いじめが無くなる事はない-圧力や隠蔽-

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新型コロナウイルスによる休校で浮き彫りとなったいじめ対応の怠慢

新型コロナウイルス感染症の感染者急増を防止する事を目的とした緊急事態宣言が解除され、全国各地で学校が本格的に再開した。約3ヵ月に及んだ長期休校措置が子供に与える影響は大きく、自殺者の増加やいじめの悪化が懸念されている。

いじめの悪化やいじめによる自殺者の増加を止める事は出来ないのか、取材を行った。
そこで見えてきたのは、学校による隠蔽行為や圧力である。このような事が無くならない限り、いじめの問題が解決する事はないだろう。では何故、このような状況になっているのだろうか。

いじめの認知件数は増加傾向にある

文部科学省が公開している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によると、平成30年度のいじめの認知件数が543,933件となり過去最多を更新した。

いじめの態様として目立ったのは、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」の62.7%。次いで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩(たた)かれたり、蹴られたりする」21.4%、「仲間はずれ、集団による無視をされる」13.6%となっている。

しかし、私が特に注目してほしいのは「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)や嫌なことをされる」の認知件数で、平成30年度では16,334件と過去最多を更新した事だ。

文部科学省では、「SNS等を用いたいじめについては、外部から見えにくい・匿名性が高いなどの性質を有するため、そうした態様のいじめを学校が認知しきれていない可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

いじめの定義と教育機関の対応

いじめ防止対策推進法では下記の様にいじめを定義している。

「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

では、いじめとは何なのか。
文部科学省は、いじめの態様として具体的に以下のものを挙げている。

・冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。
・仲間はずれ、集団による無視をされる。
・軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩(たた)かれたり、蹴られたりする。
・ひどくぶつかられたり、叩(たた)かれたり、蹴られたりする。
・金品をたかられる。
・金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。
・嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
・パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)や嫌なことをされる。
学校のいじめ対策や対応は機能しているのだろうか?

取材を行っていく中で、学校の対応にいくつかの問題がある事が分かった。問題として下記が挙げられる。

・学校や自分の評判、昇進に関わる評価を気にして対応しない。
・いじめを解決する必要性やメリットを感じていない。
・学校としての仕事が増えることを嫌う等の内部的な理由。

上記のような身勝手な理由から、隠蔽体質の学校が無くなっていないのが現実問題である。これによって、いじめの被害に遭っている子供が「学校に相談しても解決してくれないから相談する意味が無い。」といじめを相談できないという構造にも直結している。

行政機関はいじめ問題に対してどのような対応を行っているのだろうか。

まず、主に公立学校を所管している教育委員会に対し電話による取材を行った。教育委員会の担当者は取材に対し「いじめ防止基本方針に基づき対応を行っている。」と回答した。
次に、都道府県の私立学校の所管である私学課に対し、私立学校へのいじめ対応について取材した。取材に対し、担当者は「いじめ防止基本方針に沿った対応をしてもらっています。しかし、私立学校の特性上いじめ問題への対応の把握や行政機関が強制力を働かせるのは難しい。」と回答した。都道府県によって内容は異なるが、取材によると年に1回程度、対策会議を実施している都道府県もあるという。

文部科学省では、いじめに対する措置として以下のように記載している。

発見・通報を受けた場合には,特定の教職員で抱え込まず,速やかに組織的に対応する。被害児童生徒を守り通すとともに,教育的配慮の下、毅然とした態度で加害児童生徒を指導する。その際,謝罪や責任を形式的に問うことに主眼を置くのではなく,社会性の向上等,児童生徒の人格の成長に主眼を置いた指導を行うことが大切である。教職員全員の共通理解の下,保護者の協力を得て,関係機関・専門機関と連携し,対応に当たる。

公立学校では上記に沿っていじめに対する措置を行うようになっている。では、私立学校ではいじめに対する措置をどのように行っているのか。私は、とある学校法人にいじめ対応について電話取材を行った。学校側は取材に対し「いじめを確認した場合、問題に対処する委員会を招集し被害生徒を守るためにどうしたらいいか協議を行い対処している。」と回答した。

教員が被害生徒に対して圧力をかける事があるのか

自身が記事にするにあたり、複数のいじめの被害に遭った生徒に対して取材を行った。そこで見えてきたのは、教員が加害生徒への指導だけではなく、勇気を持って相談した被害生徒に対して、圧力をかける事が多いという問題だ。学校や教員自身の評判を守るため、外部機関に相談したというだけで指導されたという証言も得られた。指導といっても、脅迫ともとれる発言があったのが驚きだ。特にこのような証言が多かったのは私立学校の生徒だった。このような対応が行われていると生徒からの信頼を失い、相談出来ずにいじめの問題を自分自身で抱え込む為、自殺を考える程追い込まれてしまうのは必然ではないのだろうか。

いじめを相談できる機関ってどの様なところがあるの?

いじめの相談を行える機関は下記の様に多数存在している。

24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)
0120-0-78310

子どもの人権110番(法務省)
0120-007-110

子どもの人権110番(東京弁護士会)
03-3503-0110

チャイルドライン(チャイルドライン支援センター)
0120-99-7777

いのちの電話(日本いのちの電話連盟)
0570-783-556

都道府県警察の少年相談窓口(警察庁)
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/soudan.html

各教育委員会が設置している相談窓口一覧
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1397806_00003.htm

しかし、相談するだけに留まってしまい解決できないのが“いじめ”の大きな問題だ。

私立学校に対する指導機関がない為、治外法権になっている!?

公立学校の場合、いじめに対する措置を教育委員会という機関が指導するが、私立学校にはこのようにいじめに対する措置を指導する機関が存在しない。

誹謗中傷はいじめ問題の一角になっている 教育機関の改革を! 

いじめの態様もSNSである『LINE』や『Twitter』等で個人情報や顔写真等を他者が許可なく公開するといった投稿や虚偽の情報を拡散するという投稿の様にインターネット上で行われるものへと移行している。世間では、誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)の問題に対して関心が高まっている。そんな中、未だに学生間によるいじめの投稿も多く見られる。これは公立学校、私立学校問わず全ての生徒に当てはまる問題である。いじめを生まない、許さない環境づくりの強化やネットリテラシーの教育が今後徹底的に必要である。

生徒がいじめを行わないようにする事も重要だが、学校による隠蔽行為や圧力が無くならない限り、いじめの問題が解決する事はないだろう。学生が相談しやすい環境づくりや解決できる環境の整備、いじめへの対処について、公立学校を指導する機関である教育委員会の様に、私立学校を指導する機関を発足させることが急務ではないだろうか



“画像”
写真AC
http://www.photo-ac.com/
文部科学省
平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より抜粋

“引用元“
文部科学省
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)
「24時間子供SOSダイヤル」について
各教育委員会が設置している相談窓口一覧
https://www.mext.go.jp/index.htm
法務省
子どもの人権110番
http://www.moj.go.jp/index.html
警察庁
都道府県警察の少年相談窓口
https://www.npa.go.jp/index.html
東京弁護士会
子どもの人権110番
https://www.toben.or.jp/
チャイルドライン支援センター
チャイルドライン
https://childline.or.jp/
日本いのちの電話連盟
いのちの電話
https://www.inochinodenwa.org/
自殺総合対策推進センター
通学適齢期の自殺者数に関する分析
https://jssc.ncnp.go.jp/
NPO法人ストップいじめ!ナビ
子供の為の相談窓口
http://stopijime.jp/

※この記事は誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)や著作権を侵害する目的で執筆しておりません。
※記載の記事は独自取材に基づき執筆しております。
※取材させて頂いた生徒の特定を防止する為、取材を行った学校名や行政機関の詳細は記載しておりません。

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学校問題や社会問題を主に記事を執筆しています。