人工知能が法曹界に与える3つの影響

  by 早瀧正治  Tags :  

人工知能の発展はめざましく、多くの業界で面倒な作業を自動化しました。弁護士、検事、裁判官など、法曹界も例外ではありません。

人工知能の発展により、弁護士や裁判官という仕事がなくなるいう意見すらあります。この記事では、法曹界における人工知能の活用と、そのメリットについて、以下カテゴリに分類して紹介します。

  • デューデリジェンス
  • 予測技術
  • 文書の自動化

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、弁護士がクライアントに代わって事実や数字の確認を行い、契約書やクライアントの取引先などを徹底的に評価することです。デューデリジェンスのプロセスでは、顧客にどんな選択肢があるか、どのような行動をとるべきかについてアドバイスするため、非常に複雑な思考が求められます。

大規模なデューデリジェンスは、長期的に見れば大きなプラスになりますが、このプロセスはこのプロセスは非常に時間がかかるので、結果的にコストも大きくなります。また、非常に退屈で単調な作業もあり、ミスも起きがちです。

Kira Systems は、関連するコンテンツを検索し、ハイライトし、抽出して分析することにより、より正確なデューデリジェンス契約レビューを実行できます。コンテンツの複数のレビューを実行する必要がある他のチームメンバーは、ソフトウェアを使用して元のソースへのリンクで抽出された情報を検索できます。

Kira Systemによると、最大で90%時間を短縮できるとのことです。

また、ドイツ人工知能研究所が開発した LEVERTON は、AIを使用して関連するデータを抽出し、文書を管理し、不動産取引におけるリースを作成できます。このクラウドベースのツールは、20の言語で高速で契約書を読めます。

予測技術

2004年、ワシントン大学の教授らは、2002年の628件の訴訟すべてについて最高裁判決を予測する アルゴリズム の精度を専門家と比較してテストしました。その結果、専門家の精度が59%であるのに対して、75%の精度で判決を予測し、統計モデルを活用した人工知能のほうが、専門家より優れた判決予測できると証明されました。

人工知能は、インプットするデータが多いほど成長するので、今後は精度がより高くなるでしょう。

すでに人工知能開発企業は、法的な予測技術を製品化しています。 Intraspexion は、法的文書を読み、その文書のリスクを分析します。

また、 Ravel Law は、400以上の裁判所から、関連する判例、判事判決、および裁判官などが発した言葉に基づいて、相手方の弁護士の戦略や、裁判官の判決を事前予測します。裁判官と相手弁護士を分籍することで、より戦略的に裁判を進められます。

文書の自動化

McKinseyの報告書 によると、ナレッジワークの自動化は、他のテクノロジーと比べて、世界経済に与える影響がトップクラスで高いとされています。

参照:https://www.mckinsey.com/business-functions/digital-mckinsey/our-insights/disruptive-technologies

WorkFusionは、パソコンを使った単純作業や反復作業を自動化するソフトウェア、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を無償で提供しています。例えば、自動でメールを読み、それが面談の依頼であるかを確認し、それが面談の依頼であれば、パソコンのカレンダーで予定を確認し、自動で好捕日時を返信するなど、複数のソフトウェアをまたいだ自動化が可能です。

これにより、弁護士は単純作業から解放され、より生産的なことに時間とリソースを使えるようになります。

リモートワークで海外企業と働きながら、ヨーロッパの田舎町でスローライフを送っています。

Twitter: @mhayataki