昔から夏バテ防止には“スッポンが効く”との事で、早くも夏バテ気味な筆者は東京都八王子市にある『鬼無里村』に行ってみました。
『鬼無里村』と書いて“きなさむら”と読みます。八王子に古くからある“スッポン料理”の老舗です。
スッポンと言うと、ちょっと“お高いイメージ”ですが『鬼無里村』のホームページを見たところ、意外と筆者にも手が届くお値段でした。
夏バテした状態で日々をグダグダ過ごすよりは、すぱっとスッポン料理を食べて元気になろうと思った次第です。
『鬼無里村』は八王子では有名で、週末ともなると満席になる事もあります。
なので、ここは『LINEグルメ予約』で確実に予約してから訪れてみました。電話予約と違って営業時間外でも予約出来るのは便利ですよね。
『夢牡蠣』
店に入って一番最初に目に飛び込んだのは、大きな水槽に活かしてある大きな『夢牡蠣』でした。
『夢牡蠣』は、海底下40メートルから湧き上がる伏流水によって発生する大量のプランクトンを、食べて大きく育った牡蠣のことで、毎年7月~9月末頃の期間にだけ、食べることができます。
その見た目の大きさだけではなく、本当に“牡蠣”の旨さが凝縮されています。
『鬼無里村』と言えば”スッポン”が有名ですが、実は魚介類も産地直送の物が揃っています。
『羅生門』
そして『鬼無里村』に訪れてびっくりするのは、酒の種類の多さです。
芋焼酎、特に日本酒に至ってはラインナップは素晴らしく、恐らく八王子で一番の品揃えかと思われます。
あまりに多過ぎて迷ってしまいますが、そういう時は鬼無里村の村長(御主人)のお任せを頂くのが一番です。
この無濾過生原酒『羅生門』に合わせるのは『ホヤの塩辛』で御座います。
まさに至極の一献と呼ぶに相応しいですね。これは最高の組み合わせです。
スッポン料理を食べに来たのに、スッポン以外にも気になるメニューが目白押しの『鬼無里村』恐るべしです。
『ハモ天婦羅』
そして、この時期の美味い魚と言えば“鱧(ハモ)”でしょう。
『鬼無里村』には『ハモづくしコース』もあり、コースの他にも単品で“ハモ”を味わう事が出来ます。
今回はスッポンをメインに味わいたいと考えているので、ここは『ハモ天婦羅』で抑えておきましょう。
そのフワリとした食感と繊細な“ハモ”の味わいは絶品で、これも初夏の『鬼無里村』には欠かせない一品です。
『スッポン刺身』
今回はコースではなく、あえて単品で“スッポン”を堪能する事にします。と、なると最初はやはり『スッポン刺身』から食べたい所ですね。
まず、本格的なスッポン料理を食べた事がないので、まず“スッポン”がどんな味なのか気になります。
『スッポン刺身』を食べた感想は、意外と生臭さを感じず、抵抗なく食べられたので、肉や魚と言うよりは
「貝類に近い」
みたいな感じでした。コリコリとした食感と、独特のクセが動物と言うよりは、美味しい“貝”を食べた時に近いですね。
『スッポン唐揚げ』
『鬼無里村』の御主人に聞いたところ、刺身も美味しいけど唐揚げも定番との事。これは試さない訳には参りません。
そして、上の写真が『スッポン唐揚げ』で御座います。
これも“お酒”が進む一品ですね。刺身よりもクセがなく食べやすいので、誰にでも美味しく頂けるスッポン料理かと思われます。
『スッポンレバー刺』
だんだん“スッポン”に慣れて来たので、徐々に濃い料理に進みましょう。
常に新鮮なスッポンが出る『鬼無里村』では『スッポンレバー刺』も食べられます。
この濃厚なレバー独特の風味は絶品で、やはりスッポン料理には欠かせない一品でしょう。
筆者も色々な動物のレバ刺しを食べましたが、スッポンは独特の風味ですね。
レバ刺しと言うと生臭いイメージですが、新鮮な動物のレバーは臭みもなく、クリーミーな風味で美味しいものです。
これも『鬼無里村』に訪れた時は、是非とも食べて欲しいと思います。
『スッポン生血絞りたて』
もはや「スッポン=旨い!」と言うイメージしかないので、そろそろ例のモノに行きましょう。
この小さなグラス一杯で、スッポン一匹分の生血だそうです。
「血は生臭い……」
と言うイメージ先行で、不味いのを覚悟して飲んでみたら、意外とあっさり味で普通に飲めてしまいました。
『スッポン子宝』
そしてスッポンを大量に取り扱う『鬼無里村』ならではのメニューが、こちらの『スッポン子宝』です。
恐らく“卵”的な何かと思われますが、これは滅多に食べられない究極の一品です。
鶏の卵とも魚の卵とも違う、なんとも言えない味わいですが、これも非常に旨い肴になります。
『スッポン丸鍋』
そして、いよいよ本日のメインを飾る『スッポン丸鍋』で御座います。『鬼無里村』は“IH”なので部屋も暑くならず、夏でも美味しく鍋が頂けます。
このスッポン一匹を丸々使った贅沢な一品……。楽しみです。
こちらはちょっとしたコースになっていて、まず『スッポン生血りんご割り』から頂きます。林檎ジュースで割ってあるので、これなら誰にでも飲めると思います。
さらに『スッポレバー刺』も来ます。筆者は単品で食べていたので被ってしまいましたが、美味しいので問題なしで御座います。
ちなみに鍋の方は、調理場の方で仕込んで頂いているので、あとは野菜がイイ感じになるまで煮るだけです。
あまり煮過ぎると、大事なスッポンのゼラチン質が全部溶けだしてしまうので、野菜に火が通ったら“IH”のスイッチを切りましょう。
「スッポンは甲羅以外は全て食べられます」
との事ですが、本当に綺麗に“甲羅”と骨以外は食べられる事に驚きです。
とくに甲羅の外周“えんぺら”の部分など、まさにスッポンならではの味わいですね。
この柔らかいプルプルした感じは、確実に身体に良さそうな気がします。
かなりザックリと切られたスッポンですが、骨以外はほとんど食べられます。スッポンには魚のような小骨はないので、食べやすいと思います。
『スッポン雑炊』
そして、最後は『スッポン雑炊』にして頂きます。この為にスープを残しておくのが『鬼無里村』のセオリーです。
いや、筆者も色々な鍋を食べ、締めは雑炊で締めて来ましたが、この『スッポン雑炊』は別格ですね。
決して脂っぽくない澄んだスープは、スッポンの美味しさが溶け込んでいます。その濃厚なスープを使った雑炊は、まさに“雑炊の王様”です。
『鬼無里村』 総評
筆者も『鬼無里村』でスッポン料理の数々を食べるまでは
「スッポン=珍味」
みたいな浅い認識でしたが、本当に美味いスッポン料理の数々を食べると
「スッポン=激ウマ!」
に変わりました。本当のスッポンの美味しさを知らずに過ごした日々を、今は悔やむばかりですね。
特に『スッポン丸鍋』は筆者が食べた鍋の中でも、3本の指に入ります。ちなみに残り二つは『アナグマ鍋』と『猪のモツ鍋』で、はっきり言ってこれらの鍋に匹敵するスッポンのポテンシャルは侮れません。
特に『スッポン丸鍋』は脂が少なくコラーゲンたっぷり、その栄養価を考えると実質
「世界の頂点に君臨する鍋」
と言っても過言ではないでしょう。これほど美味しいとは筆者も思っていませんでした。
さらに『鬼無里村』の豊富な日本酒と、魚料理の数々……。
とりあえず日本酒好きなら『鬼無里村』に行くしかありません。村長の勧める日本酒はどれも希少で、それらをチョイチョイ安く飲ませてくれます。
それでは、みなさんも是非『鬼無里村』に訪れて、その美味しいスッポン料理の数々を堪能してみて下さい。
これからの猛暑に備えて“スッポン”を食べておけば、夏バテ予防にもなりますよ。
『鬼無里村』(きなさむら)
東京都八王子市 旭町7-7 2F/3F
営業時間 17:00~23:00
年中無休