【動画多数】航海日誌・後編『スーパースター ヴァーゴ』破格なクルーズ客船とその魅力

  by 古川 智規  Tags :  


豪華クルーズ客船と聞くと、100万円は下らない超豪華なセレブの船旅を想像するかもしれない。もちろん、世界にはそういう豪華クルーズ客船がごまんとある。
今回記者が乗船したのは、香港のスタークルーズが運航するスーパースター ヴァーゴ(以下、ヴァーゴまたは本船という)。運賃は破格の12万円台、1日6食までの無料レストランでの食事、プールにジャグジー、ウォータスライダーやエンターテイメント等の施設利用まで付いての運賃だ。
記者は実際に本船に乗船して取材したので、3回にわたりレポートする。
「航海日誌・前編」は7泊8日の船旅の前半を寄港地レポートを含めてレポートした。
「航海日誌・中編」では、航海の途中ではあるが、食事やエンターテイメント、船内施設についてまとめて紹介した。
そして本稿「航海日誌・後編」(最終回)では、レポート前半に引き続き後半をレポートする。

※参考記事
【動画多数】航海日誌・前編『スーパースター ヴァーゴ』破格なクルーズ客船とその魅力
http://rensai.jp/230725 [リンク]

【動画多数】航海日誌・中編『スーパースター ヴァーゴ』破格なクルーズ客船とその魅力
http://rensai.jp/230899 [リンク]

■00 ヴァーゴ オリジナルイメージムービー Super Star Virgo
https://youtu.be/VxxMnj_rf6Y

前回は船内を丸ごと紹介したが、最終回は後半の航海に戻ろう。
日曜日に横浜を出港したスーパースター ヴァーゴは、月曜日に清水、火曜日に鹿児島、水曜日に終日航海をして、5日目の木曜日に上海に到着。そして6日目の終日航海で東シナ海を大阪に向けて航海する予定だった。

航海日誌6日目 東シナ海を終日航海 CNSHA/JPHRR


河川港である上海とは違い、海の色が青々としてきた。さすがは南の海だ。本船は南に針路をとった。
その経緯を説明する前に、話を前日の上海出港後のレポートから起こすことにする。

■12 ヴァーゴ 上海港出港後レポート CNSHA
https://youtu.be/Z0eO7_twq0E


この段階では、大阪、そして横浜に予定通り向かうつもりでいた。

■14 ヴァーゴ 上海出港後の航路変更レポート CNSHA
https://youtu.be/qcHyhT4HtyQ


台風5号が日本に接近していることは、出発前から知っていたが夏台風ということもあり、迷走が予想され実際の進路予想は日々変わっていた。記者の予想では、当初は上海直撃かと思われ、本船が逃げてしまえば特に問題はないと思っていたのだが、台風5号は全く動かず鹿児島方面へ向かっていることが判明した。よって、レポートの通り航路変更となった。

話をまとめると、大阪までの旅客は次の代替寄港地である宮古島で下船、横浜までの旅客は、その次の代替寄港地である那覇で下船して、それぞれ航空機で伊丹、羽田に飛ぶことになった。ちなみに、横浜の後の清水の代替寄港地は石垣島になり、その後は鹿児島、上海に航路変更になった。
航空機の手配は船会社が迅速に行い、全旅客に航空券が交付された。
7泊8日のクルーズそのものは履行されるので、運送約款上は船会社は義務を果たしたことになる。海象事由は免責なので、予定の航路が変更になっても、それはだれの責任でもなく仕方のないことだ。しかし、大阪や横浜の旅客が宮古島や那覇で降ろされても正直な話をすると困るので、今回は船会社の厚意により航空機が手配された。あくまでも特例の取り扱いだ。

これで本船で横浜には行かないことが確定したので、またまた絵画のようなものでも描いて過ごす。

これらのハガキは、船内で仲良くなった夫婦とお孫さん御一行に託して、宮古島で投かんしてもらい、記者が帰宅した翌日に無事東京に配達された。

一方、旅程のリカバリーができるかどうかは航空機のダイヤに依存することになる。しかし鹿児島方面では航空ダイヤは乱れに乱れているので、沖縄でも安心はできない。実際には2時間以上遅延して羽田空港に到着したのだった。

航海日誌7日目 宮古島・平良港 JPHRR

航路変更になったおかげで、行ったことのない宮古島に上陸することになった。旅にハプニングはつきもの。トラブルやアクシデントは御免だが、ハプニングは積極的に受け入れるのが記者の方針だ。この場合、原因は台風というアクシデントだが、結果は宮古島上陸というハプニングととらえたい。

宮古島は日本での初めての寄港地となるので、当地で上陸審査を行う。したがって日本に上陸する外国人はもちろんのこと、帰国する日本人も全員が当地で上陸審査を受けなければならない。ここで受けなかった旅客は、以降の寄港地で日本には上陸できない。日本人は帰国できないことになる。
入港前に旅券が返却され、ここで初めて中国の出国証印がされていることを知る。これ以降は下船まで自分で旅券を保管する。

平良(ひらら)港は小さな港で、本船のような大型船が着岸できるような岸壁はない。よって、テンダーボートという小型の交通船を本船から下ろして旅客を港まで輸送する。

テンダーボートは複数積んであり、文字通りシャトル便で本船と平良港を結ぶ。最終便のダイヤはあらかじめ通知されていた。

平良港には第11管区海上保安本部・宮古島海上保安部所属のPS-16・巡視船「のばる」が停泊中で、宮古島に来たことを実感させられる。

帰国証印は「HIRARA」となっていた。これは、平良港が入出国ができる港に指定されているからだと思われる。
しかしながら、当地には定期外航船はないので、ある意味貴重な帰国証印となった。

平良港ターミナルは、周辺の島しょを結ぶフェリーや遊覧船が出入りする小さな旅客船ターミナルだ。
テンダーボートが着く船着き場からターミナル内に臨時に設けられたCIQエリアまでの導線にはロープが張られ、税関を出るまでは制限エリアとして一般の立ち入りができないようになっていた。

大阪下船組はここで船旅は終了。宮古空港から伊丹空港へ空路で大阪に戻る。
その他の旅客は、宮古島観光を楽しむことになった。船内で知り合った記者のハガキを託した小学生の女の子は、おみやげに「星の砂」を買うんだと張り切っていた。
ターミナルでタクシーの配車を手配していた地元の人によると、天候不順でクルーズ船が寄港することはたまにあるという。その際は島をあげて受け入れ体制を整えるのだということだった。一気に2000名近くの旅客が上陸するとなると、経済効果はさておき準備は大変だろうと思う。
記者は本船での取材を続行するためにターミナルからは離れず、そのままテンダーボートで本船に戻ることにした。もと来た導線を逆に船着き場まで行くと、すぐにテンダーボートがやってきた。

テンダーボートは本船があまりにも巨大なので分からなかったが意外に大きく、操縦席はクルーザーのフライングブリッジのように上部にあった。
テンダーボートから見た本船の勇姿をご覧いただこう。

■16 ヴァーゴ 宮古島平良港テンダーボート JPHRR
https://youtu.be/rAYeYVwDhxw


現在日本に寄港している本船のクルーズ航路ではテンダーボートに乗ることはないので、航路が変更になったことは貴重なコンテンツをもたらしてくれたとも言える。
本船に戻って、船首から行き交うテンダーボートや平良港を眺めながら、最後の動画レポートをした。

■17 ヴァーゴ 宮古島平良港錨泊レポートと総評 JPHRR
https://youtu.be/gPtxgcfGyoM


沖縄に沈む夕日を眺めながら、いよいよ最後の夜を迎える。

航海日誌8日目 沖縄・那覇港 JPNAH


前日の夜には、船内で使用したアクセスカードでの決済明細がキャビンに届けられる。記者はクレジットカード(VISAデビットカード)をあらかじめ登録してエクスプレスチェックアウトを利用しているので、明細書に間違いがなければこのまま下船して構わない。自動的にカード精算される。
エクスプレスチェックアウトを利用していない場合は、レセプションに出向いてカードか現金で精算しなければならない。

後日談だが、下船3日後にデポジットで引き落とされた3000香港ドル(相当の日本円)との差額が入金されて戻ってきた。クレジットカードなら使用した分だけ請求されることだろう。
詳細を説明すると、3000香港ドル相当の日本円(銀行使用のレートで換算された44068円)が乗船日に引き落とされ、実際に使用したのは換算で6519円だったので差し引き37549円が入金という形で払い戻されたのが、この画面だ。
スターバックスの374円は、上海で飲んだ分である。

レセプションには変更された航路が掲示してあった。八重山と書かれているのは石垣島のことである。石垣島は清水港の代替寄港地だ。

7泊8日の船旅を終えるにあたり、1週間を過ごして知り合った乗組員との別れが切なくなる。
ここで本船に乗船した結論を述べると、本船は基本的にドレスコードのないカジュアルクルーズという位置付けだ。ただ黙って乗っていて楽しいという船ではなく、旅客と乗組員と一緒に旅を作り上げていくことが最大の特徴だと確信する。
いいことばかりを言うつもりはサラサラなく、実際に中国人旅客のすさまじい割り込みに閉口し、クルーに不手際がまったくないわけでもない。しかし、この運賃でこのサービスを受けられるのであれば、個人的には文句はない。
黙って乗船して何もかもが完璧で高級志向でセレブな船旅をしたいのであれば、そういう志向のクルーズ船はいくらでもあるので、相当の運賃を払ってそちらを選択するべきだろう。本船を構成する旅客と乗組員が下船時には一体となっていると感じたことから、旅客自らが積極的に楽しみに行けば本船は貴重な思い出を乗組員とともに提供してくれる。そんなクルーズ船だと感じた。


那覇港では入国審査(帰国の確認)はないが、税関の旅具検査だけはある。当地で下船して那覇空港から羽田空港に戻ることになった記者は、空港までのシャトルバスに乗り込んだ。
最後に、乗船中の取材のアシストをしてくれた乗組員の石井さやかさんがバスまで見送りに来てくれた。

お金では決して買うことができない思い出が残れば、それは運賃以上の価値があったと判断することができよう。
バス車内から見えたスパースター ヴァーゴを車内の旅客全員が見えなくなるまで見つめていた。
記者の手元に国際信号旗はなかったが、心の中で「UW」( I wish you a pleasant voyage.)の旗旒信号を掲げて安航を祈りつつ、機会があれば横浜港を出港して横浜港に戻るリベンジ乗船を誓った。
スーパースター ヴァーゴは「UW1」旗(Thank you very much for your cooperation. I wish you a pleasant voyage.)で答礼してくれたような気がした。
(航海日誌『スーパースター ヴァーゴ』破格なクルーズ客船とその魅力・了)

※写真・動画はすべて記者撮影・収録
取材協力 スタークルーズ

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