『転載禁止』騒動に思う“キュレーションサイト”の未来

  by ぶらっくまぐろ  Tags :  

今週になりインターネットの世界を賑わせている『転載禁止』騒動。

そもそも今やインターネットの世界は“情報キュレーションサイト全盛期”と言われる。
かつて人々はWEB上のありとあらゆる場所に散らばった情報を自分たちで収集し、それを自分たちの頭の中で“まとめて”整理していた。
しかし『痛いニュース』を代表とする『まとめサイト』の登場により、人々は一つに“まとめられた”情報を見る利便さを覚える。
今までどこかアンダーグランドで怖い場所の印象があった2chの情報を、「ブログを見ている」と思い込むことによって後ろめたさなく閲覧できるような気がしたのかもしれない。

事実ブログランキングのトップは軒並み『まとめサイト』だし、スマホアプリの上位にはまとめサイトをまとめた『まとめのまとめ』アプリが名を連ねる。

こうした『まとめサイト』による2chのスレッドまとめは時に管理者の恣意的なまとめにより、スレッド内で議論している本質と違ったもになることが問題視されることもあり、2chの住民から反発を受けることもあった。
そのような背景から2012年には、人気まとめサイト『ハム速』を代表とする4サイトが“転載禁止”処分を受ける。
圧倒的集客を誇る人気サイトへの転載禁止処置を受けて、同サイトの運営方針の行方は大きな関心を呼んだ。
サイトによって多少の運営方針に違いはあるものの、その大きくは“転載禁止されていない(例えばtwitterなど)の情報をサイトに転載し、その記事についたコメントをまとめていく”というように変わっていった。
今だからこそ言うが筆者は2chにスレッドを立て、それがまとまっていく様を見ているのが楽しかったので、これまでと違いポジティブな意見ばかりまとめられていくサイトの内容に辟易とし日常的な閲覧をやめてしまった。

もちろんこれらのサイトは今日も存在するし、多くの人々がそれに満足しているという事なので一向に構わないのだが。

話を本題に移す。
まず、情報キュレーションサイト全盛時代は終わるのか。これは終わらないと断言できる。
一旦慣れてしまった利便性を捨てることが出来ないのは、モノや時代に関わらず普遍的である。
しかし今回『全てのまとめサイト』に転載禁止令が出されたことにより、2chまとめサイトはかつての“本質”からはずれていくだろう。
そもそも『2ちゃんねる』の情報は一部を除いてまとめられないので、形を変えていくこととなる。

ではどういう形に変わっていくのだろうか。
まとめの元となるのが、多くのサイトが表明している今後の運営方針であるTwitterや一般ニュースなどの情報ソースだった場合を仮定する。
おそらくこれまでと同じように多くのサイトが同じソースを手を変え品を変え掲載するだろう。
そこでポイントとなるのが“インフルエンサーと呼ばれる人物の存在”だ。少し古い言い方であるが。

『まとめサイト』管理人の目線に立って考えてみれば、今までは2chだけ、しかもほぼ固定された板だけ観察して記事のネタをウォッチしていればよかった。
それがこれからはTwitterを始め様々な場所から“ネタ”を探してこなければいけない。
彼らの目に入りやすいのは、フォロワーの少ない人物のネタではなく“既にたくさん話題になっている”ネタである。
必然的にフォロワー多かったり注目度の高い人物、“インフルエンサー”の存在が強くなるのだ。

このような“インフルエンサー”と呼ばれる存在の力が大きくなった場合に考えられる懸念をあえて挙げるとするならば、
それは“ステマがやりやすくなる”ことである。

インフルエンサー側に仕掛けさえ作っておけば、あとは勝手に『まとめサイト』が“好意の読者”に発信し、利便性により思考能力の欠如した彼らの洗脳にいともたやすく成功するのだ。
『嘘を嘘と見抜けない人に(掲示板を使うのは)難しい』という大昔のひろゆき氏の発言が年月を経て、『嘘を嘘と見抜けない人に(インターネットを使うのは)難しい』時代に突入した。
これからは検索結果で出てくる膨大な量の“キュレーションサイト”を巡回しながら自分の頭で“まとめて”いく。
そんな後戻りのような行為ももしかしたら必要なのかもしれない。

関西生まれ。 テレビとかCMとか馬とか食とか好きなので、そういう記事が多くなるかもしれないです。 執筆記事、超募集中。

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