【武道便所】トイレパラダイスvol.5~日本一寺ゾクゾク~

  by 千徒馬丁  Tags :  

『次の記事、書いてる?』
「写真の選別を少々」
『さすがだね』
「これだけの枚数があると記事書かないと減らないんだなとは、私でも思いますからね。気前良く昨夜は40枚捨てました」
『すごい数だもんね。まだまだトイレの写真は増えるから使わないヤツはバンバン捨てよう』
直観でいらんと思った写真を10枚単位で捨てる時、コレは間違って連写になったのかそれとも1枚1枚丁寧に時間をかけて撮ってこの枚数なのかとふと思う。後者である可能性が高いからあえて聞きはしないが。

『どう?記事はすすんだ?』
「いいえ。2年参りの計画を立ててまんねん」
『そうだったねぇ、楽しみだねぇ』

『旅のしおりは出来た?』
「たった今、出来ました。分刻みの完璧なスケジュールが。」
『じゃ、あとは記事に集中できるな』
本気で言っているのか編集長。
年の瀬やで、鬼。

【日本一寺もゾクゾクが待っていた】

かつての悪しき3K、汚い・臭い・怖い公衆便所には落書きがつきものであった。
もちろん、悪しき落書きである。
目にして気持ちの良い落書きはたまにしかなかった。
たまには、あったのだ。
思わず膝を打ってしまう便所川柳や命令形ではない命令が。
それらの落書きを読むと、言葉巧みとはこのことかと感心する。
名も無き俳人やリーダーが便所に痕跡を残して去ってゆく。
詠み人知らずと書かれた和歌集のゾクゾク感を便所で味わうとは。
それとも単に隙間風だらけの便所が寒いだけか。

キレイで便利なAfterトイレであるはずの日本一寺でも、ゾクゾクは待っていた。
そのことが、私は嬉しい。

非常呼出ボタンが上にも下にもある。

万全の体制であるこのボタン。
下の非常呼出は白い文字。

上の非常呼出は赤い文字。
赤い文字のほうがより大音量で呼び出してくれそうな気がする。

この赤い文字が、落書きなのである。
赤いマーカーで塗ってある。

管理の人がしたのかもしれないし落書きなのかもしれないし、それはわからないがこの落書きは良い落書きだ。
下もついでなので落書きしといて欲しい。

公衆便所ではお馴染みのシートクリーナー。

浮いてる。

壁に貼り付けてあるのではなく、シートクリーナから出ている。
ゾクゾクする。

さてこの画像のどこにゾクゾクするかを見つけて欲しい。

「なんでこの画像のアップがないねん」
『何か珍しいもの、写ってたっけ?』
「ココ居ってんやんな?ホンマに。だったら気付くやろコレ!」

そう、コレである。

この画像は最初のダメ出しで泣く泣く舞い戻った末にハチが根性で何度も撮り直したアップ画像なのだ。
「この手すり、ウネウネなってるよね?」
『どうだったかなァ気付かなかったな・・・角度じゃないか?写真でウネウネに見えるだけで』
「なんで写真撮っててコレにひっかからへんの?ひっかかるポイントが私とは違うんかなァ・・・コレは撮るべきやろ」
曲がり形にも武道便所の記事を書けと催促してくるほど武道便所を好評価している編集長である。
だからこそ適任者だと思ったし、こうして育てているというのに。
「なぜウネウネを見過ごすよ、痛恨のミスやでコレ」
『えーーーーーーーーーーっ?!』
「ちゃんと肉眼で観察してる?カメラ越しやから見過ごすんちゃうの?」
『気が付かなかった、てことはウネウネしてないんじゃないの?』
「いいや。コレはウネウネしてるな。」
『どうだろう?確かめたほうがいいかな?』
「そうやな。行って確かめて来て。」
『えーーーーーーーーーーっ?!』
「ウネウネが一番わかるアングルでアップ撮ってきてや」
『えーーーーーーーーーーっ?!』
「ウネウネやったら確実にそのアップ画像は要るから」
『えーーーーーーーーーーっ?!』
「すぐ言うな、その『えーーーーーーーーーーっ?!』て。ユーザー辞書で単語登録しとくわ。どうせまたすぐ言うから」
『えーーーーーーーーーーっ?!』
もはや、簡単に出る。

この、ウネウネ。
不良品かと思うほどウネウネボコボコ。
自分の手で握ってフィットするのはどこだろう、確かめてみたい。

女子便所は洗面がアイランドキッチンのようになっており、その周りを個室がグルリと囲む。

たった2枚しかない貴重な女子トイレ内部の画像をみる限りでは、女子トイレなのに手前と奥の姿見1つずつに見える。
案内してくれた女性が映り込んでいた鏡が並んでいる場所は別なので、どうやらそこがパウダールームなのだろう。
女子トイレ個室の洗面ひとつひとつに鏡がないのだ。
これは斬新で、しかも女性心理をうまく利用した賢い作戦である。
混雑時でもこの女子トイレは回転率が高いに違いない。

最近では小指で前髪をかき分けるファッショニスタ男子を見かけることも多くなったが、それを反映してか男子便所には洗面ひとつひとつに大きめの鏡。

身だしなみは整えるがハンカチは持参していないのか、3つの洗面に対してエアータオルが2つもあるではないか。

小奇麗な男たちよ、日本手拭いを持て、綿100%の。
日本手拭いはもともと粋な販促物の側面を持つ生活消耗品であるが君たちへのミッションとして、ファッションアイテムに昇華してくれることを期待する。
私にとっては15年ほどすでにファッションアイテムであるが、ジーンズのベルトループに毎日ぶら下げてアピールしているのにちっとも浸透しない。
アピールする人間が便所好きのおばちゃんではダメなのだ、君たちのようなカリスマ性のあるファッションリーダーでないと。
ジーンズの左のベルトループにひっかけて個室に入った際には気を付けたまえ。
手拭いの端は便器の中に浸るのが好きみたいだから。

トイレには謎のスペースが存在する。
洗面の下に存在する、

謎のスペース。

鍵穴があるので中が物入れになっているのだろうが、この手前の埋め込みBoxのようなスペースは何かの意味があるのだろうか。
足を置いてちょっとイナセに手を洗う、とか。
足元ニッチという新しい飾り棚のカタチかもしれない。

トイレットペーパーを置く棚にしてはちょっと広すぎるが荷物を並べるにしては奥行きがない、これも謎スペース。

ここにも鍵穴があることを思うと、鍵で開けてその中が収納になっているようなモノには副産物として謎スペースが出来るのかもしれない。

あるぞ、

あるぞ鍵穴。

そして謎スペース。

トイレにはデッドスペースも存在する。
なにかちょっと間取りが異質な。

ココを活用できるかできないかはアナタ次第なのだ。

杖か傘か・・・そうだな焼酎の一升瓶でも。

【ゾクゾクする便器】

男子小便器を囲むように取り付けられた手すりもやはりウネウネ。

そのことにもゾクゾクするが、私はこのピッタリはまっているパラジクロロベンゼンにゾクゾクする。

転がらない、割れない。
男性諸君よ、今後姿を消していくであろう便所ボールはかつてのように転がしたり割ったりする楽しみを諸君から奪ってはいるが、水を流す度に毎回自動的に一定量の洗浄消毒薬を便器に供給するサニタイザーが普及しているこのご時世に、わざわざパラジクロロベンゼンを置いていることに着目しよう。
いつの日か、ココに置かれるパラジクロロベンゼンがケース入りではなくなり、ド派手な蛍光色の剥き出しになることを切に願う。
しかしこの小便器の形状とパラジクロロベンゼン受け皿があることを考えると、転がったりはしないので、割ることに集中して欲しい。
人間は本気を出せば膀胱に2Lの尿が溜められる。

子供用の小便器が惜しい。

もうちょっと小さかったら、だいぶアサガオに近い小便器のカタチだったと思う。
アサガオはトイレトレーニングには不向きなカタチの小便器だが、すすんでトイレには行きたくなるはずだ。

大人用の洋式便器は、

浮いているが、

子供用は地に足がついている。

問題を平和的に解決する能力は大人よりも子供のほうが高い。
子供は自分の非をすぐに認め謝ることが出来、謝られたことで相手も自分も悪かった、とお互いの非を認めあえるからだ。
ケンカをして売り言葉に買い言葉で罵り合ったとしても子供は、泣きながら自分から近づいて「さっきはヒドいこと言ってゴメンね」と言える。
子供のほうがよっぽど地に足がついた人間ではないか。
どうりで便器の足が地についているはずだ。

壁からと出ている男子小便器。

「便器って全部カタチ違うんやな」

『それね、錯覚。』
「へ?」
『俺もひとつひとつ違うんだと思って前に立ったんだよ。でも一緒だった』
「違うやん、全然違う。幅が違う」
『だからそれが錯覚なんだってば。角度でそう見えてるだけ』

「だって違うやんけぇ~~~~コッチは尖ってるけど、アッチのん丸いやんけ」
『そう見えるけど、錯覚。』
「一個ずつ撮ってその便器」
『同じなんだってば』
「だからその同じてのを撮る必要があるやろ」

『えーーーーーーーーーーっ?!』
「着眼点が違うことにこっちこそ『えーーーーーーーーーーっ?!』じゃ」
『えーーーーーーーーーーっ?!』
いとも簡単に出る。

目の錯覚である。

目の錯覚が起こる角度から男子小便器をご覧あそばせ。

※全画像:筆者および助手ハチ撮影

サルコイドーシス(以下:サル)を患うこと早8年目。そろそろ人間になっているかと思いきや直近の経過観察でもまだサル。しつこいぞ、サル。いつまでだ、サル。 プロフィールのイラストは、入院中の暇つぶしに院内をウロチョロしていた時に知り合った職業が元美少女エロ漫画家の山田課長が、サルの病名普及のためペペペーと描いてくれました。 そんなわけでね、今日はよかったら名前だけでもおぼえて帰ってくださいね、特定疾患『サルコイドーシス』略してサル、難病です☆

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