先週から、深夜ドラマ『パイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』の放送がスタートした。
大杉連や寺島進、松重豊などの邦画・ドラマ界を支えてきた中年俳優たちが実名で出演し、お互いの絆を深めるためにひとつ屋根の下で共同生活を送るというストーリーを軽快なタッチで描いたものになっている。
まさに中年男版”テラスハウス”というべき斬新な内容だ。シェアハウス在住の筆者としては、彼らの初々しい共同生活ぶりを非常に微笑ましく鑑賞できた。
しかしながら、番組が終わりベッドにもぐって眠ろうとしているときに、突然悲しい気持ちにおそわれたのだ。
「そういえば中年男だらけのシェアハウスって、実際あんまりないんだよなあ……」
現在、国内シェアハウスの部屋数は2万を越すと言われており、利用者層は主に二十代から三十代前半。つまり入居の多くを占めているのが”若者”なのである。『パイプレイヤーズ~』のような中年男性だらけのシェアハウスというのは、ドラマの中と同じように意図的に年齢層を揃えない限りお目にかかるのが難しい。
ジェネレーションギャップという名の哀愁
ということは、少数派であるアラフォー世代以上の方々は、若者たちの群れに飛び込んで生きなくてはならないわけだ。
異なる世代の者が一同に会すると、当然ながらジェネレーションギャップが発生する。価値観や話題の食い違いで若者に疎まれる中年入居者の背中はもの悲しい。中には彼らに合わせようと服装をおしゃれに決め込んだり、流行り言葉を無理に使って距離を縮めようと努力する方々もいるが、若者というのは総じて薄情なところがあるので、表情こそ出さないものの心の中では「うぜえな、このおっさん」と毒づいていたりもする。哀愁まみれである。
オヤジ臭いのが嫌い?
しかし若い入居者、とりわけ女性が眉をひそめるのは上記の”意識した若作り”とは別の部分にある。
たとえば、朝歯磨きをしているときの、
「オエ~~~~~ッ!!」
という嘔吐く声。
シェアハウスは案外古い民家を使ったりしているので、もう丸聞こえである。早朝にこれをやられたら、女性たちのフラストレーションがたまる一方なのは想像に難くない。
ふとしたときに露わになる”オヤジ臭さ”さに、若者は敏感なのだ。
他にも、鼻をかむときのオナラみたいな爆音も、不潔なことが大嫌いな現代女性には耐えられないだろう。
(ちなみに筆者は腸が弱いので、みんなが夜寝静まったころにトイレに駆け込んだ際も、ひたすら爆音を立てないように気を遣っている……)
若作りをしたらウザがられ、気が緩んで日頃の癖が出るだけでも疎まれる……。少数派の中年入居者たちがのびのびと快適にくつろげる楽園のような場所――『中年限定シェアハウス』がもっと増えるべきではないかと、真夜中に壁越しから伝わるアラフォー男性の苦しそうな鼾を耳にしながら筆者は切に思うのだった。
さて、そんな中年入居者のドタバタライフを描いた『パイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』の第二話はテレビ東京他で本日金曜日PM24:27から放送される。若者の存在しないシェアハウスを覗きたくなった方は、ぜひ視聴してみては。
※トップ画像 “写真素材 足成”