▲“成光”の半チャンラーメン
全国のラーメンを食べ歩くラーメンミュージシャン、井手隊長です。ラーメンライターという職業柄、新店の食べ歩きはもちろんやっているが、このところ“町中華”の食べ歩きを改めてやっている。町中華とは町中に佇む個人経営の中華屋さんのこと。こういったお店は、店主の高齢化が進み、後継者探しも難しく、そもそも自分の代でお店を閉めようと思っているところも多数ある。昭和から平成になり、今年は次の元号にも変わる。“町中華”が日本の懐かしさの象徴となってしまう日も近いかもしれず、居ても立っても居られなくなり、改めて食べ回っているのだ。
千代田区神保町には町中華が多い。会社も多く、大学や専門学校も集中していることもあって、サラリーマンや学生を対象にしたリーズナブルなお店が多いのだ。町中華もこのエリアでは大手のお店に負けることなくいくつかは残っている。
そんな神保町の町中華の中でも目立った存在が“半チャンラーメン”。ラーメンに半チャーハンをセットにしたメニューで、お腹を空かせたサラリーマンや学生の味方。ラーメンファンの間では神保町は「半チャンラーメンの聖地」として知られ、“神保町半チャンラーメン御三家”なんてものもある。
この御三家の象徴的なお店“さぶちゃん”が2017年11月に閉店した。諸説あるが、店主の木下三郎さん(さぶちゃん)が「ラーメンとチャーハンを両方食べたい」というお客さんのリクエストに応えたのが、半チャンラーメン誕生のきっかけだったといわれているのだ。
“さぶちゃん”が閉店してしまった今、御三家で食べられるのは“伊峡”“成光”の2店。
1966年創業の“伊峡”はとにかくリーズナブル。ラーメンが430円、半チャンラーメンは何と630円だ。
▲“伊峡”のラーメン
▲“伊峡”の半チャーハン
黒電話に壁にかかったラジオ。ハンパないノスタルジックな空間で、醤油のキリッと効いたラーメンとちょっとコショウ辛いチャーハンをいただく。まさに昭和な空間。
そして筆者が特にオススメしたい半チャンラーメンは“成光”だ。
▲“成光”の半チャンラーメン
ラーメンのスープは鶏ガラメインで少し酸味の効いた醤油スープで、縮れ麺がよく絡む。チャーハンはラーメンと一緒に食べられることを前提に味付けはあっさりめに設計してある。まさにラーメンのスープに合うチャーハンで、スープ⇔チャーハンの行ったり来たりがたまらない。
もう一軒、神保町のチャーハンでオススメしたいお店がある。“康楽”だ。
こちらも“伊峡”と同じ1966年創業の老舗。古いが何となく清潔感があって、安くて何食っても旨い。
▲“康楽”のうまにそばと半チャーハンセット
オススメは“うまにそばと半チャーハンセット”。味が濃すぎず、油ギトギト感がない。パラっとしたチャーハンで細切れチャーシューのギュッと詰まった旨味が最高。ここは「半チャンラーメン」という名前を使ってないだけで、神保町半チャンラーメン御三家に入れていいレベルだと思う。
ぜひ神保町で昭和ノスタルジックな半チャンラーメンを味わってみよう。
伊峡
東京都千代田区神田神保町1-4
03-3294-0279
中華そば 成光
東京都千代田区神田神保町2-23
03-3261-6030
康楽
東京都千代田区神田神保町1-35
03-3291-7596