人間の本能的なものなのか、オフィスや学校で“手持無沙汰な時”に何気なくペン回しをしている人は昔からよく見かけます。最近だとハンドスピナーで手持無沙汰を解消、という人も多いのでは。
ハンドスピナーのような商品は「卓上おもちゃ」とか「卓上トイ」などと呼ばれていますが、クラウドファンディングサイト大手の『Kickstarter』で、『VORTECON』という“卓上おもちゃ”が9万3767ポンド(約1394万円)と、目標額の2000ポンド(約29万7000万円)を大きく上回る金額を達成して人気を集めています。
VORTECON- Kinetic desk toy with mesmerizing motion
https://www.kickstarter.com/projects/1303595549/vortecon-kinetic-desk-toy-with-mesmerizing-motion
Vortecon- Kinetic Desk Toy(YouTube)
https://youtu.be/dlsjNFrHcKk
直径4.4センチ、高さ3.5センチの小さな円柱型の『VORTECON』は、指でひねってクルクル回すことで、今はあまり見かけなくなった床屋さんのサインポールのような模様(錯視)を映し出します。
『VORTECON』内部にあるベアリングで回転する仕組みになっていて、外側の金属部分はステンレス鋼(Stainless steel)、黄銅(Brass)、銅(Copper)の3種類。重さは、ステンレス鋼が345グラム、黄銅が368グラム、銅が380グラムとなっています。
『VORTECON』を開発した、ラトビア出身で現在英ロンドンにてデザインスタジオを経営する31才のプロダクトデザイナー、Kristoph Krisjans氏(以下、Krisjans氏)に取材しました。
―『VORTECON』開発のきっかけは?
Krisjans氏:日々の生活を楽しくしてくれるモノを創作するのが大好きなのですが、『VORTECON』の原点は私が幼少時によく遊んでいたコマです。『VORTECON』と同じような渦巻き模様のデザインで、回すと同じような目の錯覚(錯視)が起きました。そのコマより高度な金属製のバージョンを作ってみようと思い立ったのがきっかけですね。
―『Kickstarter』で1300万円を超える金額を集められると予想していましたか?
Krisjans氏:想像していませんでした。以前、『Kickstarter』で『MOONDROP』というプロジェクトが成功(12万9243ポンド=約1922万円を獲得)を収めたのですが、『VORTECON』も同じような支持を得ることができて、とても嬉しいです。
MOONDROP- Fidget desk toy displaying gravity on the MOON
https://www.kickstarter.com/projects/1303595549/moondrop-fidget-desk-toy-displaying-gravity-on-the[リンク]
―『VORTECON』はどういった人に最適ですか?
Krisjans氏:対象年齢が何歳までといったおもちゃではないと思っています。子供から大人まで多くの人に楽しんでもらえると思っています。プロダクトデザイナーとしてこれまでの経験から、“面白いおもちゃ”には年齢制限がないということがわかりました。高品質のおもちゃであればあるほど、この傾向は確かだと思います。
―『VORTECON』で”ハンドスピナーの次”を狙っているのですか?
Krisjans氏:そういうつもりは最初からありませんでした。ハンドスピナーは価格も手頃なので、より幅広い層に向けた商品かと思います。『VORTECON』はハンドスピナーよりワンランク上の“卓上おもちゃ”を目指して設計しました。デザインの付加価値を感じてくれるより具体的な層に向けて、錯視という視覚効果と手持無沙汰解消という2つを合体させた“動くアート”として開発しました。
―ご自身はどういった時に『VORTECON』で遊んでいるのですか?
Krisjans氏:ほとんどパソコンで仕事をしている時です。オフィスに初めて来た人達に『VORTECON』の動きを見せるのも大好きです。皆さん嬉しそうな表情を浮かべてくれるので、会話のほうも一段と弾みます。
―『VORTECON』の動画をみたら目まいがしました。目まいがする商品っていかがなものでしょう?(笑)
Krisjans氏:(爆笑)特に問題はないでしょう。『VORTECON』の動きを強調するため、動画はかなりクローズアップしています。実際の利用シーンでは、目まいではなく驚きもたらしてくれますよ。
―どうもありがとうございました。
子供の頃、床屋のサインポールの動きをじっと見ていた人や、オフィスや学校で気が散りがちな人、暇つぶしや束の間の癒しを求めている人などには『VORTECON』は見逃せない逸品になるかもしれません。
※画像:Kristoph Krisjans氏提供