40年の時を超えて蘇る旧東ドイツ絵画

  by 松沢直樹  Tags :  

社民党本部が永田町から移転したニュースは、一部の人に郷愁をもたらしたようです。
本部移転に先立って、社民党員の方が発掘した旧東ドイツから送られた絵画を観賞する機会に恵まれました。
1960年代末期から、1970年代初めに制作され、当時の日本社会党(現・社会民主党)に送られた作品群。
当時、日・東独は国交がなく、この時代に制作された作品が日本で保存されていたことは、とても希有なことと言えます。

当時、激化が進み、世界に問題を投げかけていたベトナム戦争を描いた作品群は、極めて客観的に「戦争のむごさ」と、長引く戦争に苦しむベトナムの市民を克明にとらえています。

社民党所蔵 旧DDR(ドイツ民主共和国)寄贈版画その3 ゲルハルト・ボンツィン(Gerhard Bonzin)画 シリーズ「ヴェトナム」1/3(爆撃機に反抗する五つのこぶし) 木版画


社民党所蔵旧DDR(ドイツ民主共和国)寄贈版画(寄贈年1968~9?、
旧日本社会党に寄贈)その1 シリーズ「ヴェトナム」1/1(二人のヴェトナム人)木版画。ゲルハルト・ボンツィン(1930~?)画


社民党所蔵旧DDR(ドイツ民主共和国)寄贈版画その2 シリーズ
「ヴェトナム」1/2(爆撃機におびえるヴェトナム人母子)木版画。ゲルハルト・ボンツィン(1930~?)画

かつての戦争の記憶が風化する中、私たちの国ニッポンは、少しずつ危うい進路を取っているように思えてなりません。

40年の時間を経て蘇ったこれらの作品群に触れ、戦争のむごさ、そして、この国が取ろうとしている進路について考えてほしいと思います。

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長