尼崎事件で注目のたこ焼き店店主 廣瀬哲也の告白

  by 中将タカノリ  Tags :  

10月19日配信の記事『尼崎事件インタビューでキャラに注目集まる たこ焼き店経営男性の実像に迫る』(http://getnews.jp/archives/265438)で紹介した廣瀬哲也(ひろせてつや)さんだが、その後も勢いは衰えることなく、各メディアの取材に精力的に応えている。思わぬことから人気スター並みの露出をすることになった彼に、この1か月を振り返ってもらおうと再度インタビューを申し込んだ。

まず言いたい 角田優太郎はイケメンじゃない!

筆者:相変わらずのご活躍ですね。あれから一か月の間に角田美代子容疑者が逮捕されたり状況も変わってきましたが、取材の内容にも変化はあるのでしょうか?

廣瀬:はじめは角田のおばちゃんに関する質問ばかりだったのが、息子(角田優太郎)、瑠衣ちゃん、李容疑者に関する質問に変わってきましたね。今マスコミで流れているそれぞれの印象って、だいたいは僕が証言した内容がそのまんま使われているんですけど……ひとつだけこの機会にぜったい訂正しておきたいことがあるんです。

筆者:どんなことでしょうか?

廣瀬:息子の見た目に関することなんですけど、よく”イケメン”とか”容姿端麗”とか言われてるじゃないですか。あれ僕のうっかりっていうか……言い間違いがきっかけなんです。ただ「目だけはかっこいい。外人みたいで」って言おうとしたのを記者さんのプレッシャーに負けて「かっこいい」と言わされてしまったっていうか。

筆者:そうなんですね! 実際のイメージはどんな感じだったんでしょう?

廣瀬:体型はずんぐりむっくりやし、顔は奇面組の一堂零みたいやなって思ってましたね。でもブサイクなわけでもないし、ゆうたらフツーのルックスですよ。僕のまわりによっぽどかっこいい友達たくさんおるから、センスを疑われないためにもこの点だけは訂正しておきたかったんです。

印象に残ったのは『朝ズバッ』 みのもんた生電話

筆者:これまでNHKから民放までかなりの数の番組に出演されましたよね。今のところ一番印象に残っているものはどれですか?

廣瀬:やっぱり『朝ズバッ』でみのもんたさんと電話した時ですね。事前に「7時45分くらいに電話しますんで」と言われてたんですけど、その待ち時間とか本気でテンパってましたよ。そんで電話終わったら何しゃべったか全然おぼえてませんでした(笑)。

筆者:「角田美代子は好みのタイプか?」とか意味わからないこと聞かれてましたね。

廣瀬:それも全然おぼえてないけど、たぶん角田のおばちゃんを恋愛対象にすることは不可能ですね!

筆者:あと、聞かれてもいないのに「お風呂とベランダが怪しい(殺人現場として)と思う」って言ってましたけど、何日か後の警察発表で廣瀬さんの予想通りだったことがわかってびっくりしました。

廣瀬:僕、子供のころにデパートで泥棒を捕まえて曽根崎警察(大阪市)から表彰されたことがあるんです。その時の判断力や指揮力を警視正から「君は犯罪のにおいをかぎ分ける才能がある。大人になったら絶対警察に入れよ!」ってほめられたほどで。そういう勘だけはすごいするどいんですよ。

不愉快な取材もあった 言いたかないけど『神戸新聞』

筆者:これだけの取材があると、やっぱり中には嫌なこともあると思うんですが。

廣瀬:あるね~、神戸新聞! あそこで記者やってる友達もいるから言いたくはないんやけどね。

筆者:どんなことがあったんですか?

廣瀬:街を歩いてたらとつぜん若い女性に「たこ焼き屋のご主人ですよね? 神戸新聞の記者なんですがインタビューさせてください」って言われたんですよ。プライベートな時間やったし突然聞かれてもこまるから断ったんですけど、しつこく付きまとってきてしまいにはパチンコ屋の隣の席まで(笑)。嫌になってトイレに逃げ込んだらさすがに帰りましたけどね。

筆者:強引な取材でネタを拾おうとする記者もいるんですねぇ。

廣瀬:しかもそれで終わらなかったんです。次の日に、お店にはいってたら、男の人がカウンターに座ったんで普通にお客さんとして対応してたんです。そしたら急に「このあたり、事件があって大変でしたね」からいろいろ質問始まって、しまいにはメモまで書き出す始末。僕が「ちょっと待ってください! マスコミの方ですか?」ってさえぎってから初めて「実は神戸新聞なんです」って。人間として礼儀がなってない!

お客や友人からの反応 「お前狙われてるぞ」

筆者:お店のお客さんや地元の友達からの反応ってどうですか?

廣瀬:お客さんはあんまり変わりませんね。「君も大変やなぁ」くらいのもんで。一見のお客さんは少し増えたけど、狭い店だから代わりに常連さんが入れなくて収支もプラマイ0です。あと友人は……離れていってますね(笑)。急に電話がかかってきて「お前のために言うけど、残党に狙われてるぞ。いい加減にしたほうがいいぞ。」って忠告されたり、連絡がとりにくくなったりね。

筆者:おぉ! 少し怖くなりますね。実際に怖い思いをするようなことってありませんか?

廣瀬:今のところないですよ。もし来ても返り討ちにしてやりますよ(笑)。あと、たこ焼き以外にタクシーの運転手もしてるんですけど、そっちではお客さんに握手を求められたり、「酒鬼薔薇聖斗(神戸連続児童殺傷事件)の同級生なんですけど、あいつ今は出屋敷で働いてますよ」とか不必要な犯罪者ネタを提供されたりしています。

”ヨゴレ”を背負ってでも尼崎の街を盛り上げたい

筆者:前の記事の反響として「暗くて恐怖感におしつぶされそうなニュースだけど、たこ焼き屋の兄ちゃんを見てると救われた気持ちになる」というものがありました。オウム事件しかり、陰惨な事件の中にもどこか笑いの要素があって、それがあるから社会はどうにか精神的なバランスをとれているんじゃないかと思うことがあります。今回の場合はそれが廣瀬さんなわけですが。

廣瀬:せめて僕みたいなやつがおらんと「尼崎や杭瀬ってどれだけ暗くてサイテーな街やねん」ってイメージになってしまうでしょ? 前にも言ったけど、僕はこの事件をきっかけに街おこしをしてやろうって思うくらいなんですよ。地元商店街の理事もやってますしね。犠牲になった方たちは本当に気の毒やと思うけれど。不謹慎やけど『ドラム缶まんじゅう』とか『コンクリートまんじゅう』みたいなお土産を作って暗いイメージをふきとばしてしまうような強い街をつくっていきたいですね。“転んでもただでは起きない尼崎人”ですから。

ついでに自分も有名になれたらなぁ

筆者:廣瀬さんは以前に俳優やモデル、お笑いの経験がありますよね。このタイミングでまた芸能的な仕事をしてみようとは思わないんですか?

廣瀬:そんな話があればいいですけどね。ほんの短い期間やけど『ミナミの帝王』、『ナニワ金融道』、『ど阿呆記者(未公開)』、『志摩スペイン村』のCMとか楽しい仕事多かったしね。中居くんとパチンコやマージャンの話で盛り上がったり、「俺もSMAPに入れてよ」って言って断られたり(笑)。今後、もしできるならバラエティー番組とかお笑いにも挑戦していきたいですね。

筆者:廣瀬さんらしいエピソードですね(笑)。どこか事務所ないか聞いておきます!

廣瀬:僕ね、今回のニュースでお金儲けようとかはぜんぜん思わないんですよ。ギャラはよっぽど深夜の時間帯で特別に1万円もらったのが一回きりやし。でもこの事件を通して何かはつかんでいきたいですね。まぁ期待しといてください! ガジェット通信で第3弾の記事つくってもらえるようがんばりますよ!

筆者:ありがとうございます! 期待してます!

どこまでもポジティブシンキングな廣瀬さんに尼崎人の心意気を見たような気がした。関西圏以外の方はイメージがわきにくいかもしれないが、尼崎市(兵庫県)は大阪と神戸の中間にあって非常に個性的なエリアだ。大阪よりも大阪的で、兵庫県にあるからと言っていわゆる神戸イメージはかけらもない。工場とネオン街のはざまでダウンタウンや小林可夢偉さんにとどまらず今また一人のスターが生まれようとしている(気がする)。今後も廣瀬哲也さんの動きを見守っていきたいものだ。

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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