海外への盗難車輸出を担う窃盗団の末端は小学生?! 『自動車窃盗団小学生情報収集隊』とは?

  by 丸野裕行  Tags :  

警察庁の調べによると、車の窃盗被害件数は、毎年増加し、平成25年度は21529件だそうだ。
近年自動車盗難が急増した理由は、暴力団の資金源減少したヤクザが自動車貿易をはじめ、不正な中古車輸出をはじめたり、不良外国人の増加したからだと警察は踏んでいる。
しかし、国際的窃盗団組織に、現役の小学生が欠かせない存在になっているのはあまり知られていない。それは、おやつ代、ゲーセン代を渡すだけで請け負ってくれる小学生情報収集部隊としてだ。
今回、話をお聞きしたのは、その小学生を束ねている張本人・N氏。
彼はどこからそんな突飛なアイデアをひねりだし、窃盗を重ねているのか。

<strong>ヤンキー予備軍の小学生を囲いこむ</strong>

N氏が自動車窃盗団を組織して、シノギをはじめたのは、暴対法が施行された頃。
某広域暴力団の三次団体に所属するN氏も、警察の組への締め付けで、ただの車屋ではメシが食えなくなった。
そこで海外へ盗難車を流す商売をはじめたのだ。海外で重宝されるのは、何も車だけじゃない。
カーナビなどは、少々性能が悪くても、中東では軍事兵器に使われる。メードインジャパンの威光はまだま捨てたものではない。
自動車窃盗団は、組織的に動く。役割ごとに専門の係りがいる。調査係、実行犯、運搬係、車体修理・改造、書類偽造係、売却係(海外・国内流通)などに分かれる。
この中でも一番重要な仕事は、街の中で目的の車種、買い手が求めるカーナビを探す情報収集部隊。
しかし、ここである問題が生じる。主な情報収集の時間帯はもっとも目視が確実な朝から昼にかけて。
だが、そんな時間に大の大人が人の車を覗いていたら、すぐに通報されてしまうのが、オチだ。
そこで、N氏は子供を使う。年端もいかない4年~6年の小学生だ。
小学生なら、昼間に住宅地をウロウロとしていたとしても違和感がない。ただ遊んでいるだけにしかみえないからだ。
警察も、国際的な自動車窃盗密輸団が、年端もいかぬ小学生を使って、需要の高い外国車、国産車、カーナビがどの駐車場に止まっているかという情報を得ているとは思いもよらないだろう。
この情報収集の仕事はヤンキーの先輩を持つヤンキー予備軍の子供たちに代々受け継がれていくのだ。
もしチンコロ(密告)でもしようものなら、中学入学と同時に、先輩からのリンチなど地獄の日々がはじまるわけだ。
教育係として活躍してくれるのは、小学6年生。
どこに目的の車種があるかなどの地図の作成や防犯装置やカメラが付いているかどうか、
番犬がいるか、シャッターは手動か自動かどうかなどの情報メモをつけておいてくれる。

<strong>実行部隊へのギャラは1人2千円</strong>

「みんな集めましたけど、Nさん」
「おう、じゃ今日は箕面の方の高級住宅地に行こうか」
あどけない表情をしている子供たちをワゴン車に乗せ、一路、富裕層が住む住宅地へ。
「ほな、5時に集合な!」
「はい!」
オレがそういうと、子供たちは2チームに分かれて、走り出した。
核家族化が進みきった共働きの家には、自分しかいないので、淋しいという気持ちもあるだろう。
できるだけ、その淋しさを紛らわすためにつるむ。オレもその気持ちに心当たりはある。
子供たちは、地図とメモをポケットに入れ、無邪気に探検したり、遊んだり。
誰も気にとめない子供たちは、その間にどの住所にどんな車があるのか、どんなカーナビがついているのかを確認しているのだ。
とがめられたとしても、
「ウチの家に入っちゃダメじゃないか!」
「キミ、どこの子供?」
くらいのもので済む。頭をゴツンとという程度叱られることもない平和ボケした世の中なのだ。
人気車種は、トヨタ ハイエース、スズキ ワゴンR、トヨタセルシオ(国内販売向け)、トヨタランドクルーザー、クラウン(国内販売向け) など。
「Nさん、今日はハイエースが6台みつかりました!」
ケータイ越しに、うれしそうにそう告げる子供たちへのギャランティーは破格だ。
車を1台見つけるごとに、5千円。カーナビは2千円。
常に10人ほどのチームで動くので、1日分を分ければ、1人千円程度のものだ。でも、犯罪に加担しているにも関わらず、小学生はこの金額で喜ぶ。
心が痛くなることはないといえばちょっとはウソになる。
「これ、食えよ!腹減ったろう?」
買ってきたのは、ひとつ100円で買えるマックポークとコーラ。こんなものでも差し入れにもらえれば、それなりの忠誠を示してくれる。ガキはかなり扱いやすかった。
今晩、深夜ごろに窃盗団本隊が動く。そんな寸法だ。

<strong>親にバレが一番怖い</strong>

「ちょっと!ウチの子供に何かバイトさせているんですか?!」
こんな電話がかかってくるときが一番怖い。
もちろん、一部の子供たちはどんなことをして儲けいているかを理解して仕事をしているが、
小4、小5の子は自分たちがどんなことをしているのか何も伝えてはいない。
「こりゃどうも!すいません! ウチの息子とお友達なので、つい手伝わせてしまいまして!私、自動車のセキュリティー関係の会社を経営していまして、住宅地の調査をしてるんですよ。で、息子さんにどこのご家庭に需要があるかの調査をお手伝いしていただきまして…」
「子供が小遣いをもらってますけど!」
「些少ではございますが、お子さんへのお礼ですよ。これは誠に申し訳ありませんでした。もう二度とこのようなことはないようにしますので…ウチの息子にももう二度と誘わないように言いますので、すいませんでした」
ちょっと仕事を手伝ってもらっただけで、小遣いまでもらってそこまで怒る親はいない。しかも、同級生の親を演じているのだから、そんなに揉めるつもりもないはずだ。
丁重に謝っておけばそれで済むし、もしそれでも怒鳴り込んでくるなら、セキュリティー会社の偽名刺を添えた1万円分の商品券を渡すことにしている。大体の親はこれで黙る。金にはやはり弱いのだ。

自動車窃盗に子供たちは欠かせない存在だとN氏は言う。
あなたの車の近くで近所以外の子供たちがボール遊びでもしていたら、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれない。(ライター・丸野裕行)

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年11月9日京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。『初めての不動産投資マガジン』などのポータルサイト編集長、タレントとしてテレビ・ラジオ・トークイベントなど活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 次回作に「純喫茶関東刑務所前」、「六軒町ラブドール」「童貞保護区域指定01号」、「屠殺場、地獄絵図ヲ描ク。」がある。

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