アメリカ12州で小児に多発するウイルス性呼吸器疾患が拡大

  by 松沢直樹  Tags :  

 約70年ぶりに国内で発生したデング熱は、当初発生が確認された代々木公園に関与しない形での感染が見つかった。

 デングウイルスを媒介するヒトスジシマカは、長距離を飛翔しないといわれている。海外渡航歴がなく、また代々木公園へ行ったことがない人もデング熱に罹患していることが確認されている。

 このことから、新たにデング熱の感染が確認された地域は、なんらかの理由でデング熱に感染した人が存在し、その人の血を吸ったヒトスジシマカが、感染の拡大をまねている可能性がある。

現時点では不明な点が多いが、早急な感染経路の確認と拡大防止策が望まれる。

ここにきて、アメリカでもウイルス性疾患の拡大が報告されている。エンテロウイルス68型を原因とする小児の呼吸疾患だ。

エンテロウイルス68型は、呼吸器疾患をもたらすことが知られているが、呼吸器疾患以外にどのような症状をもたらすかは、現在のところまだよく分かっていない。
 乳児から10代までの子供がもっとも感染リスクが高く、米疾病対策センター(CDC)ならびに米メディアによると、コロラド州ほか全米12州で発症患者が報告されており、拡大が懸念されているという。

 エンテロウイルス68型の感染は、日本、フィリピンでも確認されていると言われているが、今回のアメリカのケースのような広範囲の感染は確認されていない。

 他の型のウイルスになるが、中国では、2008年に、2万人以上の小児がエンテロウイルス71型に感染した。これによって、手足口病を発症した子供が34人亡くなっている。そのことを考えれば、日本もアメリカの動向を注視するにこしたことはないと思われる。

 エンテロウイルス68型は、1960年代に発見されているが、他のエンテロウイルスに比べて解明が進んでいない。
 
 予防のワクチンは現在のところ存在せず、せきやくしゃみ、またはウイルスが付着した表面への接触によって人から人へと感染すると考えられている。手洗いと衛生管理の徹底が、感染拡大を予防する唯一の方法とされている。

ふだんの手洗いやうがい、不特定多数の人がふれる場所の消毒など衛生維持を考えることが、個人で確実にできるもっとも有効な予防策のようだ。

※画像は『足成』より
http://www.ashinari.com/2011/01/19-344825.php

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長