もはや香りで満足?!脳とビールの“いい”加減な関係。

  by Yukiko Seno  Tags :  

 

4月15日付の科学誌、NeuropsychopharmacologyではBrandon G Oberlinらによる論文、“Beer Flavor Provokes Striatal Dopamine Release in Male Drinkers: Mediation by Family History of Alcoholism”を掲載している。

 

この論文では、様々な飲酒歴の男性を2つの集団に分け、ゲータレードとビールをそれぞれ摂取させ、血中にそれらが取り込まれる前に脳をスキャンしドーパミン量を測定。ビールを飲んだ集団はゲータレードを飲んだ集団よりも多くのドーパミンが放出されていたことを明らかにした。また、ビール中に含まれるアルコールの成分そのものではなく、その味や香りなどの風味を感じることとドーパミンの放出が関与していることを初めて示した。

 

 

 

では私たちはノンアルコールビールを飲んでも幸せを感じることができるのか??

 

ここ数年で日本では大手メーカーがこぞってノンアルコールビールを開発し、その進歩は目覚ましい。

 

しかし、仕事から帰り、家のTVの前でプシュっと缶ビールを開け、プハーっとやるときのなんとも言えないカラダに満たされるあの幸せ。ビールから感じるあの幸せが風味単独によるもので、ノンアルコールビールでも同じ事?と考えると、なんだか切ないのだ。

 

ノンアルコールビールの風味は、ビールの原材料のホップの香りや醸造過程で酵母が放出する代謝産物としての化合物などによる香り、またホップの苦味や麦芽の持つ甘味などからくる風味を人工的に創りだしたものである。

その人工的な化合物を、私たちの脳は見分けられないのか??

 

なんともいい加減なものである。

 

いや、そもそも、ビールのアルコール分に左右されることなくその風味のもととなる物質を検出し、それに反応してドーパミンを出すのだからいい加減どころか、かなり高性能、つまり”良い加減”というわけか。

 

 

いずれにしても、私達のお酒の席ではこの被験者と違い、もともとビールなのかノンアルコールなのかを分かっていて注文するのだから無理もないが、やはりかなりビールに近づいた昨今のノンアルコールビールでも、ビールには取って代われない、と思うのはもはや先入観なのだろうか?

 

この論文はそのノンアルコールビールの威力を裏打ちしているともとれる。

 

いやはや、ノンアルコールビール、侮れない。

 

 

 

出典:Neuropsychopharmacology “Beer Flavor Provokes Striatal Dopamine Release in Male Drinkers: Mediation by Family History of Alcoholism,”

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