飲むノミダニ駆虫薬

  by tto818  Tags :  

 犬猫を飼育していると、毎年夏の時期に悩まされるのがノミですね。特に猫は屋外に出てゆく場合もあるのでやっかいです。
 ずっと昔は首輪に駆虫薬をしみこませたものが販売されていて、夏の間だけこれを首に巻いておくことが多かったです。普通の首輪とノミ取り首輪と2本付けている犬猫をよく見かけました。
 最近では背中にぽたっとたらす液体の薬にかわってきて、1回つけると1-2ヵ月は効果が続くようになったので便利になりました。以前はノミにしか効果が無かったんですが、ダニにも効く薬が出て、犬でも使う人が増えています。特にここ数年、人にダニから感染する新しい感染症(重症熱性血小板減少症候群)が問題になって、犬でもダニ予防が勧められています。
 背中にたらすスポットタイプの駆虫薬・予防薬はいいと思うんですが、数年前から飲むノミダニの薬が出てきています。予防はしたほうがいいとは思いますが、この内服薬はどうでしょうか。私はあまり使いたくありません。
 この薬の成分はスピノサドという農薬(殺虫剤)なんですが、人のほうでは間違っても内服薬にはならないだろうと思います。現実に残留農薬として考えた場合に、許容一日摂取量は0.024mg/kg/日とされています。1ヶ月になおすと約0.72mg/kg/月です。これはずっと長期間摂り続けても安全だろうという量でして、1回に飲む場合の中毒量とか、そう言ったものではありません。ただ、ノミダニの薬も時期によっては毎月一回飲ませますし、南の方では通年投与の場合もあるでしょう。それでこの薬の投与量はどのくらいかと言うと、30mg/kgとなってます。これを月一回。人の許容摂取量と比べると40倍にもなってますね。残留農薬ではなくて、意識的にノミダニを殺そうとするんですから量が多いのは当然ですが、これを飲んで大丈夫なの?と感じるのが普通だと思うんです。
 ですので私は当分スポットオンタイプで行きます。あれで十分効果ありますし。飲んだらあとには戻れませんし。

追記
 発売間もない薬品ですが、相当数の副作用情報が報告されています。猫での死亡例もあります。使用に当たってはぜひ慎重に、よくお考えになっていただきたいと思います。

医歯薬系の翻訳業。獣医師。海外からのペット関係の情報など発信できればと思いますが、全然関係ないことも。

Twitter: ferretrescueJP