東京都議会に「大日本帝国憲法の復活」を求める請願を提出 不採択に

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東京都議会に「日本国憲法の無効確認と大日本帝国憲法の復活を求める」趣旨の請願が提出され、第3回定例都議会で不採択となったことが話題になっています。

この請願(請願24第8号)は6月8日に都議会議事堂で開催された「占領憲法と占領典範の無効確認を東京都議会に求める請願集会」を受けて野田数議員と土屋敬之議員の紹介により提出され、9月18日の総務委員会で委員会審査が行われました。都議会の速記録によると提出者は京都市在住の男性他5034名となっています。

請願の要旨は速記録によれば

「憲法、典範、拉致、領土、教育、原発問題などの解決のために必要な国家再生の基軸は原状回復論でなければならないことを公務員全員が自覚すべきであるとする決議がなされること。占領憲法(日本国憲法)が憲法としては無効であることを確認し、大日本帝国憲法が現存するとする決議がなされること」

とされていますが、藤田裕司知事本局総務部長より日本国憲法に対する政府見解について

「昭和60年9月、中曽根内閣において、日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続に よって有効に成立したものであって、その間の経緯については、法理的に何ら問題ないものと考えている」

との答弁がなされている旨の説明が行われました。

討論では吉田信夫理事(共産党)のみが意見表明し

「本請願は、そもそも現行憲法及び皇室典範は無効であるとの認識を前提とし、大日本帝国憲法、明治典範が現存するという極めて特異な考えによるもので(中略)憲法にうたわれた戦争放棄、主権在民などの諸原則は、決して一方的に押しつけられたものではなく、侵略戦争への深い反省に立った日本国民の願いを反映したものであり、世界の流れを反映したものです。にもかかわらず、驚くべきは、請願者が、我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄してと、強調していることです。このような主権在民を 否定し、時代を戦前に逆戻しさせるかの主張は、到底見過ごすことはできませんし、この請願に紹介議員となった2名の都議の良識も問われる」

として不採択を求め、他の会派も「異議なし」として全会派の反対で不採択となりました(紹介議員2名は総務委員会に所属していません)。

10月4日の最終本会議では総務委員長より委員会審査の結果、請願を不採択とすべき旨が報告され反対多数により否決されましたが、土屋議員の一人会派・平成維新の会と野田議員が所属する東京維新の会(3名)は賛成に回りました。

このような請願や陳情が地方議会に提出されること自体は珍しくないのですが、議員の紹介を通さず議会事務局へ直接提出される陳情の多くは委員会で賛否を決定しない「審査未了」扱いとなるため、今回の請願はその話題性を含め異例の扱いとなっています。

『Twitter』では早くも「『虚構新聞』のネタじゃなくてマジ!?」など「信じ難い」と言った論調のツイートが飛び交っていますが、橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会に共鳴して自民党を離党した野田議員と民主党を離党した2名の議員により結成された東京維新の会が賛成していることを指摘し「日本維新の会の英語名は“Japan Restoration Party”だから『新しくする』のでなく『“restoration”(復古)する』という本音が出たのでは」との意見も出ています。

平成24年東京都議会総務委員会速記記第11号(2012年9月18日)
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/soumu/d3010242.html

画像:大日本帝国憲法の原本(国立公文書館)
http://www.archives.go.jp/exhibition/permanentpopup/004_01_01.html [リンク]

1975年、兵庫県姫路市生まれ。商工組合事務局勤務を経て2012年よりウェブライター活動を開始。興味のある分野は主にエンターテインメント、アーカイビング、知的財産関係。プライベートでは在野の立場で細々と文学研究を行っている。

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