【麺魂】 パスタマシーンで生パスタを作ってみよう!

パスタマシーンって気になるけれども、チョットいまひとつ購入するまで決断出来ない人の為に、今回は「生パスタの作り方」についてサクっと書いてみましょう。

まず「パスタマシーンとは、なんぞや?」と言う話ですが、一般的にはパスタの生地を延ばして一定の幅でパスタ(麺)を切り揃えてくれるマシーン的な何かかと思って下さい。もちろん「うどん」や「ラーメン」の麺も作れます。

【 どのパスタマシーンを選べば良いのか? 】

やはり本場イタリア製の『インペリア』か『アトラス』が無難ですが、最近はより安価なパスタマシーンも出回っているので、そちらを選ぶのも有りです。若干、安いパスタマシーンはモノによっては耐久性に難があるようですが、とりあえず何回使うか分からないし飽きちゃうかもって人は値段重視でも構いません。何度かやってみて面白かったら、安物は友達にでもプレゼントすれば良いのです。

そしてパスタマシーンを買う時にブランドも気になる所ですが、実はパスタマシーンで一番大事なのは

「自分が食べたい麺の幅のカッターが付属しているか否か?」

に尽きると思います。イタリア製のメジャーな製品ならば大抵は「替え刃」がオプションで買えるのですが、その値段が微妙に高いのです。
「本体+替え刃(1.5㎜幅、6.5㎜幅)」が1万円前後なのに、オプションの「4㎜幅の替え刃」だけで6千円以上したりするのです。なので出来れば本体に始めから自分が欲しい刃が付いている商品を探しましょう。

【 何㎜幅のカッターが良いのか? 】

とりあえず2㎜幅で「スパゲティーニ」よりチョイ太い「スパゲッティ」とラーメンとか田舎蕎麦が作れます。
次に欲しいのは4㎜幅で「うどん」と言いたいのですが、大抵はイタリア向けに6㎜の刃が付いている商品が多いです。これだとちょっと太すぎて「きしめん」みたいになってしまうので意外と使う機会は少ないです。
ただし有名なメーカーの製品は「日本向け」のパスタマシーンも輸出しているようなので探せば2㎜前後と4㎜の刃がある商品も見つける事が出来ます。筆者的にはまずコチラの商品をオススメしたいですね。

【 結局、安いパスタマシーンは使えない? 】

麺帯(麺の生地を帯状に延ばしたモノ)を延ばす時にパスタマシーン内部の歯車に負担が掛かるので、安物はそこら辺が弱点と言われています。しかし安いパスタマシーンは替え刃が6種類も付いてる製品もあったりするので、自分の好みの替え刃であれこれ悩まずに済むと言うメリットもあります。
ぶっちゃけ本体の歯車が壊れても替え刃だけを使って麺を切る事は出来るので、とりあえず替え刃を買ったと思えば5千円以下のパスタマシーンも許せると思います。

【 パスタマシーンのメンテナンス 】

購入したパスタマシーンを使う時は、まず最初に掃除をします。掃除と言ってもパスタマシーンは「水洗い厳禁!」の機種が多いので、とにかく綿棒とかアルコールで根気良く掃除をするしかありません。
そして買ってきてから初めて使う時は上記の掃除の他に「麺帯」(帯状に延ばした小麦粉)を何度か通しておきましょう。ローラーやらカッターの部分に残っている油とかゴミを取り除く事が出来ます。そして汚れた麺帯はもったいなけど捨ててしまいます。

その後は仕舞う時にビニール袋に乾燥剤とパスタマシーン入れて口を縛り、密閉した状態でパスタマシーンの箱に戻しましょう。こうすると残った小麦粉からカビが生えたりパスタマシーンが錆びると言う悲劇を回避出来ます。

と、言うわけでパスタマシーンのなんたるかを軽く知った挙げ句にポチっとパスタマシーンを購入したら次の段階です。

生パスタの主原料となる「小麦粉」を選びましょう。やはりパスタと言えば「デュラムセモリナ粉」が王道な気がします。「デュラム」(硬質)の麦を「セモリナ」(粗挽き)にしたみたいな意味らしいですが、まず日本で普通に売られている小麦粉とは小麦の種類が違っていると思って頂ければ幸いです。

「家にある普通の小麦粉じゃダメなの?」

と言う方の為にフォローしますと、イタリアでも南部と北部で好みが違うらしく、必ずしも「デュラムセモリナ粉」を使わなければパスタじゃないとは言えません。しいて言うなら「乾麺」(普通に売ってる堅くて乾燥しているパスタ)はデュラムセモリナ100%とイタリアの法律で決まっているくらいです。
なので「手打ちの生パスタ」と言う事であれば普通の小麦粉100%で作っても問題ないと言う事です。

ちなみに小麦粉をザックリ説明するとグルテンの少ない「薄力粉」はクッキーなどの製菓や天麩羅の衣、グルテンの多い「強力粉」はパンや麺類、中間の「中力粉」は主に饂飩(うどん)で使われる事が多いです。
と、言う訳でとりあえず強力粉か中力粉を用意してみましょう。(ちなみに強力粉に薄力粉をブレンドして中力粉にする方法も有効です)

それではココらで「手打ち生パスタ」の材料をザックリと紹介します。合わせるパスタソースについても熱く語りたいのですが、そうするとチョー長くなるので今回は割愛しましょう。なんなら市販のレトルトソース的な何かを使って下さいって勢いでお願いします。

小麦粉    ・・・強力粉(オーション)500グラム
卵(全卵)  ・・・5個
塩      ・・・小さじ1
オリーブオイル・・・中さじ1
水      ・・・適量

以上です。強力粉は好みで良いのですが筆者の場合はラーメン作りの為に買いだめした『オーション』が大量にあるのでコチラを使用します。
若干、補足しますと『オーション』はパン作りで多用され、他にも蕎麦のつなぎとして使われます。更に近年では「ラーメン二郎」の台頭により、同店で使用される『オーション』が製麺マニアの間で人気です。
ちなみに小麦粉はネットで探すとかなり種類があるので、スーパーだけではなくインターネットや業務スーパーなどを見て、色々な種類を試してみる楽しみるのも楽しいと思います。

卵はあえて「黄身」だけを使ったりするのも面倒なので「全卵」(黄身&白身)で十分です。卵は大きさにバラつきがあるので足りない分は水を入れて目的の分量にします。筆者はいつも卵を何個か計量カップに入れて混ぜまくり、あとは水で水分量を調整し、最終的に小麦粉に対して45%の加水率になるようにします。500グラムの小麦粉を使うので卵と水、オリーブオイルを足して225グラムになるようにします。

塩は下味を付ける為と言うよりは「パスタにコシを持たせる為」と思って下さい。一般的にはグルテンが締まるとか言われていますが、他にも時間が経っても生地がダレにくいなどのメリットがあります。

オリーブオイルは風味を付ける意味もありますが、どちらかと言うと「生パスタの乾燥を防ぐ」みたいな意味が強いと思います。ビニール袋に入れて生地を寝かすと分かりますが、オリーブオイルを練り込んだ生地は袋に付く水滴(水蒸気)が少ないように思えます。

【 水回しの行程 】

ネットのレシピなどはざっくりと小麦粉で堤防を作って、その中に卵をパカパカと割りいれる作り方が紹介されていますが、製麺マニアの筆者から言わせて頂くと

「とりあえず卵と塩とオリーブオイルをきっちり混ぜろ」

って感じです。こねてりゃ形になると思うでしょうが、麺打ち(特に蕎麦打ち)の世界はそんなに甘くありません。製麺行程で一番の肝は「水回し」なのです。コイツがしっかり出来ていないと、あとでいくらコネくりまわしてもムラのある麺になってしまいます。一番最初に均一に粉に水分を回す事こそ「麺打ち」の真髄と言っても過言ではありません。

と、一応は言っておきますがパスタの場合は適当でも大丈夫です。筆者は「菜箸派」なので素手ではなく菜箸で最初にざっくり混ぜいます。そして、ある程度まとまってから手の平の根元辺りで体重を乗せながらコネくりまわして行きます。

【 生地を休ませる行程 】

ある程度コネまくりまくったら生地の表面がスベスベになってきます。そしたら一度、ここで生地を休ませます。一般的には冷蔵庫で休ませるらしいのですが、冷蔵庫で温度を下げると後で水分が表面に出る(水滴と言うほどではないけど)ので筆者は室内で寝かす派です。
生地の表面が乾燥するからと、丁寧に空気を抜いたりラップをして寝かす方法が主流ですが、どうせパスタはオリーブオイルも練り込んでいるので適当で大丈夫です。清潔なビニール袋に入れて小一時間休ませましょう。

【 さらなるコシを求めて頑張る行程 】

パスタに「うどん」ほどのコシを求める必要の是非は否めませんが、せっかくなので頑張ってみましょう。この行程を省いても生パスタは完成しますが

「俺、頑張った! 休日なのに超頑張ったった!!」

みたいな満足感と強いコシを得られるので時間がある人は頑張りましょう。さきほどの寝かした生地を大きなビニール袋に入れて踏んで延ばしちゃ折り、踏んで延ばしちゃ折りを飽きるまで繰り返します。この時にビニール袋が破れると悲しいのでビニール袋を2枚使って2重にしておきましょう。
踏み飽きたら再び生地を休ませます、先ほどと同じように小一時間休ませましょう。

【 パスタマシーンで延ばす行程 】

いよいよ小麦粉の固まりを麺帯にする段階です。テーブルの上に『サランラップ』を敷いて麺を延ばす準備をします。ラップしておけば衛生的だし掃除も楽です。
この時に生地がくっつかないように「打ち粉」も準備します。打ち粉は片栗粉やらコーンスターチやら言われていますが、筆者に言わせれば麺と同じ小麦粉で問題なしです。
くっつきやすいデメリットはありますが、そこは「麺打ち職人の技」と打ち粉の量でカバーします。メリットとしては麺に練り込まれても同じ小麦粉なので馴染みが良く味が変わらない点が挙げられます。

そして麺棒で頑張って延ばします。棒ならなんでも良いのですが、それなりに堅い生地なので力を入れやすいモノを選びましょう。

さらに延ばします。とにかく何度も延ばしては折りを繰り返し「パスタマシーンに入る幅と厚さ」になるように頑張りましょう。ここで手を抜いてブ厚いままの麺帯(帯状にした麺の生地)をブッ込むと高確率でパスタマシーンの歯車が壊れます。具体的には

「パスタマシーンのローラーを最大限に広げた隙間+3㎜が限界」

って感じです。このくらいまで麺棒で頑張ればパスタマシーンを壊す事もないでしょう。パスタ作りはとにかく根気が大事です。

そしてパスタマシーンのローラーの間隔を最大にして麺帯を投入します。パスタマシーンのローラーは隙間を調整出来るダイヤルが付いているので、それを使って徐々に麺帯を目的の厚さまで延ばすのです。この瞬間が一番

「俺、超麺打ちしてるんじゃね?」

みたいな自己陶酔にひたれるので、一気に麺帯を薄くしようと欲張らず何度もローラーに通すのが肝です。若干、手動式だと慣れるまでは戸惑いますが、慣れてくると生地を片手で送りながら、ローラーのハンドルを回すみたいな技を習得出来るはずです。

ただし、この時に自分の技に見とれて余裕ぶっこいてると「麺帯と麺帯がくっついたり、ローラーに麺帯が張り付く悲劇」が確実に訪れるので、打ち粉も忘れずにまぶしながら作業します。

【 麺帯をカッターで切る行程 】

そしてローラーを何度も通して目的の麺帯の厚さになったら、今度はハンドルをカッターの方に刺して麺を切ります。

「目的の厚さとは?」

となると難しいのですが、まあ3㎜くらいの厚さで良いんじゃないでしょうかね?
あまり薄く延ばそうとするとローラーに生地がくっついて破れたりもするので、慣れるまでは2㎜幅のカッターを使う時でも、生地は3㎜くらいの厚みで通した方が無難です。

そして麺帯は片手で持ちながらカッターの刃を回すと、麺帯が巻き込まれながら切断され、カッターの幅で麺がスルスルと出てきます。麺帯がパスタに生まれ変わった瞬間で、まさに感動の嵐です(自分に酔いしれる至福の時)

パスタを使いやすい長さまで送ったらハサミで切ります。出てきたパスタは切断面同士がくっつきやすいので、すぐに打ち粉をまぶしてトレーなどに一食分づつに分けて並べていきます。

【 生パスタを茹でてみる行程 】

完成した生パスタを食べてみましょう。作ってから30分くらい置いて落ち着かせた方が良いので、まずパスタマシーンを片付けてみたり、飛んだ粉を掃除したりして時間を有効に使います。そして最大の肝となる

「生パスタの茹で加減とは?」

となりますが、これは作ったパスタの太さによりけりです。しいて言うなら生パスタは茹で上がりが早いので、茹ですぎないようにチョイチョイ味見したり、箸で触って堅さを確認します。
ざっくり言うと、普段使っている乾麺のパスタの半分、ないし4割くらいの茹で時間をイメージしてしておいて下さい。

と、言う訳で文章で書くとやたら面倒な感じですが、実際に生パスタを作ってみると作業と言うよりは、楽しみながら進められるので苦痛ではありません。時間も生地を寝かす時間を短くしたりすれば、小一時間もあれば作れるんじゃないでしょうか?

もっとも時間を気にしながらせかせか作るよりも、休日にのんびり生パスタ作りを楽しんだ方が幸せになれる気もするので、まあ細かい事はさておいて、とりあえず小麦粉を練ってみたらどうでしょうか?
なんならパスタマシーンとか無くても麺棒と包丁で頑張れば、それなりに生パスタは作れます。もっとも生地の厚さを均一にするとか、パスタの幅を揃えるとなるとパスタマシーンの方が簡単で確実ですけどね。

ちなみに作った生パスタは冷蔵庫で2~3日くらいは保存出来ます。冷凍は食感が大幅に落ちるのでオススメはしません。なので作る時は3日以内で消費出来る分の生パスタを打つようにしましょう。
筆者は冷蔵庫だと冷え過ぎると考えているので、冷蔵庫の野菜室にタッパに入れて保存しています。さらにタッパの蓋についた水滴が落ちないように、蓋にキッチンペーパーを挟むと言う微妙な技も使います。
まあ、麺類の保存と言う事で言えば、本当は木箱が理想なんですけどね。生パスタの場合は卵を使っているので冷蔵庫の方が安心です。

長々と生パスタ作りの行程を書き連ねてきましたが、とにかく理屈抜きで「麺作り」は楽しいと思います。ただの小麦粉が手間をかける事で立派な生パスタになるのがたまりません。
無論、一人で頑張るのもストイックで良いのですが、やはり家族で作るのが面白いかもしれません。子供も喜ぶ事でしょう。

それでは、みなさんも楽しい「生パスタ作り」にチャレンジしてみて下さい。

酒と料理に情熱と脂肪を燃やすフリーライター ”日の丸構図で寄りまくる!”と言う素人写真を武器に暗躍する。美味しい料理を世界にバラ撒く”飯テロリスト”として各国の情報機関にブックマークされたが反省はしていない。 取材依頼(新店舗、新メニューのPR)その他記事の執筆依頼は下記のメールアドレスまでお願いします! [email protected] なんとなく作ったサイトも絶賛稼働中! http://foodnews.jp/

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