ビヨンセの夫ジェイ・Zがベンチャーキャピタル事業を立ち上げ ラッパーが追い続けるアメリカン・ドリーム

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ラッパーであり、ビヨンセの夫であり、レコードレーベル“ロック・ネイション”を創業したビジネスマンでもあるジェイ・Z(本名:ショーン・カーター)ですが、“ロック・ネイション”を通じて“ARRIVE”というベンチャーキャピタル事業に新たに進出することを先月公式に発表しました。“ARRIVE”は、Primary Venture Partners及びGlassBridge Asset Managementとの共同事業となり、アーリーステージのスタートアップ企業を対象に投資、ブランド支援、アドバイス、ビジネス開発などをサポートしていくことになります。

音楽業界は2000年代にiPodの登場などでデジタル化の波に飲み込まれ「CDが売れない」=「印税で食えない」時代に突入しました。80年代後半から90年代前半のヒップホップ黄金期にCD販売で巨万の富を得たラッパー達も、次から次へと音楽や映画などのエンターテイメント以外の事業領域へと進出していきます。パフ・ダディ(本名:ショーン・コムズ)のアパレルブランドである“Sean John”、ドクター・ドレー(本名:アンドレ・ヤング)のヘッドホンブランドである“beats by dr.dre”、アイス・キューブ(本名:オシェイ・ジャクソン)の映画制作会社であるCube Visionなどが具体例として挙げられます。ラッパーとして得た財力と知名度で「success breeds success(成功が成功を呼び込む)」を実現していきます。

ジェイ・Zのビジネスマンとしての才覚はラッパーとしての才覚以上のようで、これまでにも“ロッカフェラ・レコード”やアパレルブランドの“ロッカウェア”を売却し、多額の売却益を手にしています。『Empire 成功の代償』という米国の大ヒットドラマがありますが、一代で音楽ビジネスを土台に帝国を築き上げた主人公のルシウス・ライオンのモデルはジェイ・Zと言われているのも納得です。

投資家としてのジェイ・Zの実績ですが、自動車配車サービスのUber 、靴下メーカーのStance、プライベートジェット機サービスのJetSmarter、ソフトバンクグループのSprintに33%の株式を売却した音楽配信サービスのTidal、オーディオメーカーのDevialetなどが成功事例と言われています。一方で、動画版Instagramと呼ばれていたViddy、プライベートジェット機サービスのBlackJetに対する投資は失敗だったようです。

ジェイ・Zの他にもレオナルド・ディカプリオ、レディー・ガガ、ウィル・スミス、ロバート・デ・ニーロ、アシュトン・カッチャーなどがアーティストや俳優として得た資産の一部を投資家として運用しています。アーティストや俳優として成功した後、本業以外のビジネスでさらに成功し、最終的に投資事業にまで手を伸ばすのが2000年以降のアメリカン・ドリームの系譜となってきているようです。

世界的な経済誌のフォーブスによれば、ジェイ・Zの資産額は2016年時点で6億1000万米ドル(700億円弱)とのこと。新事業となる“ARRIVE”がジェイ・Zの資産をさらに増やすのかに注目です。

ジェイ・Zと言えば、カニエ・ウェストの”Diamonds From Sierra Leone (Remix)”という曲にフィーチャリングした際、「I’m not a businessman. I’m a business, man.(俺はビジネスマンじゃないんだ、俺そのものがビジネスなんだ)」という絶妙なライムをかましています。ブルックリンのハスラーから資産家へと成り上がり、アメリカン・ドリームを実現したジェイ・Zですが、彼のアメリカン・ドリームはまだストーリーが続いていきそうです。ジェイ・Zが次に思い描いているアメリカン・ドリームは一体何なのか非常に興味深いところです。

※ソース引用:prnewswireより
http://www.prnewswire.com/news-releases/roc-nation-announces-new-start-up-platform-arrive-300418165.html

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