共和党から大統領戦へ出馬を表明していたドナルド・トランプ氏は、サンバーナディーノ(カリフォルニア州)で起きた銃撃テロ事件を受け、「全てのイスラム教徒のアメリカ渡航を禁止すべき」という主旨の発言をした。『CNN』は「この渡航禁止の案は旅行者も対象」としている。
また、トランプ氏は「イスラム教徒の友人は複数いる」「理由が無ければ警戒しない」とも発言したが、過去に”イスラム教徒のデータベース”や”モスクの監視システム”を作ることを提案した同氏には説得力がない。
アメリカでいじめや嫌がらせの被害を訴えるイスラム教徒が増えていることと、来年の出馬を取りやめないというトランプ氏の発言から、アメリカの根強い宗教差別が背景に透けてくる。
・ヨーロッパが反発
『BBC』による報道では、トランプ氏の入国禁止を請願するオンライン署名が、たった2日で30万人以上に達した。実際に、過激主義者や人権差別主義者の一部はイギリスへの入国を禁止されており、トランプ氏についても起こりうる話。同じ報道で、スコットランドが”ビジネス大使の肩書き剥奪”と”名誉学位撤回”を行ったともしている。
・イスラムを排さない日本
先月、『アルジャジーラ』で”一度に1000人を収容できる日本最大級のモスクが完成した”と報じられ、英語イスラム圏で話題となった。パリ同時多発テロ事件を物ともせず、イスラム教に対して何の制約も課さない日本の対応が『フェイスブック』などで注目され、記事には約3万件のコメントが付いている。
この事は、日本では全く問題になっていない。差別的な事件が多いアメリカとは対照的に、”日本は宗教に寛容”とも言われるが、実際にはどうだろう。
確かに、空港にはイスラム教徒用に祈祷室が作られているし、都市に最大級のモスクが作られても気にはしない。
「あのテロ事件があった後なのに。」
しかし、日本人はすでに興味を失っている。日本にとってテロ事件は異国の出来事であり、”自分には関係無いこと”だからだ。その評価が本当に正しいのか、疑問に思う。
※画像はアルジャジーラから
※参考
(CNN)「全てのイスラム教徒を入国禁止に」 トランプ氏が主張
http://www.cnn.co.jp/usa/35074595.html
(CNN)米国のイスラム教徒への嫌がらせ激増、ホットライン報告
http://www.cnn.co.jp/usa/35074773.html?ref=rss
(BBC)「トランプ氏を英国入国禁止に」署名に36万人超 英議会検討へ
http://www.bbc.com/japanese/35058243
(アルジャジーラ、英語)Japan’s newest and largest mosque opens its doors
http://www.aljazeera.com/indepth/features/2015/11/japan-newest-largest-mosque-opens-doors-151125132433610.html