東京都および神奈川県 羽田の発着枠拡大のために低空飛行容認を検討

  by 松沢直樹  Tags :  

羽田空港が沖合に展開したことに伴って、国内便だけでなく、国際線の離発着枠が増えています。
あまり知られていませんが、羽田空港から離発着する飛行機は、米軍の規制を受ける空域を回避して飛ばなければなりなせん。

羽田空港から、地方に出かけた方は経験があると思います。羽田空港を離陸した後、不自然に迂回して目的地に向かうような気がしませんか? 米軍が管理・規制している空域を避けて飛ばなければならないため、このような状態になっているんですね。

そのような状態にありながら、国内線・国際線とも離着陸する飛行機は確実に増えています。
現時点では、滑走路上で待機したり、在日米軍の管理・規制に抵触しない高い場所で、着陸の指示を待って待機する飛行機をやりくりしながら、運航を行っている状態です。

政府と国土交通省は、欧州・北米路線へ旅立つ客が、大韓民国の仁川空港などを経由して旅立つのを避けるために、羽田空港への陸路アクセスを充実させるなどといった工夫を重ねてきました。

しかしこういった工夫を重ねても、肝心の飛行機がスムースに飛んでくれなければ、国際空港としての羽田空港利用者を増やすことは難しいです。

そのため、東京都と神奈川県は、米軍の規制空域に触れない低空のルートを飛ばすことで、飛行機の運航をスムースにしようと検討しています。
具合的には、都心の低空を飛ばすことがもっとも効果的と考えられているようです。昨年の8月から、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の1都4県の代表と航空会社のキーマンが参加して調整を進めていますが、都心を低く飛んだ場合の落下物による事故や、万が一の墜落事故に対する不安は強く、飛行ルート周辺の住民には、リスクをきちんと説明するよう国に求めています。

国土交通省は2020年までに、現時点の離着陸回数を45万回から、49万回ほど(3万9千回ほど増やす)を実現する予定としています。

それを実現するには、都市部上空を飛ぶ際のリスクの完全な回避、騒音対策など、様々な問題をクリアしなければなりません。
とはいえ、東京の鉄道を見れば、これだけ安全に運行できる技術があるわけです。案外、簡単に実現する方法があると考えるのは楽観的でしょうか。

※写真は足成 http://www.ashinari.com/2014/03/13-386895.php より

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長