『PlayStationVITA』の現状と実情

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発売初週こそ30万台以上の売上を叩いた『プレイステーションヴィータ(以下VITA)』ですが、現状の売上台数は5桁を下回る事もあり、携帯ゲーム機史上で見ても苦戦しているととるのが妥当でしょう。ですが、『SCE』の広報戦略が長考しているのか本気を出していないのか、『PSPで満足している層へのアピールもまだまだ出来ていない様に感じます。伸びしろはまだまだあるはずです(と思いたい)!

なぜセールスで伸び悩んだ『ワンダースワン』をも下回る数字をたたき出してしまったのか。
考えうるだけの理由を叩き上げてみましょう。

※先んじますが、私はVITAを乏しめるために書いているわけではありません、すでに40本以上のゲームを購入し、わたし個人では満足度も高く楽しんでおります、が、まったく不満がないわけでもなく、現状VITAの置かれている立場を自分なりに考え、まとめたものです。これから挙げる問題をユーザーがSONYに提議していくことで少しでもユーザーが楽しくゲームライフを送れるよう願うものであります※

■『ニンテンドー3DS(以下3DS)』本体が¥25000から¥15000へ値下げ
ハード発売前の話になり実際に比べてはいけないとは思いますが、ここはやはり書かないわけにはいきません。『VITA』のwifiモデルと同等額だった『3DS』が1万円もお安くなる。潜在意識的に『3DS』が安いというよりは、『VITA』が高く見えるな・・・、と思ってしまった方もいるのではないでしょうか?

※ちなみに『任天堂』、この早期値下げに関する”先駆け購入者へのフォロー”も”アンバサダープログラム”によるゲームの限定配信(一部タイトルは先行配信に留まりましたが・・・)を行うなど、その配慮が100点と言えるかは判りませんが、下がるはずの顧客満足度を確実に踏ん張らせました。

年末商戦の『任天堂』の猛攻
2011年末には『マリオ3Dランド』や『マリオカート7』など、ビックタイトルを続けざまにリリース。実際『3DS』も売上低迷が囁かれ、値下げを敢行した後の最初の年末商戦でありますので、てこ入れの一環として『任天堂』が動いたのは必然であると言えます。

『VITA』も勢いが無かったわけではないですが、みんなが知っている、もしくは社会現象を起こしそうなキラーソフトは無く、インパクトも少し弱く思えました。
(話はそれますが、個人的に初代『DS』の成功は『Newマリオブラザーズ』や『脳トレ』の牽引が大きかったと思っています、前者はみんなが知っている、後者をライト層、無心者層をを多く獲得できた社会現象と考えています。)

3G/wifiとwifiの2タイプの展開
『PS3』は発売当初”20GBと60GB”の2モデルで展開されていましたが、20GBモデルはHDD容量が少ないだけでなく様々な機能をカットされ、単なる劣化版に成り下がってしまいました。現在でも『PS3』を介して『PSP』のオンプレイが出来る『アドホックパーティ』など、唯一”20GBモデルでは出来ない事“が存在しており、そのフォローもされていません。

コレは足りなくて駄目なパターンでしたが、『VITA』は一味違います!蛇足なのです!
現状で消費者に対して”3G/wifiモデルのアドバンテージを提示できていない”のが現状だと思います。月額料金を払ってまで、契約更新をしてまで、街中で、オフィスで、電車内で、楽しみたいコンテンツが無いのです。コアユーザーが持て余すサービスをライトユーザーが飛びつくわけも在りません、逆に「3Gモデルを買ったら必ず契約して月額払うの?」という判断時の不安材料になっているのが現状です。もちろん契約期間が過ぎても”3G通信が出来なくなるだけ”でWifi接続もゲームも出来ます。
初回版購入者には100時間分の通信利用サービスが付いてきましたが、契約更新した方がどれだけいるのか疑問です、もちろん私も初回版を購入しましたが契約更新はしていません。また新規契約で既定のゲーム内アイテムが貰える等、3G/wifiのハードとしての優位性どころか、契約すればアイテム手に入りますという、とにかく契約数を稼ぎたいという魂胆が見え見えの展開で既存ユーザーの怒りを買っている状況、これが現実だと思います。
そういう事ではないのです、”契約の為のサービス“ではなく、”サービスあっての契約“なんです。もちろん”3G/wifiモデルのみで出来ること”となるとwifiモデルユーザーの反発もあると思うので、サービスのバランスは慎重を要していただきたいところです、厳しいようですがこのバランス取りが出来ないなら3G/wifiとwifiの2モデル展開は失策と言わざるを得ません。

ロンチタイトルの多さと不継続なリリーススケジュール
各メーカの構想や思惑もあると思いますが、ロンチが26本と多すぎるのも問題であったと個人的には考えています。『VITA』という新しいコミュニティを形成する上で、”みんながコレをプレイしている”という共有感が全く感じられなかったのです『SCE』が打ち出す一押しタイトルが見えてこなかったと言えば判りやすいでしょうか。

そして年始になりリリーススケジュールを見ればスッカラカン。ハード発売から半月ということを考えればタイトル数は十分だったにも関らず飢餓感が出てしまったように思います。ロンチが10数本、1月半ばで新発売が10本、2月3月に5本ずつ、コレだけで印象が少し違うように見えるのは私だけでしょうか?

発売直前のネガティブな情報の公開
修理は出来ず有償交換のみ、また破損の無い部品は使いまわしされる事、『アドホックパーティ』未対応、直前ではなかったが3Gの料金プランなど既に予約済みでため息をついていたのは私だけではないはずです。NET上でも情報が錯綜していましたが、導かれた先の答えはどれも聞きたくなかった物がほとんどでした。

紙媒体の説明書の廃止
新しいハードを自宅に迎え入れ、いざ蓋を開けて説明書を見ようとしたら、スターター的な薄い紙が数枚、詳しくはWebで。これは駄目です。実機を触りながら説明を見るには紙媒体の説明書が必要不可欠です。このせいで、電源が入らない症状など、初期不良とそれ以外の動作がごっちゃになり、かなり繊細で敷居の高い”博打”ハードとしてのイメージが付いてしまったように思います。プレステファンという得体の知れない客しか見えていないとこういう後手後手の対応になります。せっかく新しい事を始めるのだから、新規ユーザーにも優しい展開をしていかなければいけません。全くゲームを触れたことのない子が初めて手にするハードかもしれないんですから!

『ゲーム天国』の大失敗
web広告を大量に出し、あたかも『VITA』の新情報が続々出てくるような番組になるのかと思えば、『youtube』に各社のクリエイターのインタビューを載せたもので、新規情報などはほぼ皆無、空腹な私たちに差し出された皿には料理が乗っていなかった・・・という形になりました。
実際わたしも動画を見て後悔とまではいきませんが、楽しみにしていた分、残念な気持ちも大きくなってしまいました。しかし後日、『SCEJプレジデント 河野弘』氏からのコメントで反省が見られたことは唯一の救いであったように思います。
http://commu.jp.playstation.com/blog/details/201210313_kawano_message.html?c=7&t=0&s=0

現在の状況
『P4G』が出れば勝てる、『ミク』がくれば大丈夫、など前向きな方もお見受けしますが、『P4G』も蓋を開けてみれば20万弱の売上、『ミク』も果たしてどこまでハードを牽引出来るかは甚だ疑問です。
ハードが売れなければサードメーカーも撤退していくのは?と考えるのは至極当然の思考で、コアユーザーが早期に離れていく可能性もあります。しかし、今から”メジャータイトルを早急に出来れば年内に『VITA』で!”と言われてもどの開発チームにも迷惑がられるのは目に見えていますし、まさに袋小路であると言えるのではないでしょうか。SONYは汎用の利くキャラクターがトロくらいしか居らず、最悪ハードを値下げしたとしても、それに合わせてリリースできる”マリオ的”な起爆剤になるタイトルが無いように思えます。ユーザーには『PSPgo』の二の舞になる未来図がチラホラ見えてしまっている方もいるのではないでしょうか。

ハードという面から見れば素晴らしい物であるにも関らず、その100%のエンターテイメント性を発揮させて上げられていない『VITA』ですが、これからの『SCE』の展開に期待したいと思います。

ソフトもある程度選択肢が増えた今だからこそ、まずはもっとわかりやすい形でVITAの再打ち出しを提案したいところです、「プレステファン」などというコアユーザーだけではやはり分母が小さすぎますから。

ロックMと申します。 現在はスマホの普及によりソーシャルゲームが台頭しておりますが、 各メーカーのコンシューマの開発チームも汗を流していないわけがありません。 現状で中堅・ライトユーザーが触れていない情報、またはそのゲーム自体がまだまだあるはずです。 そのゲーム業界の”今”を伝えていけるような記事を書いていきたいと思います。

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