豪華絢爛「さげもん」 ほんなこつ美しか柳川の旧暦ひなまつり

  by 松沢直樹  Tags :  


福岡は、柳川に出かけてきました。
柳川といえば、南の有明海に注ぐ温暖な場所で、
川下りなどの観光スポットが昔から有名です。

最近は、リーズナブルに利用できる温泉もあったりして、
ゆったりと過ごすには、なかなかよい感じ。

はあー、のどかでよい感じですね。
でも、松沢的には、こちらのほうが……

そう、柳川名物「うなぎのせいろ蒸し」です。
タレをまぶしながら焼き上げた、うなぎのかば焼きを
ごはんに乗せて、せいろで蒸し上げたもの。

蒸すことによって、うなぎの脂とうまみがごはんに
しみこむ調理法ですね。
ごはんにも、うなぎのタレを混ぜ込んであります。

蒸されて、ふっくらと仕上がったうなぎと
濃厚なうなぎのうまみがしみこんだごはんのコントラストが
最高ですわん。うるうる。

肝吸いもついて、あたしゃ大満足でございました。

地元のお店の中では、お値段ちょっと高めらしいです。
注文を受けてから、うなぎを焼いてくれるので、少々お時間かかります。
とはいえ、お座敷で川下りの様子を眺めながら、のんびり過ごす場所代を
考えると、コスパは高いように思います。

ちなみに、松沢は、西日本鉄道さんが発売している
「往復の電車」+「川下り」+「うなぎ屋さんでの食事つき」の
「柳川特盛きっぷ」という企画切符を使いました。
西鉄福岡からだと総額5150円なので、これだけ楽しめれば、
かなりお得ですね。

うなぎを堪能したあと、おいしいものを探して、柳川の町を散策。
「まだ食うのかよ」とおしかりを受けそうですが、仕事なんです、仕事。

柳川は、南に面した有明海に、川が注ぎ込む場所でもあります。
有明海は、魚や海苔がおいしい場所として有名なのですが、
まずはその前に甘味のものでも。
ふらりと入った和菓子屋さんで、面白いものを見つけました。

あら、おひなさま。
4月なのになんで?

「このあたりは、旧暦でお雛祭りば、お祝いするとですよ」
和菓子屋さんのおばあちゃんが、にこやかに説明してくれました。

「へー、そうなんですか。お雛様もきれいですけど、この飾り物もきれいですね」

「この上からぶら下がっとるのはね、「さげもん」ち言うて、
こどもが健康に育つように願って下げるとですよ。
柳川のおうちは、お雛様よりも、さげもんのほうが立派なくらい
飾り付けするおうちが多いですね。」

「さげもん」に似た飾り物をするのは、日本中に数か所あって
静岡県の稲取、岐阜県の飛騨高山などが有名なのだそう。

ただ、これだけの数の人形をつるすのは、他の地域では見られないらしい。
つるしてある人形にも、いろいろな意味があるそうな。

サル―母猿が子猿を片時も離さないことから、母子の愛情がはぐくまれるように。
エビ―腰が曲がる年まで元気に過ごせるように。
セミ―セミが木にしがみつくように、根気強い子供になるように。

「それにしても、きれいですよね。」

「せっかくやけん、この近くの旧家さんが、立派な飾り付けしとるけん、
見てきたらよかよ。」

なるほど。昔から、旧家って、ひな祭りとかだけじゃなくて、
年中行事の飾り付けすごかったからなあ。

和菓子屋のおばあちゃんに、教えてもらった旧家に足を運んでみたら、
快く取材に応じていただいた。
「遠いところからよくお越しくださいました。さあ、上がってごらんになってください」
奥様にご案内いただいて、おうちに上がらせていただいたのですが……
ここからは、説明不要でしょう。

まさに豪華絢爛!!
飾り付けをされているお部屋の全景を、撮影できないほど、
お人形と「さげもん」が飾り付けしてあって、
とても幻想的でした。

残念ながら、飾り付けの時期は過ぎてしまいましたが、
ゴールデンウイークから夏場は、川下りと有明海の珍味が旬を迎える時期。
関心を持たれたら、お出かけしてみるのもいいかもしれませんね。

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長