喪の仕事

【強烈な「喪失感」から撮り始め、公開まで
4年を要した長編フィクション・ドキュメンタリー!】

★本編視聴サイト 北田直俊監督作品『デモーニッシュな街から遠く離れて』

本当は同棲中の彼女が自殺した喪失感もあるのだけれど、
最も決定的な打撃は、そのちょうど一年後に愛犬を亡くした
事だった。彼女の死が2003年1月31日で、愛犬を亡くしたのが
2004年1月15日。
しかも、彼女の看病やらで愛犬を大阪の実家に預けっぱなしで
寂しい想いをさせてしまった。10年間、一緒に映画『イヌ』を
旅しながら作った相棒のクロ。最期を看取れなかったその罪悪感から
実は彼女の自殺以上に落ち込んだ。おそらく僕の生涯で、
あれほど泣いて塞ぎ込んだことはないだろう。

クロが死んだと思われる時刻に、クロは東京の僕に会いにきた。
僕は霊感もなく信じない方なのだが、何故かその時刻にクロを感じた。
『ごめんな、もう少しで生活が立ち直るからあと数ヶ月待ってくれな』
そんなやり取りをしたのを覚えている。午前1時頃だった。
その6時間後に実家からの電話でクロの死を伝えられた。
そこまではよくある話かもしれない。問題なのは、すぐさま
クロの亡骸に会うため大阪に向かったが、伝えられた引き取り場所は
行政のゴミ焼却施設だった。そのまま実家には帰らなかったのは
言うまでもないだろう。いくら犬とは言え、家族の一員をゴミ施設に
持っていく家族には未練は無かった。
デモーニッシュの企画は、そんなボロボロの時期だった。
もう何もない映画を作りたかった。そうしないと僕の
精神がほんとうに持たなかったんだと思う。
ただ愛犬を失って、その喪失感で旅に出るという設定よりかは
彼女を失って、の方が分かりやすいだろうと考えた。
ちょうどその頃、ビンセント・ギャロの『ブラウンバニー』

という映画も、最愛の女性を亡くし旅をしているだけの作品だったが
数年後に観たけれど、良く似た設定だった。
ハードなセックスシーンとボカシ満載なところも
似ていたような・・・。
まぁ、つまり男側の視点で描いた映画だよなー
『デモーニッシュな街から遠く離れて』完成したときは2時間20分の
尺だったけれど、今回ネット配信するにあたって80分の長さにした。
ちょうど観やすい長さだろう。

★本編視聴サイト 北田直俊監督作品『デモーニッシュな街から遠く離れて』

★【映画公開時の監督コメント】  
2歳年下の彼女が自殺した。真冬の東京。32歳の若さだった。
そのすぐ後に愛犬が病死した。僕は何も手につかなくなり時間が止まってしまった。

そんな日々に唯一の救いを与えてくれたのは村上春樹の小説「ノルウェーの森」だったり、映画では利重剛の「クロエ」だったり、アーサー・ヒラーの「ある愛の詩」など、どれも主人公が愛する人を失い、嘆きと失意の中で幕を閉じるものばかりだった。

同じような境遇に足掻いている人間にハッピーエンドは必要ではないと、その時思った。
嘘でも良いからそっと肩を抱いて、大切な人を失ったねと寄り添い、
語り掛けてくれる映画を探した。
だが世間はそれほど暇ではなかったみたいで、あまり見受けられなかった。
だったら自分で映画を作ろうと思い立った。

仲の良かった元AV女優の広末奈緒ちゃんに出演を快諾していただき、
あとは制作費がなかったので、主演の男と撮影をほぼ一人で行った。
これは劇映画ではなくドキュメンタリーなんだという想いから、
家財道具一式を処分しアパートを引き払い、携帯を捨て、
関わりのあった全ての人と断ち切り、住所不定無職と自ら孤立無援状態に追い込み、単身で冬の東北でカメラを回し続けた。
強烈な喪失感を埋める為に悲しみや理不尽さへの答えを探す旅だった。

★本編視聴サイト 北田直俊監督作品『デモーニッシュな街から遠く離れて』
【スタッフ】撮影・監督:北田直俊/脚本:小林耕一/編集協力:粂田剛・山本希平
挿入歌:小谷美紗子「The stone」
作品協力:佐藤英里子、郷友子、伊藤かつみ、服部富美子、井上貴弘、デジタルムービー工作室
【キャスト】広末奈緒、北田直俊、小関敦子、田口朋毅

日本各地の蕎麦屋さんを探索中。