遺伝子工学で外来種を駆除する“遺伝子ドライブ”は果たして万能か?

  by なみたかし  Tags :  

 遺伝子工学(genetic engineering)とは、遺伝子を人工的に操作する技術を指し、特に生物の自然な生育過程では起こらない人為的な型式で行うことを意味している。遺伝子導入や遺伝子組換え(組換えDNA)などの技術で生物に遺伝子操作を行う事を一般に指す。

 DNAを分離し、操作し、細胞もしくは生物に再導入して、そのDNAが増殖できるようにする過程からなる。有用なタンパク質を発現させることや、生物に新たな形質を導入することなどを目的とする。細胞融合やクローン技術などとともに、バイオテクノロジーと総称される。

 最近、遺伝子工学を使って、外来種を駆除する計画が進められている。外来生物は世界中で猛威を振るい、自然の生態系を脅かしている。特に蚊、ヘビ、コイなどの外来種は、既存の技術では駆除することができない。

 そこで、日本では“ウリミバエ”を絶滅させた時に遺伝子工学が使われた。ウリミバエはウリ類などの農作物に深刻な被害を発生させる。日本では1919年に八重山列島で初めて存在が確認され、その後も1929年に宮古列島、1970年に久米島、1972年に沖縄本島、1973年に与論島と沖永良部島、1974年に奄美群島、1977年に大東諸島と分布が拡大していった。

 ウリミバエを防除する方法として不妊虫放飼と呼ばれる手段がとられた。これは、羽化2日前にガンマ線を照射して不妊化した飼育個体を大量に野外へ放虫して野生個体の繁殖を阻止する方法で、個体数を減らし、最終的に根絶を目指すものだ。

 このときウリミバエに照射したガンマ線が、DNAを損傷し遺伝子に変化をもたらした。こうして、不妊化したハエを大量に生産できたのである。沖縄ではこうした大規模な取り組みによって、1993年に根絶を達成することができた。こうした方法を“遺伝子ドライブ(gene drive)”と呼ぶ。

自然科学大好き!最新科学情報・気になる科学情報を何でもわかりやすく発信します! サイエンスライター/理科教員/理科学検定1級/ライブドア第一期奨学生/宇宙/未来/環境/自然/気象/健康/医学/薬学/技術/IT/物理/化学/生物/地学/量子論/遺伝学/古生物/生理学/ノーベル賞/

ウェブサイト: http://liberty7jp.blog9.fc2.com/ http://blog.goo.ne.jp/liberty7jp

Twitter: @takashi_nami