分かっちゃいるけどやめられない。矛盾する行動の心理とは?

  by 浅川クラゲ  Tags :  

「分かっちゃいるけどやめられない」この言葉で思い浮かぶのは、昭和から平成にかけて活躍したコメディアンであり、俳優であり、ミュージシャンでもあった植木等ではないでしょうか。

私達は普段の生活の中で、いくつもの「分かっちゃいるけどやめられない」を経験しています。「タバコが身体に悪いのは、分かっちゃいるけどやめられない」や「試験に備えてゲームをやめなくちゃいけないのは、分かっちゃいるけどやめられない」や「パチンコをやめなくちゃいけないのは、分かっちゃいるけどやめられない」等の似たような経験はだれしもがあると思います。

あまり合理的には見えないこれらの行為ですが、アメリカの心理学者であるフェスティンガーが、矛盾する行動の謎を認知的不協和理論で説明しています。

認知とは、自分自身の考えかたのモノサシといえます。不協和とは、自分の認知にとって、不快な状態を発生させる、情報や出来事をさします。認知的不協和理論では、人は自分にとって不快な状況が起きた時に、行動を変えるのではなく、解釈の仕方を変えて、物事をやりすごそうとする面がある事を説いています

例えば、喫煙者であれば、「タバコが身体に悪い」と言う情報に対しては、「タバコを吸っていても100歳以上生きた人はいる」という情報を加えて、「タバコを吸っていても長生きできる」という風に解釈を変えて、行動を変えずに喫煙を続けることは、認知的不協和理論の典型といえます。(タバコに関しては、ニコチン中毒などの身体依存もあるので、ここではあくまで行動の心理を焦点にしています)

良いか悪いかは別として、人は完全な合理性だけでは動かずに、快適な感情を優先して生きる一面があるのは、まぎれもない事実のようです。実際に、合理性だけで生きていたらギャンブルはだれもやらないでしょうし、文学や芸術も存在していないでしょう。

「分かっちゃいるけどやめられない」のは、意外と人間の本質をついている行為なのかもしれません。

GATAG FREE PHOTO1.0より引用 撮影snapies

http://www.gatag.net/09/01/2009/090000.html

浅川クラゲと申します。大学にて臨床心理学を専攻。登録販売者やカウンセラーの資格を利用して本業(面接官)の傍ら、クスリやサプリメント、心理学に関する雑文やサブカルチャーに関する記事を細々と書いております。