「子供には体罰を受ける権利がある」? 体罰の会

  by 中将タカノリ  Tags :  

桜ノ宮高校のバスケット部員自殺事件をうけ、学校教育と体罰の関わりに関心が集まっている。これがなくとも行政や世論は体罰禁止を徹底してゆく方向で動いていると思っていたが、世の中にはこんな組織もある。その名も『体罰の会』

主宰者は加瀬英明氏。父が戦前戦後の政局に大きな影響をあたえた外交官加瀬俊一だったり、いとこがオノ・ヨーコだったり、『醜い韓国人』という本を韓国人になりすまして執筆した疑惑がもたれていたり、編集委員会代表を務めていた月刊誌『自由』で「(終戦時)昭和天皇は無責任だった」と主張して批判をうけたりとエピソードに事欠かない人物だ。

体罰の会ホームページでは体罰を肯定するさまざまな主張が散見されるが、その要旨は「子供には体罰を受ける権利がある」「(体罰の禁止された)日本の戦後教育に重大な欠陥がある」などといったもの。また『体罰に関するQ&A』にも回答している顧問は、あの戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏氏。体罰どころか生徒を暴行致死に追い込んだ経歴のある人物だ。つい先日も戸塚宏氏はテレビ朝日『サンデースクランブル』に出演した際「(自殺したのが)あの子だけということは、あの子にも問題があったということ」と発言し波紋を呼んでいる。体罰肯定派の牙城とも言えるこのホームページは、現在相当の注目を集めているようで、掲示板では体罰肯定派、否定派が入り乱れてさまざまな議論が繰り広げられている。

中でも「日本より3倍も柔道人口の多いフランスにおいても、事故は起きていないようです。日本人は「根性を叩き直す」とか、精神性を持ち込むから危険なんじゃないですか?要するに体罰とスポーツが分離されていない!
柔道事故では、戸塚ヨットよりも、はるかに多くの子供が死んでいます。問題児でもない普通の子供が、これだけ死んでいるのです」という問題提起は印象に残った。

筆者も桜ノ宮高校と同様に、体育専門のコースを持つ大阪桐蔭高校に在籍していた(11年前まで)。筆者自身は体育系の部活には属していなかったが、いたるところで体育教師が体育系の生徒を殴ったり蹴ったりする暴力は目にしていたし、そういう空気を反映してか、体罰を積極利用する教師も全体に多かったように思える。しかし今、大人の目線で振り返って考えると、そういった教師はほとんどが自己中心的で独善的、生徒からの支持も少なかった。暴力をふるわなくても怖い先生はいたし、なにより生徒として印象に残っているのは“ことば”で指導してくれた先生だ。暴力は心と体に消えない傷を残すが、良言は心に消えない感銘を残す。日本の学校教師が高い理想をもって教育に取り組んでくれることを祈るばかりだ。

※画像は『体罰の会』ホームページから引用しました

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

ウェブサイト: 【公式サイト】 http://www.chujyo-takanori.com/ 【公式ブログ "夜はきままに"】 http://blog.chujyo-takanori.com/

Twitter: chujyo_takanori

Facebook: takanori.chujyo