お祈りメールはやっぱり嫌い【求職体験記】

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 先日テレビの番組で「お祈りメール」についてやっていた。恐らく学生の就活での話だと思われるが、不採用のときメールで末尾に「今後のご活躍をお祈りいたします」と書いてあるのを、そういうのだった。さらに「サイレントお祈り」というのがあって、これは、メールすら来ないことを言うのだそうだ。
 このことに対してテレビタレントがコメントして「どうせ不採用なら返事がない方がいい。お祈りメールでも来るだけマシ」というようなことを言っていたけれど、まあ、タレントだから「オーディション」の感覚で言ってるのだろうな、と思った。
 最初に私の意見を言っておくと、「お祈りメール」はやっぱり嫌いである。
 私の場合は、多くは郵送されてくる手紙の末尾に「お祈りします」と書いてある。もちろん、手紙を出す以上儀礼的にそう書かざるを得ないのは納得できる。私自身も採用する立場にあったときは、不採用のときは「お祈りメール」を郵送していた。では、採用のときはどうするのかといえば、電話するのだ。だったら不採用のときも、電話してくればいいじゃないか、と「労働者」の立場ならそう思う。
 もっと言えば、第一印象で大体のことは決まっている。だったら、当日の帰りに合否を伝えればいいのだ。中途採用やアルバイトの採用なら、人数も少ないからできるはずだ。新卒の大量採用なら、大学の合格発表のように張り出せばいいのだ。

ある採用通知

 実は今回、四月から求職活動を始め、七月になって初めて1社から採用があった。
 応募したのは6月11日。職安の紹介を受けて電話をしたら、面接日の指定があったのだけれど、その日は都合が合わなかったので別の日に変えてくれるようお願いすると、「書類選考」をするから送ってくれとのこと。私はとりあえず「履歴書」と「職務経歴書」を郵送した。そうすると数日後に電話があって、面接をするからきてくれという。今度は大丈夫だったので面接に行った。これが6月23日のことである。そのあとはナシのつぶてだった。
 さっきも言ったように、採用の場合はたいてい数日中に電話をかけるから、1週間も連絡が無いということは不採用なのだ。「お祈りメール」がただいま郵便局を渡り歩いているところだろう。そう思っていたら、7月3日に電話があった。
 案の定、私が応募した案件では不合格だったとのこと。しかし、別の案件があるのでそれでよかったらとのことだった。背に腹は代えられないので入社することにした。
 これはどうなのだろう。最初の案件がいわゆる「釣り」で、最初からこちらの案件を勧めるつもりだったという可能性もある。給料の額がだいぶ違うのだ。ただ、今回はそうでもないような気がする。本当にドタキャンが出て困っているようだった。それがなければ、私のもとには「お祈りメール」が来るばかりだったのだろう。「ついていた」と思うことにしよう。
 初めからの対応が比較的良心的だったこともある。それも含めて「演技」なのかもしれないけれど、そんな感じはしなかった。そもそも初めから「面接」をしてくれるだけでもありがたい。一度日程が合わなかったにも関わらず、ちゃんと電話をかけてくるところも好感が持てる。まあ、それもこれも人材が定着しないからという理由なのだろうけれど。

書類審査が多すぎる

 こんなことを言うのは、ひどいところは本当にひどいのだ。採用する気もないくせに「書類」だけ送らせる。確かに「お祈りメール」が来るならマシな方で、全く連絡をよこさないところもある。今回の求職活動でその辺がどうだったのか数字にまとめてみる。

応募件数 30
即面接 4
書類審査 22
(内、その後面接2)
その他 4

 とりあえず、最初の段階でこうである。「即面接」には、さきほどの案件も含めてある。最初から面接日の案内があったからだ。日程が合わないために書類送付したのであり、その後実際に面接も行われている。
 それ以外は、ひとつは人材紹介会社で、登録は面接に含めていないけれど、すぐに紹介してくれて二次面接まで行った。しかしこの二次面接はいい加減なもので、最初から採用する気のないような受け答えだった。しかもそのあと連絡がなく、1か月後に連絡したら「採用は難しい」という返答で、その後ほかの案件も紹介してこない。
 あと二つは「教育委員会」と「派遣会社」である。教員免許を持ってるので、臨時講師の募集があれば応募することにしている。その採用は市の教育委員会が実施する。これは「登録」という側面もあるので、必ず面接はしてくれるが、採用されたことはない。「派遣会社」の方も面接は必ずしてくれる案件だった。誰でも参加できる説明会のあと全員自動的に面接が行われた。数日前に行ったのだけれど、まだ連絡はない。
 ほとんどは書類審査だ。書類で一体何を見ているというのか。学歴・職歴くらいしか思いつかない。学歴で落とされることはほとんどないだろう。職歴では、恐らく転職回数を見ているのだ。しかし転職回数が多いからといって落とすのは良くないと思うが、それが日本の現実である。海外ではどうなのだろうか。
 最も見ているのは年齢だと思う。年齢制限は規制されているが、書類を見てから落としたのだといえば問題ない。「履歴書」には年齢を書かないことにしない限り、年齢差別はなくならないだろう。
 書類審査を通ったのは僅かに2社。そのうちひとつは、しっかりとした面接をしてくれたが、役員のゴーが出なかったらしい。もうひとつは、もうハナっから採用する気がない態度で「何をしたいの?」などと聞かれた。
 まあそれでも会ってくれるだけマシだ。もっとひどいのは「その他」の4件だ。
 ひとつは職安の係員が電話をかけた段階で「年齢」を理由に断られた。上司より歳上という理由でだ。これは明らかに基準法違反だね。エムなんとかシステムというところだ。粘ってもどうせ採用されないのであっさり引き下がったけれど。
 ひとつは、書類とも言えない問い合わせメールを送っただけなのに「求めている人物像と異なる」というメールが来た。どうやって私の人物像を知ったのだろう。知るはずもない。もうひとつも少し似ているが、こちらは住所を書いていたので「近くの人に決めた」というメールが来た。本音かどうかはわからない。もうひとつも電話をかけた段階で「交通費が出せない」という理由で断られた。

不採用通知の仕方

 不採用通知の仕方は下記のとおりだ。

いわゆる「お祈りメール」 14 
電話 2
音沙汰なし 8

 いわゆる「お祈りメール」には郵送も電子メールも含まれている。こちらが書類を郵送すると郵送で返事があるし、ネット応募をしたら電子メールが来るだけのことだ。
 音沙汰無しが8件もあるのが驚きだ。
 7/4現在で通知のないものをカウントしているので、まだ数日しか立っていないのもあるにはある。けれどこれも恐らく「お祈りメール」が来るだろう。
 古いものは6/4に応募しているのに返事がない。求人票には「通知方法・電話」と書いてある。もしかしたらこの会社は「サイレントお祈り」がデフォルトなのかもしれない。
 次は6/10にネット応募した「人材紹介会社」だがメールも来ない。
 6/11にネット応募した会社は「サイレントお祈り」と明記してあった。
 6/11に応募した会社は「3日後」に結果通知と書いてある。もうひと月近く経っているよ。
 6/25に応募した会社は「30日後」と書いてあるので、まだ来ていないのは仕方ないかもしれない。でもきっと「お祈りメール」が来るだろう。
 6/30と7/3に応募した会社は、まあこのあと通知が来るだろう。

 写真は著者撮影による

好きな小説・映画・音楽などについて、まとまった形で表現できればと思います。

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