先鋭的な電子雑誌のカタチ 『STAR BOX』

  by トルサージ  Tags :  

自由度の高い電子書籍製作において、書き手はこれからどんな作品を創っていけば良いのだろうか?
今回、一人のウェブ作家が個人製作している無料の電子雑誌『STAR BOX』を紹介してみる。

この雑誌は一冊20~30ページ程の分量であるが、カラー写真やイラスト、連載小説、エッセイなどが盛り込まれている。紙媒体の雑誌と比較したボリュームの少なさは否めないが、それを感じさせない構成となっている。製作者であるメテオラシャワー氏がウェブの瞬発力や即時性を重心においた創作をされていることもあり、このボリュームも意図的なものだろう。

最も注目するのが、この雑誌が『創作人のための本格電子書籍』と謳っている点であろう。ここで氏が対象としているのは創作人、いわゆるウェブ作家たちである。

実際にページを捲ってみると、視覚的な画像を多く取り入れながら文章を読ませる雑誌、というイメージを抱いた。文芸誌でもアートブックでもなく、特に雑誌としての立ち位置を決めていない、というのが逆に特徴ともいえる。
数多く居るアマチュア作家の中で、逆にその非商業性や自由度の高さを売りにして先鋭的で刺激のある作品を発表していく。デザイン等でまだ荒削りな点もあるが、この雑誌は情報発信者としてのウェブ作家達に向けた、メテオラ氏のメッセージとも言える。

刊行数とともに、他のウェブ作家やクリエイターとのコラボレーションも増えてきている。写真×詩、ツイッターで行われた電子書籍に関する対談連載などの企画がそれである。
「ゆくゆくはこの『STAR BOX』を、創作する人達のためのプラットフォームにしていきたいなというのが夢」とメテオラ氏は語る。
今後ますます写真やイラスト等の画像やデザイン、ライターの分業化が進むと言われている電子書籍。総合的な創作プラットフォームとして、こうした「創作人のための電子雑誌」があってもいいと思う。

個人的にはもっと”前衛かつポップ”な色彩を出しても良いと思うが、そんなベクトルにさえ色々な想いを巡らすことができるのも、この雑誌の自由度の高さならではだろう。
そのいち方向性を示した電子書籍として、これからもその活動に注目したい。

『STAR BOX vol.1』 http://www.ipad-zine.com/b/1248/
『STAR BOX vol.2』 http://www.ipad-zine.com/b/1255/
『STAR BOX vol.3』 http://www.ipad-zine.com/b/1260/
『STAR BOX vol.4』 http://www.ipad-zine.com/b/1283/

 

web作家。電子書籍プラットフォームや小説サイトにて活動中。ジャンルは純文、SF、恋愛、娯楽、幻想小説など。

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