話題のゆるキャラ・みやたん!「みやたん音頭」リリースイベントをリポート

8月3日、そぼ降る雨にもかかわらず、兵庫県西宮市の甲子園界隈は一種異様な熱気に包まれていた。
それもそのはず、この日の夕方からショッピングモール『ららぽーと甲子園』で西宮市民にとってかけがえのないアイドルがレコ発イベントを開催するのだ。

ジャニーズ?AKB48?Kポップ?はたまた阪神の選手?

否、西宮市観光キャラクター『みやたん』である。

先日ガジェット通信でも取り上げた(『”ゆるキャラ”ができるまで ~生みの親が語る西宮「みやたん」制作秘話~』http://getnews.jp/archives/635447)みやたんが新曲『みやたん音頭』をひっさげららぽーと甲子園で歌い踊るという情報はすでに西宮市民には周知のこと。

筆者が会場入りしたのはイベント開催の一時間前だったが、すでに数百人の老若男女が集まっていた。

午後6時、「みやたーん!」という嬌声の中、司会の森川美佳さんがみやたんをステージに招いてイベントは開幕した。

紹介したり、なにか説明する必要はない。
テンツクと威勢のいい『みやたん音頭』のイントロが始まると、途端に子供たちばかりでなく大人たちまでもがステージをぐるっと囲み、輪になって踊りだす。

レコーディングでボーカルを務めた西宮少年合唱団、大沢綜師さん、守谷優莉奈さんたちのはつらつとした生歌をバックに懸命に振り付けをリードするみやたん。そしてダメ押しとばかりに応援にきた西宮中央商店街のゆるキャラ『ふくみみ福ちゃん』……なんとも愛らしい光景だ。

この日のイベントは近年急速に失われつつある盆踊りの機会を西宮市民に提供する意味合いもこめられていた。地域のコミュニケーションが空疎な現代で、こうやってさまざまな人々が一同に会し親睦を深められる機会を作るということは、みやたんという偶像抜きにはなし得ない事業であろう。

30分強のイベント中、『みやたん音頭』は生歌編、西宮民謡協会のみなさんによる踊り指南編、リミックス編というように何度も繰り返され、そのたびに踊りの輪を大きくしていった。

正直、筆者は「ゆるキャラの支持層は子供中心で、大人のファンがいたとしても”ちょっと可愛いマスコット”程度の軽い受け止め方をしているに過ぎないのではないか。実在の人間を偶像としたムーブメントと同等の深みには達し得ないのではないか。」という認識を持っていた。
しかし、今回の取材を経てそれは根底から覆された。
みやたんに親しく長々と話しかける人、サインをもらう際に感極まって涙する人、みやたんとの心温まる交流を語る人……取材を通して見知った数々の大人たちの思い入れはまさに生身のアイドルやタレントに対するものとなんら変わりのないものだったのだ。

他のゆるキャラまでは知らないが、少なくともみやたんは制作陣、運営団体の意図を超えた”人格”を持って一人歩きし始めている。

西宮市、大手前大学の学生で、以前みやたんの学園祭へのブッキングに関わった香山凌太郎さんはこう分析する。


最初は「また子供ウケを狙ったキャラができたな」くらいに思っていたのですが、この一年の間に周りの学生や地域住民の間で人気が高まってきています。ゆるキャラブームに便乗して急ごしらえされたキャラクターとは違って、地元への深い愛情やこだわりが感じられるところが個性ではないでしょうか。可愛いけれど軽薄じゃなく、多くの人から大切に愛される要素があると感じています。

みやたん……なんとも奥深いゆるキャラ……今後とも行く末を見守ってゆきたいと思う。

イベント終了後、サインや握手で忙しいみやたんとの接触はあきらめ、手持ち無沙汰にたたずむ福ちゃんと記念撮影して会場を後にした筆者であった。

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の誘いにより芸能活動をスタート。 2007年からは田中友直をサウンド・プロデューサーに迎えソロに転向。 代表曲に「だってしょうがないじゃん」(2011年)など。 近年はテレビ、新聞、ウェブメディアなどの媒体で音楽・芸能評論家としても活躍の幅を広げている。

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