撮影したので、料理をご覧いただきながらこのサービスについて話を聞いてみたのでご確認いただきたい。
この日の料理は谷口晋シェフの作品。

さて、本サービスを考える上で下世話な話だが果たして年会費4980円の元は取れるのかということについて検証したい。
およそ100店舗で使えるが、1年間に利用できるのは1店舗あたり4回まで。つまりフルにすべての飲食店を利用したと仮定すると年間400回は使える計算になる。もっとも単価の高い高級レストランばかりではないので一発で元が取れるとは限らないが1年あればその点は大丈夫だろう。
今回の取材では12100円のコース料理を2名で食べて1名が無料になるので、12100円お得になり一発で元が取れた計算が成り立つ。

利用者の立場からはお得な仕組みであることがわかった。ではサービスを運営するオネストビーのビジネスモデルはどうなっているのか。
同社の菱山翔平氏に聞いた。

「私達の収益は大きく分けて2通りです。会員の皆様からいただく年会費と、利用された会員数に応じて加盟店様からいただく利用料金です。会員の皆様にはもちろんですが、加盟店様にも新しいお客様との接点が増え、リピーターになっていただければ外食産業の活性化に寄与できると考えています」

つまり料理を提供する側、される側双方からの収益で成り立ち、利用者にはお得というメリットを、加盟店には送客というメリットを提供していると考えることができる。

一方、実質的に半額で料理を提供する側のお店はどんなメリットがあるのだろうか。
同店を運営するユニマットキャラバンの担当者である塩川淳史氏に話を聞いた。

「確かに1回の利用の都度を考えると実質半額で提供することになりますが、普段お越しにならないお客様が加盟店リストを見てお越しになる機会を得ます。そして、必ず2名以上でお越しになりますのでお連れ様も含めて新しいお客様と出会う接点を作ることができます。こういう機会は長い目で見れば実質半額で提供する以上のメリットがあると考えています」

お店としては単純な損得勘定ではなく、広く利用者と接点ができる点が大きなメリットと考えているようだ。

さて商品を半額で提供するのと、1名分の料金でもう1名分を無料にするのと何がどう違うのだろうか。
半額にしてしまうと消費者としてはお得感がダイレクトに伝わり、購買意欲は増すと思われる。ただし商品の価値(価格や値段)を下げてしまうデメリットがある。
一方、1つ買うと1つ無料という方式では商品の価値そのものは下げない。よって売る方にとってはブランドや値札を下げることなく購買意欲を刺激することができるメリットがある。

要は消費者の考え方や文化の違いなのかもしれないが、現在の日本はデフレ社会なので価格は維持したままお得感を出す1FOR1は一つの選択肢としては有用なのかもしれない。

さらに、2名以上でないと利用できないので友人やパートナー、あるいは商用にもアイデア次第で賢い使い方ができるかもしれない。
例えば、割り勘で一人5000円程度の食事をしようと考えていたときに本サービスを利用すると10000円程度の食事にアップグレードすることができる。

商用でもワンランク上の食事を半分の予算で共にすることができ、メリットはお得になった金額以上になるかもしれない。
記者が食事をしていたときに別のテーブルを予約したお客さんは本サービス利用者だったようだ。浮いたお金で買い物をするのもよし、ワンランク上のワインを注文するのもよし、心にもお財布にも余裕が広がることだろう。

前出の菱山氏によると、現在は東京23区内だけだが今後は全国に加盟店舗を増やしていきたいとのことだった。
この日のコース料理は、肉や魚は言うまでもないが、付け合せの野菜が特筆に値するほど美味しく大満足だったことを付け加えておきたい。
3月までは年会費半額のキャンペーン中のようなので、考え方とライフスタイルに合うようであれば、利用を考えてみてはいかがだろうか。

※写真は全て記者撮影

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