【スペインの外国人】子育てが楽しいスペイン

  by 吉原 久美子  Tags :  

ツイッターで1000以上も「いいね」もらって400以上もリツートされているツイートを読んでびっくり。

育児の苦労を吐露している人に「ほんの○年のこと」「もったいないから楽しみましょう」みたいなことは今までもこれからも言わない。自分が言われても全く刺さらないから。

どうしよう⁉︎ いつも言ってる…

と思ってふと考えた。私、スペインに住んでたんだ。
だからいつも言ってた。
なんだなんだ、だから私はいつも言ってるんだ。
ほんの少し前まで、私は子育て第一線にいた。
3人の子どもたちが2歳半違いで並んでいて、水泳教室、コンセルバトリーと習い事やアクティビティーに連れて行っていた。
それなりに忙しく、100キロメートルくらいは日常的で、夏期講座にいたっては400キロメートルかもっと。
ああ、忙しかった。

ああ、それはもうかなり大きくなってからだ。
このツイートで言ってるのはもっと小さいとき。

私が日本から逃げたころ。
長女が3歳、長男が1歳。
これ以上子育てはできませんと宣言し、スペインに逃げた。

日本はなぜ子育てが大変なのか。
ある人は夫が手伝わないからと言うが、うちは夫はスペイン人だから手伝うと言うより、子育て本業で頑張ってた。
スペインに逃げたのは、やっぱり日本での環境がなかなか大変だったから。

おまけにハーフの子どもは声がでかい。
同じことをしていても目立つからますます世間との軋轢ができる。
思い出すとやっぱり大変だった。

スペインでは、子どもを連れて歩いているだけで、世間は優しい。
バスに乗るときも優先的に乗せてくれるし、席も譲ってくれる。
ベビーカーを持っていれば、階段の上り下りは必ず誰かが手伝ってくれる。
子どもが泣くとあやしてくれる。誰もうるさいなんて言わない。

そして広いスペース。
小児科の待合室は天井が高く、広々としているから気分が悪くても泣くことはない。
日本ではいつも泣いていた。泣いていて、看護婦さんに「他の人に迷惑です。」と叱られた。
叱られて、寒い吹雪の日、外に出て待っていた。

スペインに住んで17年。
カソルラ村に住んで15年。
知ってる子たちが、ちょっと前まで子どもだった人たちが次々と母になっていく。

まだ若いから、本当は遊びに行きたくてちょっと辛そうにしてる。
「ほんの○年のこと」「もったいないから楽しみましょう」
って言うと、目を輝かせてにっこり笑う。
「もちろん! もちろん知ってる、楽しいよ。楽しんでる、もちろん!」
と彼女たちは言う。

「私ね、今すんごく楽しいけど、同時に今勉強もしたくなったんだ。昔はしたくなかったのにね。
子育てが終わったらもう一回大学行こうかなって思ってるんだよ。」

子どもは生きる希望を連れてくる。
それがすごく普通のことなのに。
日本はどうして子育てが大変なんだろう。

社会はもっと母親に優しくあるべきだと、そう思う。

写真:筆者撮影、長女生後1ヶ月の頃

スペインに住んで17年になります。 現在 日本人の全くいない 天本英世さんの灰が眠っている カソルラ山脈の麓の村に住んでいます。 夫はマドリッド出身のスペイン人。 子供は3人。 そして母は92歳まで13年間を私と一緒にスペインの生活を楽しみました。 コンセルバトリオのヴィオラの学生でした。アンダルシア認定調理師

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