首相やメダリストも患う難病「潰瘍性大腸炎」とは?

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意外と多い患者数

  安倍晋三首相や、ロンドンオリンピック水泳女子4×100mメドレーリレーの銅メダリスト上田春佳選手の持病である潰瘍性大腸炎。この病気は、厚生労働省より特定疾患、いわゆる”難病”指定されています。平成23年度特定疾患医療受給者証交付件数は約13万人と多く、あなたの周りにもこの病気を患っている人がいるのではないでしょうか?

 実は私もこの病気を患って2年になります。

 

誤解されやすい症状

  潰瘍性大腸炎(UC)は、何らかの原因により大腸の粘膜に炎症が起こり、ただれや潰瘍ができる病気です。それにより激しい腹痛や下痢・粘血・下血がおこります。

 症状としてはいわゆる”腸炎”と似たものであるため、かつての安倍首相がそうだったように「お腹が痛いくらいで。」と誤解されることも多い病気です。咳や鼻水と違い、便という他人には見えない症状を理解してもらうのはなかなか難しいものです。

  この病気の重症度を表す基準に排便回数があります。つまり症状は一般的な腸炎と似通っていても、便意や排便などの頻度が通常の腸炎とは全く違うと思っていただくとよいでしょう。

 そうはいっても「ちょっとぐらい我慢できるでしょ?」と思うかもしれません。しかし直腸への炎症がひどいときなどは、便意を感じた瞬間には便がでるいうことも珍しくありません。トイレから出ることができずにトイレで1日の大半を過ごしたということはUC患者の日常にはよくある光景です。便を漏らすことの不安から外出ができない人、オムツを履いて出かける人もいるくらいです。

 もちろん私も例外でなく、体調が悪い時は1駅ごとに電車を降りてトイレに駆け込みながら目的地へ行くということも多々あるので、10分前行動どころか、最低でも30分前行動が基本になりつつあります。

 

難病に対するイメージ

 誤解されるもう1つの要因として、腸が炎症がひどくない状態ではみなさんと変わりない日常をおくれるということもあるのではないでしょうか。

 難病というと、”不治の病”、”死に至る”など重いイメージを持つ人が多いと思います。実際そのような病気もありますし、潰瘍性大腸炎も”完治”することはありません。

 潰瘍性大腸炎は、腸に炎症がおきていない状態を保つための治療をしております。腸が炎症していないということは健康な腸と同じ状態なわけですから下血もなければ下痢でもありません。軽症程度の炎症であればよくあるお腹を少し壊しているくらいの症状が続く程度の人もいます。「こんなに元気なのに本当に難病なの?」そう思う人も多いでしょう。

 しかしそうはいってもやはり難病。食事内容やその他の要因で翌日には急に体調が悪化することもあるのがこの病気。「昨日までは元気だったのに急に体調が悪くなるなんて都合がよい。」という誤解を与えかねないのです。

 

誤解しないで!

 安倍首相のおかげで、この病気はたくさんの人に認知されはじめました。しかし逆に発言の取り上げられ方などにより誤解されている部分もあるような気がします。認知されるということはその分、誤解も生まれるということです。患者数が多い病気だからこそ、みなさんに誤解してほしくはないのです。

 今後も、患者側の視点からこの潰瘍性大腸炎や難病についてみなさんに伝えていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

30代後半、独身の派遣社員、恋人ナシ。 プロ野球観戦、食べ歩き、読書、コンパとそれなりに毎日楽しく過ごしていたけれど、突如、難病「潰瘍性大腸炎」を発症。 それでも「出来る範囲でめいっぱい楽しく毎日を過ごそう!」と開き直った女が、病気について語る。

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