人生の結末(1)~福祉施設のある日の光景

  by サイキッカー  Tags :  

どんな人も最後は土に還っていく。貧乏人だろうと、金持ちだろうと。
人はその数だけ多彩な人生を送り、多くのドラマを生み出すのだが、「死」その物はどんな人にも等しく訪れる機会で、そこから逃れる事はまず不可能だろう。
高齢化社会の第一線で機能する福祉施設にあって「死」というのは、ある意味身近な存在であり、そこで働く者からすると
その入所者を語る上で、まず忘れられない機会の一つと言える。
今回はその福祉施設で僕達が関わる「死」の風景について少しばかり。
草彅剛さん主演で、映画化もされたドラマ『任侠ヘルパー』は福祉施設を舞台にした作品で、福祉業界の僕らも結構見ていた。
多少の演出は別にして、現場の僕らから見ても、福祉の世界を丁寧に描いてくれていたと思う、それでも「これはちょっとなあ・・・」っていう場面が少なからずあったのも事実だ。
今回のタイトルにも関わるが、舞台となる施設で、危篤状態の入所者を、大杉連氏の施設長が「皆さん、〇〇さんに声を
かけてあげてください」と多数の入所者に最後を看取らせていたのがそれだ。
施設という特殊な環境にあって、入所者同士の絆を感じさせるいい場面なのだが、現場の視点で考えると「まず無茶」と思ってしまう。
施設で臨終と言うか重態の入所者を面倒見る場合、四六時中人が張り付いている状況じゃなければ急変時に対応はまず
無理だ。人手不足=福祉の世界って状況下で、そうした入所者を施設で最後まで見るのは、よほど余裕のある施設じゃなければ難しい。
仮に其の辺をクリアしていたとしても、最後は、その人専用の個室で面倒見るとかして、入所者を呼び最後を看取らせるのも、後で看取った入所者がショックで体調を崩したりする事も考えられるのでまずやらない。
それだけ施設に暮らす高齢者は繊細と言うか、死に対して敏感なのだ。
実際に施設ではどうなるかとなると、昔と違って、最後まで施設でっていう事はまず少ないんじゃないだろうか。
それが実感だ。
次回は其の辺の事情と実際に看取りに関わった話に関して少しばかり、お付き合いいただければ。

 社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネージャー) 介護福祉士の介護三大資格を修得。 敷居の高い、未だに謎のベールに包まれている介護、福祉の世界を身近でわかりやすく伝えたいです。 熱く武道、特撮も語れる空手家でもあります。

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