大阪の某ヘルス店が行っている“ホンキョー恐喝”の手口とは?

  by 丸野裕行  Tags :  

どもどもども、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行でっす!

今では条例などで激減したファッションヘルスやピンサロなどの風俗店。しかし時代は大不況、今まで出会ったこともないような読者モデル級の女が風俗業界に身を沈めています。ホテヘルが主流になり、集客も売り上げも下火になった箱モノ風俗では、時に客からサービス料金以外に金を巻き上げる場合があります。それが「本番強要」への罰金です。

今回は、山下健介氏(仮名/31歳/大阪市/元風俗店店員)のちょっと変わった、許しがたい恐喝の手口について取材しましたので、こちらをお話したいと思います。

誘う手口は姫ごとに数パターン

ヘルスなどを利用したことのある人間なら、店内の《本番行為を強要し、それに到った場合は、罰金一〇〇万円いただきます》という注意書きを見かけたことがあるはずだ。なにを隠そう、大阪某所の風俗店に勤めるオレは、その「本番強要」を利用し、大きなシノギとしている。

裸の女が目の前で挿入以外の性的なサービスを行う風俗店。そんな女たちに、男が「入れたくなる」と思うのはごく自然な生理現象。その欲望につけ込み、店ぐるみで恐喝をおこなうのだ。

箱モノ風俗店が大阪府の条例に追いやられはじめた数年前。風俗店の店長として、仕事することになった。そこで積極的に行われているのが、“ホンキョー”恐喝。まったく聞きなれないシノギだった。

その手口は、単純。プレイルームで客が基本的なサービスを受けていると、女の子ならではのアプローチで、挿入欲をくすぐる。
辛抱たまらなくなった客が本番したところで、オレたち従業員が飛び込み、金を脅し取るというものだ。

一般的なサービスを受けて帰る客も多いので、その場合は普通に帰す。しかし、風俗嬢と本番することが自分のステイタスだと思っている輩は後を絶たず、飲み屋やスナックが乱立する繁華街の中心部にあるこの店は、酔っ払い客のまさに入れ食い状態だった。ホンキョー恐喝の打率は、全体の2割ほどになる。

「最近稼げないから、今日はアレやっとこうっと」
「おっ、今日はやる気やな」
「子供が小学校に入るから、ランドセル代とかかかんのよ」

女の子たちの演技も堂に入ったもので、割り切り方も気持ちいいほどだ。本番への誘い方は皆それぞれ違って、例えば、25才のバツイチ姫・モモカは、ローションを使ってのサービスで廊下に聞こえるほどよがり声をあげる。

「ああぁ~、気持ちよすぎ!」
「そんなにいいのか、これはイケる!」と客が勘違いし、下になったとき、自然とアレを入れてくるらしい。

入店2年目のハルカ(22)の場合は、初めて顔を合わせる客に、新人で右も左もわからないことをアピール。客が、手取り足取り教えているうちに、「このまま入れられるかも…」と欲を出すようだ。

「えっ、これでいいんですか?」
「そうそう、はじめのうちは、指名客つけるためにゴムありでもいいし、ちゃんと入れとこ!」

そのまま、本番という寸法。彼女たちもいろいろと独自のアイデアがある。

独自のアイデアを駆使する女の子

今日は、買い物中毒でこの業界に入ってきた26才のミクの番だった。彼女は、卵巣を1つを取っていることを客に打ち明けてからプレイをはじめる。子供ができにくい体なら、減るもんじゃないし、本番ぐらいいいだろうと客は思うようだ。拒むフリで招き入れると、客は歓喜の声をあげて、きっちり欲望を出し切る。

「ウ、ウウッ! ひ、ひどい!」

彼女はそのまま啜り泣き、助けを求めるコールを鳴らしてくる。駆けつけたオレと従業員の目の前には、女の子をなだめる客。

「おいおい、お客さん、ヤッちゃったらアカンやないの! 貼り紙にもちゃんとかいてありますがな!」
なんとか取り繕おうとするが、後の祭りや。有無を言わせず、すぐさまポラロイド写真を撮る。オレたちはそこで畳みかけるように話を進める。

「お客さん、こりゃウチの女の子に対する強姦だから、とりあえず警察にでも行きましょか
「そ、そんなぁ、殺生な……!」

それからは、客に罪を犯したという意識を持たせ、警察に駆け込まなくするために懇々と法律の話。失職すること、家族が去ってしまうことまで話を広げ、バレたくないという恐怖心をあおるのだ。

「ほら、マズいでっしゃろ? だから、ウチの子の罰金と慰謝料、休業補償を全部含めて面倒看てもらわんと
「い、いくらなんですか?」

そこで提示するのは、まず張り紙通りの100万円。払う奴はこの時点で銀行かATMへ走る。だが、ほとんどの場合がムリだ。そこで、減額交渉で折り合いをつける。

「かわいそうだから、70でどうよ?」
「じゃあそれなら……」

居直る客に地獄が待つ

それから限度の50万まで持ち込むとだいたいの奴が支払ってくれるのだ。罰金を渋ると終わりのない地獄が待っている。しかし、それでも支払わない奴はいる。居直りというやつだ。

「そんなもん、支払えるかい! 煮るなり、焼くなり好きにしてや」

こう開き直られたら、店ではできるだけ見せることのない本職の顔になる。

「なめとったらアカンど、ゴオウラァ!!」

ケツ持ちのいかつい若い衆を呼び、まずは生意気な口が利けないように集団暴行。こちらは喧嘩のプロだ。死なない程度も心得ていて、泡を吹くまではやらない。薄暗い個室内で執拗に脅し文句を浴びせられながら暴力を受けると、体だけではなく、精神的にもやられる。

「ひ、ひいぃ~! も、もう勘弁してくださいぃ~!」

失禁しながらの命乞い。こうなれば、なんでも言うことを聞く観念した状態だ。それから、怯える客に損害賠償も含めた無制限の念書を書かせる。

【申し訳ありませんでした……興奮した私はあろうことか、自分のアレをあてがい……一生をかけて、女の子への罪滅ぼしとしての賠償を……】

とことん自分の落ち度を認めさせて、何も考えられないようにする。それに、プレイルームで全裸になった姿の自分のポラロイド写真や保険証や免許証のコピー、誓約書、念書の類をすべて押さえられれば、身動きが取れない。がんじがらめにして、逃げられなくするのだ。

100万円をビタ一文まけず、満たない場合は、系列の金融で高利の借金。身包みをはがして放り出すが、ホンキョーの代償は終わることはない。そこからはカモになるのだ。借金を汗水たらしてコツコツ返しているある日、会社や自宅に「近くにいるから来てくれ」と電話が入る。近くのファミレスや喫茶店で、自分の写真や念書をチラつかされ、こう告げられるのだ。

「いやあ、アンタが犯した彼女ねぇ、実は妊娠してもうてね。堕胎費用と追加の慰謝料を払ったってよ」
「そ、そんなぁ!!」

こうして、一度の過ちで借金は雪だるま式に増え、貿易会社や裏DVDショップの名義貸しや詐欺の片棒担ぎの仕事に手を染め、転落人生を送ることになるという。まぁ、自業自得なんですが……。

こういった悪質な店は、彼のお店だけではなく、全国に点在するという。
欲望に負けないように、みなさんも気をつけて。とんでもない地獄をみることになりますよ。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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