小さくなった着れない服をどうやって大きくする?『Salon du reDESIGN Closet.net』でリデザインする!

  by 古川 智規  Tags :  

ホープインターナショナルワークスが運営する、次世代のお直し屋 「Salon du reDESIGN Closet.net(サロン・ドゥ・リデザインクローゼット・ドットネット)」というプロショップがある。
「お直しなんて買ったときにしてもらうし、すそ上げなら自分でもできるよ」いかにも、そのとおりである。しかし、次のような場合には依頼できるお店は決して多くないはずだ。

小さくなって着れなくなった、というよりも自分が大きくなって相対的に服が小さくなり着ることができなくなってしまったというのはよくある話。だったら痩せればいいじゃんという議論はまた別の議論だ。
お気に入りの服を何とかして着たい。小さくするのはいささか乱暴ではあるが、物理的に切ってしまえばいいので苦労はないのは容易に察しが付く。ところが、逆はなかなか難しい。

写真は記者が通販で以前購入したスイス軍の中古軍服。別にミリタリーマニアではないが冬には暖かそうで、軍服なので一般の服と比較して強いだろうし、いわゆる軍人が着る制服にも見えない。そういった理由で購入したのだが、そもそもサイズが合わず最初から着ることができない服であった。もっとも記者が太っているという面も理由ではあるのだが、とにかく着ることができない服を何とかしたい。

もう一つは、同じスイス軍のこちらは制服ではなくデニムの作業着。こちらも何とか着ることができるが作業着とは程遠いキツキツのサイズでとても動き回ることなどできない状態だった。
いずれもお気に入りなので何とかしたい。

ちなみに制服を一般的な体型の女性が着るとこの状態でブカブカ。もはや上着ではなくダブルのオーバーコート。いかに記者が太ってるかというお恥ずかしい現実を理解していただきたい。これをさらに大きくしようというのだから、無理に決まっている。

同店には日本国内で使用されるありとあらゆる色の糸がストックされていて、たいていのものには合うように準備されている。糸は約600種、ボタンは約1200種を保有しているとのこと。

色見本を撮影するだけでも一苦労で、それだけ種類が多いということだ。
ミシンもたとえばデニム専用のもの等、専用機材を保有しているのでその点はメーカーとしてのノウハウが生かされている証拠であろう。

実際に記者の体のサイズをはかる「採寸」が始まった。
違う服をつないだり、布を足したり、さまざまな技を駆使して何とかするらしいが、さすがに頭を抱えていた様子。
ちなみに、リデザインなのでサイズだけではなくデザインの変更ももちろんOKだ。そのあたりはプロショップなのでデザインの段階から相談に乗ってくれる。

軍服でわりとボタン周りに余裕がありますので、そこから切って出しましょうか…などと相談していたが、もはややってもらうしかないので、できるだけオリジナルを尊重して出せるところまで出すなり、違う布をつないで別のデザインにするなり、好きにしてくれと完全にお任せ状態にして、服を預けて帰宅した。
同店ではテーラーやデザイナー出身者が在籍しているので、依頼者の注文のみならずプロの目から見た提案もしてくれるので、センスに自信がないという方でも安心して相談することができるだろう。

お店は西武池袋本店

池袋駅に隣接する西武池袋本店の4階に同店はある。百貨店の中なので、デザインセンスのある方は新品の服を買って同店に持ち込み。その場で切ったり貼ったりしてオリジナルの服にリデザインするオーダーも可能だ。
記者のように自分で服を持ち込んで加工してもらうのももちろん可能だ。

デニムの作業着はボタン周りから布を拝借

さて、デニムの作業着であるが見事に幅が広くなっていた。ボタン周りの布が広くてしっかりしていたのでその部分から切り取って服の幅を広げたとのこと。

これだまぁ何とか着ることはできるようになった。

軍服の作りにプロもあ然

さて軍服の方はというと、全部ばらしたそうである。するとかなりの布が内側に(裏地の中に)織り込まれていて、それを延ばして再度縫うことにより広げることができたとのこと。

「ばらしてみて初めて分かったのですが、これは驚きました。服のコストというのは布の大きさで決まるので、こんな無駄なつくり方はしないんです。ところはこの軍服は相当大き目の布を内側に織り込んであり、多少のサイズ変更は可能なようになっていました。しかも縫い目のミシンの掛け方が異様とも思えるほど細かくて、これならば多少の雨風であれば入り込む余地はなく、また相当に強い縫製ですので縫い目がさけることもほころびが生じることもないでしょう。ほどくのと縫い合わせるのに汗をかいたくらい強いものでした」

と作業の様子を語ってくれた。初めての軍服のリデザインオーダーだったそうで、今後は今回の事例を参考に軍服も大歓迎とのことだった。ミリヲタの方も参考にしていただければ幸いである。

ちなみに料金はこの場合は新たな布を用意する必要がなかったので、いずれも7500円とのことだった。もちろんケースバイケースなので、店頭で大まかな見積もりを聞いてみるといいだろう。
蛇足ながら「こういうサービスがあるのであれば太っても大丈夫だ!」というわけではないのでお考え違いのなきよう。

※写真はすべて記者撮影

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