美容と健康に興味はあるが、暇もない!お金がない!面倒くさい!そんな人も多いことだろう。一方で自分はまだまだ若く、関係がないと思っているかもしれない。しかし誰もが歳を取ってから気がつくのである。20代のツケは30代に、30代のツケは40代に“持ち越される”という悲しい現実に。
今回は誰でもできてコストのかからない、長寿効果と強力なアンチエイジングを兼ね備えた、画期的な健康法をご紹介しよう。
長寿を実現するサーチュイン遺伝子
さらっと言うが、人類は長寿を実現する遺伝子を見つけてしまった。そんなバカな!と言われても、見つけちゃったのだから仕方ない。その名は“サーチュイン遺伝子”。人間誰もが持っている遺伝子で、普段は眠っているがとある条件にて発動し、“体中の老化進行を抑制する”働きをする。健康通の方なら既にご存知の事だろう。
サーチュイン遺伝子を活性化させた動物での実験では、安定的に寿命が2〜3割延びることが確認されている(勿論、例外もある)。これを人間に応用すれば、寿命を80歳と仮定した場合、96〜104歳までの延命が可能と言われている。注目すべきは、これが単なる“高齢者の延命策”ではなく“若さの延長”でもあるという事。20〜30代で取り組めば“青年期を延ばす”事も可能になる。
サーチュイン遺伝子の発動条件
方法は意外にシンプル。それは毎食時、腹八分目ならぬ“腹七分目”を心掛ける事。これによりサーチュイン遺伝子が発動するという。サーチュイン遺伝子はミトコンドリアを活性化させ、細胞のエネルギー効率を上げる働きをする。大雑把に言えば、低燃費モードに体が移行するようなものだ。結果、腹七分目の摂取量で必要エネルギーがまかなえてしまう。これは進化の過程で獲得した、飢餓に備えた防衛本能と言ってもいいだろう。
無論、どんな食生活でも腹七分目でいいという訳ではない。大切なのは栄養バランスを維持する事。ハンバーガーを食べて“ポテトは諦めよう”という問題ではないのだ。
レスベラトロールという手段
腹七分目というのは、言う程簡単なものではない。著者を含む多くの人間は、欲求の前では根性無しであり、満腹感の誘惑には勝てそうもない。そこで登場するのが『レスベラトロール錠』。この薬を好きな時に服用することで、サーチュイン遺伝子を意図的に発動させることが可能となる。これにより、苦行のような腹七分目ルールを守る必要がなくなるのだ。
レスベラトロールはポリフェノールの一種で、主に赤ワインやぶどうの皮に含まれる抗酸化物質。残念ながら日本では錠剤として未承認薬であるが、レスベラトロールをある程度含有する健康補助食品ならば購入は可能である。しかし長寿を目的にした適性摂取量は確立されておらず、価格も含有量もサプリメントで様々。各国の製薬会社がレスベラトロール薬の開発競争を始めている現状、一定の普及と効果を見定めて手を出すのが賢明であろう。
腹七分目を攻略する
さて思い出して欲しい、薬に頼る事なくサーチュイン遺伝子を発動させる方法を。この苦行の様な腹七分目ルールを、何とか習慣化する方法はないものか。
実はその光明として、“ガム”を用いる方法が既に知られている。食前にガムを噛み、食欲自体を抑制するというのだ。脳伝達を誤摩化し、食前に一定の満腹感を演出する“ガムダイエット”と同じ仕組み。加えて、食事中は意識して“何度も噛む”事。この行為、満腹感到来を早めるだけでなく、エネルギー吸収効率を高め糖化を抑制できる。
ガムはコンビニやキヨスクで売っている一般的なガムでも問題はない。選択基準としては、口の中で溶けず弾力が持続するタイプが望ましい。味が持続するタイプはできるだけ避けることをお薦めする。理由は味のなくなったガムの不味さが、食欲をさらに減退させるからだ(これは著者のアイデア)。また噛みごたえがあり、口の中に長時間残る食物であれば代用は可能。スルメなどは最適だ。しかし飴玉はこめかみ運動ができない分不向きと言える。
習慣化さえ成功すれば、腹七分目ルール克服も十分視野に入る。この段階に至れば、例えレスベラトロールが普及する世の中になったとしても、薬に頼らず自力で長寿を実現できるはずだ。
高血糖を予防する秘策
努力し習慣化するという前提ながら、我々は長寿への切符は手に入れた。しかし、著者はさらなる“”長寿と若さのブースト”を試みようと思う。その手段を教えてくれたのは、NHKのあのカリスマ番組であった。
⇒『アンチエイジングだ!肌ホネ血管一挙に若く保つ方法』
(ためしてガッテン NHK総合 2011年05月18日放送分)
サーチュイン遺伝子を発動させつつ、ここで紹介された方法を実践したらどうなるのだろうか?さらに寿命が延びる可能性が?ツヤッツヤのお肌のまま?何だか凄いことになってまいりました。
食物繊維に飛びつこう
しかし腹七分目ルールを併用しているのであれば、これ以上の苦行追加は堪え難い。だが『ためしてガッテン』では、非常に画期的かつ簡単な方法を紹介している。
それは食事の際“先に野菜から食べる”という方法(キノコや海藻も可)。拍子抜けする程簡単ではあるが、実際に糖尿病患者の糖化ヘモグロビン値が大幅改善されたりと、糖化予防としての効果は顕著の様だ。オマケにダイエット効果も得られるらしい。これならば、腹七分目ルールとの併用も問題はないだろう。
どうやら食物繊維を先に摂取すると、腸での糖吸収がゆるやかになり、その後タンパク質や糖を摂取しても血糖値の上昇を抑制できるらしい。反対に米や肉類を先に摂取すると、血糖値が始めから上昇しやすくなる。血糖値が高い状態は糖化反応を加速させ、結果して老化を促進させるのだ。なるほど“”前菜”とはよくできた文化だった訳だ。
そもそも老化とは何ぞや
老化とはAGEが招く、コラーゲンの糖化現象のこと。
※Advanced Glycation End-products:終末糖化産物
食事から糖を過剰に摂取した際、血液中の余分な糖は体にしみ出してゆく。これが糖化現象である。糖化の副産物であるAGEは、タンパク質の代謝が遅いコラーゲンに影響を与えやすい。コラーゲンは体中の細胞同士をつなぐ土台の役目を担っているが、年齢と共に徐々に繊維質の硬化が始まる。そこにAGEが蓄積すると、徐々に茶色く変色し劣化してゆく。
※(タンパク質 + 糖)× 時間 = AGE
過食などが起因して高血糖状態になると、血糖値が平常値に戻るまでの間に糖化が進行してしまう。そのダメージ(AGE)がコラーゲンを徐々に変質させてゆく事に。老化を抑制する為には、高血糖状態を回避していく事が肝要なのだ。ちなみに食事による高血糖は“過度な摂取”が招くものであり、通常の糖化現象は忌み嫌うものではない。ご存知の通り“タンパク質と糖の安定摂取は人間の生命活動に極めて重要”なもの。どうか誤解無き様に。
追加オプションで広がる可能性
長々と書いてきたが、今回ご提案する健康法をまとめるとこうなる。
食前ガム + 食物繊維を先に食べる + 腹七分目 = 若さ維持☆長寿
かなり有効な手段であると確信は持てるが、生憎、効果を強く体感するには年月がかかる。数日、数週間で小躍りするような成果は難しく(人による)、やる気の維持が課題となるだろう。習慣化に成功し一定の時間が経てば、食前ガムは省けるようになるかもしれない。何年か先に、普及したレスベラトロール錠を取り入れるのも手だ。
勿論、この組み合わせに拘らず“食物繊維を先に食べる” “腹七分目”の片方を実践していくだけでも、強力な生活改善になるはずだ。自分の食生活に応じて、これら方法を使い分けてみてはいかがだろうか。
さらなるブーストも可能
この期に及んでさらに人を若々しく保つ秘訣が、実は我々の日常に潜んでいる。
恋愛をする、人の注目を浴びる、新しい環境に身を投じる等、人は感情の高まりや環境変化より細胞レベルで活性化するらしい。またお天道様の下を歩くだけでも、全身の細胞が活性化し免疫力が上昇する。紫外線から逃げるだけでなく、適度な日光浴を心掛ける必要があるのだ。また、ストレスをためない生き方へのシフトが、目に見えた体質改善に繋がるのは言うまでもない。
若さとは運動能力
細胞レベルで若さの維持ができたとしても、運動能力は維持できるものではない。まとまった運動や、ストレッチも必要になってくるだろう。しかし、著者が注目するのはもっとベーシックなもの。続かなくては意味がないのだ。
著者が敢えてお勧めするのは、ただただ“歩く”とい行為。拍子抜けした人も多いだろう。しかし、歩くという行為を疎かにしなければ、人の体は基礎運動能力を維持できる仕組みになっている。時には歩行速度を上げたり、長く歩いてみたり、エスカレーターではなく階段を使えば、バランスを司る筋に十分な刺激を与える。特に歩く際の姿勢は重要で、意識して歩けば、体中の筋への刺激を実感できるだろう。通勤や通学時の、ささやかな努力の積み重ねが明日の体を作っていく。その土台を得て、ストレッチ等を行えば効果的ということだ。
また“運動による発汗作用”は、どんな保湿液よりも肌をベストなコンディションへ導く。運動下手な人の慢性的な(そう信じていた)乾燥肌や湿疹が、数日の運動で立ちどころに治ることもあるのだ。最良の美容法は、やはり新陳代謝を促進する事なのだろう。
習慣が未来を創る
今回の記事の肝は“食生活”。そして“習慣化”。
例えば80歳を寿命と仮定した場合、大雑把に計算すると87600回食事をすることになる。もしもこの回数、高血糖化を抑制できたなら、人間の体質は劇的に変化するだろう。積み重ねが体を作る。日々の食生活がどれだけ重要か、ご理解いただけただろうか。
余談:延命の先に待つもの
身体的なポテンシャルを上げ、高度化する医療で死を遠ざける人類。そしてサーチュイン遺伝子。減りにくいというのは自然の法則に反する事。既に将来的な食料問題を抱えつつも、生産される食料の1/3以上が廃棄される現実。人間、いや地球の将来が末恐ろしい。地球はいつまで人間をまかなえるのだろうか。
だが著者は、ある時期から高齢化の勢いが鈍ると考えている。
現在長寿を謳歌している日本の高齢者は、粗食を強いられた時期もあるにせよ、その多くはシンプルな和食を食基盤として生きてきた。反対に著者の世代は紛れもなく“添加物世代”であり、過食や偏食、生活習慣の乱れが生じた上、不条理な競争原理からくるストレスにさらされた世代。農薬まみれの食べ物を警戒もなく食べていた時期すらある。若者の運動力低下も由々しき事態。少なくとも、現在の平均寿命を鵜呑みにすることはできないだろう。
著者の食生活は常にジャンキーであり、常々長生きはできないと諦めていた。しかし寿命はどうあれ、死ぬ寸前まで出来る限り健康でいれたらとつくづく願う。今回の記事を書いた手前もあり、今後は実践してみようと思っている。