京都・伏見の名店で唯一無二の「ぶりモツ鍋」をいただく!素材を突き詰めた先にある美食

近鉄伏見駅から昔ながらの風情が残る街並みを歩くこと2~3分。

漆喰の白壁に杉板で、酒蔵風の目をひく建物があらわれる。

このお店こそが料理居酒屋『てっぽう』

寿司屋から身を起こした大将ならではの厳しい素材選びが評判で、舌のこえた伏見界隈の旦那衆に愛される名店だ。

世界的なフォトジェニックポイントとして知られる伏見稲荷も近いので、最近は国内外の観光客も多いらしい。

このてっぽうが今年9月になっておそらく日本初の新メニュー『ぶりモツ鍋』を発表した。

一般的にもつ鍋と言えば牛や豚の内臓を使うが、こちらではブリの胃袋使用しているとのこと。

魚の内臓……白子ならともかく胃袋を意識して食べたことは僕もなかった。

一体どのような味わいなのだろうか?

関西の個性派グルメインフルエンサーとして知られるジルさんと共に取材に向かった。

格子戸を開けると幅広で居心地の良さそうな一枚板の立派なカウンタ-。

その他のテーブル席もしっかりした造りで和テイストな高級感あふれるが、随所に遊び心も感じられて目を楽しませてくれる。

建物の内装を見回るだけでも5分、10分と蘊蓄を語れそうだが、我々の目的は一つ。

案内された席でさっそくぶりモツ鍋をいただくことにした。

あらかじめグツグツと煮込まれた鍋は見た目にとろっとクリーミーで具だくさん。

酒処伏見ならではの酒粕と鰹をベースにしたスープに、一口サイズに切られたブリの胃、渡り蟹、海老、鱈、アサリ、九条ネギなど厳選された素材が浸かっている。

前にするだけでただよう芳香……酒粕と言えば粕汁を連想するが、それよりもはるかに複雑で豊穣だ。

小皿に取り分けまずはスープを一口……

これは美味しい!

上記したすべての素材の印象がひとつひとつ引き立ち、かつハーモニーとなって舌を、腔内をおおってゆくのだ。

隠し味の特製柚子味噌もいいアクセントになっている。

これだけ多種のうまみ成分を破たんさせることなく一品に成立させられるとは大将の腕前おそるべし!

スープを味わった後は主役のぶりモツ。

フゥフゥと冷ましてから噛みしめると「コリコリッ」っと軽やかな反応。

牛や豚のもつに較べはるかに柔らかいが、その分コリコリしたりフワフワした独特の食感が楽しめる。

じわじわしみ出してくるブリならではの旨みも格別だ。

“魚”ということで連想されるような臭みはまったくない。

大将にお訊きしたところ、下ごしらえにももちろんコツはあるが何より大切なものは鮮度ということ。

生で食べられるものを使うことがぶりモツの魅力を最大に引き出す秘訣らしい。

これまで他店がぶりモツ鍋を商品化できなかった理由はこのあたりにあるのではと察した。

この日は他にも『ぶりホルモンと九条ネギの天ぷら』『ぶり肝煮込み』『ぶりホルモン湯引きポン酢』などブリの内臓料理をいろいろと堪能させていただいた。

どれもこれまで体験したことのない魅力的なメニューだったが、特にぶり肝煮込みは牛、豚、鶏のそれに較べてはるかに美味しかった。

口に含んで2度、3度と噛むほどに得も言われぬうまみが腔内に溶け出してゆく。

伏見の地酒との相性も抜群にいい。

美食の神髄とはこうやって素材を突き詰めた先にあるのだなと気付かされた瞬間だった。

『伏見の隠れ家 てっぽう』

【住所】
京都府京都市伏見区深草善道寺町3-46
【電話番号】
075-603-2213
【営業時間】
火~土:17時30分~24時(L.O23時)
日:17時30分~23時30分(L.O22時30分)
【定休日】
月曜日
【ホームページ】
http://teppou.net/

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の誘いにより芸能活動をスタート。 2007年からは田中友直をサウンド・プロデューサーに迎えソロに転向。 代表曲に「だってしょうがないじゃん」(2011年)など。 近年はテレビ、新聞、ウェブメディアなどの媒体で音楽・芸能評論家としても活躍の幅を広げている。

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