ヒルソトビールにぴったり!セゾンとセッションが今ほんのり熱い/ビアエッセイストが初夏の新作5本レビュー

  by 矢野 竜広  Tags :  


ガジェット通信では、鳥取県大山町在住のライターでビアエッセイストの矢野竜広さんに、初夏の新作ビールをレビューしてもらいました!

一年で最も心地よい季節だからこそ飲みたい。

「1年で最も好きな月は?」と聞かれて、「5月!」と答える人は多いのではないだろうか。かくいう僕、矢野@beeressayistもその一人。理由はいくつかある。

・暑くも寒くもなくちょうどいい
・GWがあって休みが多い
・新緑が鮮やか
・夏の前にある

最後の「夏の前にある」は、「夏の後にある」9月や10月という人気月に対して強烈なアドバンテージだと思う(強烈な夏好きにとっては)。そして…

・ビールが美味しく感じられる

を忘れてはいけない。さあ、今回ランダムにチョイスした、初夏に飲みたい5本はこちら!

・サントリー TOKYO CRAFT セゾン
・軽井沢高原ビール 2017年 夏季限定セッションウィートIPA
・サッポロ 麦とホップ 魅惑のホップセッション
・キリン のどごし スペシャルタイム
・グランドキリン ひこうき雲と私

一本ずつ実飲していきたい。

サントリー『TOKYO CRAFT セゾン』

僕がビールを独学で学び出したとき、“セゾン”というスタイルに困惑した記憶がある。書籍にはだいたい“ベルギーの農家が農作業の合間に飲むビール”とか書いてあって、味についての説明がないのだ。それゆえ、セゾンと言われる商品を酒屋で買ったり、店で飲んだりしてようやく自分の中にセゾン像が描けるようになった。が、ごく普通の人にとってはやっぱり「セゾン?何それ?」だと思う。

サントリーがこのたびリリースした『TOKYO CRAFT セゾン』。パッケージには例によって農家のくだりが書いてあり、

“パッションフルーツを思わせる香り”とある。まあ、よくわからないけどとりあえず開栓。グラスを鼻に近付けると、確かに桃のようなフルーティーな香りが感じられ、期待が高まる。というわけで、

実飲!  
適度な苦み、フルーティーな味わい、控えめな余韻。これは「何だかよくわからないけど、まあ美味しいからいいやビール」に属する一本だ。「セゾン」とか「ベルギーの農家」「軽やかな味わい」、さらにプレスリリースに書かれた「上面発酵酵母」「ギャラクシーホップ100%」「レイトホッピング製法」……これらを一つひとつ感じるのは難しいけど、「トータルなんだか美味しいから良しとしようかね」と寝技に持ち込まれるような心地よさがある。ローソンで入手できる『僕ビール、君ビール。』や後述の『グランドキリン ひこうき雲と私』とともに、セゾンの入門ビールとしてアリだと僕は思う!

詳細は公式情報を
http://www.suntory.co.jp/news/article/12849.html [LINK]

軽井沢高原ビール 2017年 夏季限定セッションウィートIPA

続いては、こちら。

軽井沢高原ビールのセッションウィートIPAである。「IPA」というスタイルはかなり一般にも浸透してきたと思うけど、「セッション」「ウィート」という言葉はピンと来ない人も多いかもしれない。ざっくり言うと

「セッション」=アルコール度数低めだよ 
「ウィート」=小麦を使ってるよ

である。開栓してグラスに注ぐと、マスカットに似たホップのアロマが印象的。というわけで、
実飲!
 
これは美味いし、ゴクゴク飲める!
なんせIPAという強めのスタイルを「セッション」にしてアルコール度数を弱め(4.5%)、さらに「ウィート」の小麦で飲みやすくしているのだから、そりゃあ飲みやすいはず。そうそう、これこそが初夏に屋外で飲みたいビールだ。もし男子がピクニックなどにこれを「今の季節に合うかなと思って…」とさり気なく持参すれば、かなり女子からのポイントが上がるのではないだろうか(※ただしイケメンに限るかもしれぬ)。

詳細は公式情報を
http://yohobrewing.com/%E6%96%B0%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%80%8C%E8%BB%BD%E4%BA%95%E6%B2%A2%E9%AB%98%E5%8E%9F%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB-2017%E5%B9%B4-%E5%A4%8F%E5%AD%A3%E9%99%90%E5%AE%9A%E3%80%8D/ [LINK]

サッポロ『麦とホップ 魅惑のホップセッション』

同じセッションの流れでいうと、こちらも注目。新ジャンルの定番『麦とホップ』のニューカマーである。

『魅惑のホップセッション』という商品名から、流行りの“セッション”というワードを使いたかったのであろうことは明らかだ。
本来、「セッション(session)」は「集まり」といった意味で、会に集まった人たちが飲み続けられるようにということで低めに調整されたアルコール度数が特徴だ。が、このビールは2つのホップをブレンドした、つまり「コラボ」的な意味で“セッション”を名乗っているようである。「セッションIPAを勝手にイメージするのは自由ですけど、そんな看板は掲げていませんからね」と釘を刺されたようだ。さ、

実飲!
 
うん、美味い! で、2口目。あれ?
こんな印象である。しっかりホップを使っているのがよくわかるし、1口目は「これが100円そこそこで買える時代になったか……」と淡くむせび泣きしそうになるのだけど、2口目以降はその感動が妙に薄れる。別の言い方をすると、わずか1口でホップ感に舌と鼻が慣れるのだ。だから、2口目以降はそれほどホップを感じなくなってしまう。
 
でも、これは画期的。「本当は西海岸のIPAが飲みたいけど、麦とホップで我慢するか」という人は結構いたはず。ところが、これがあればそこまで強いこだわりのない人なら満足するに違いない。さらに、7月には『麦とホップ 夏空のホップセッション』がリリース予定だとか。これからも「ホップがきいたビール=お高め」という概念を鮮やかに覆して欲しい!
 
詳細は公式情報を
http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000021577/index.html [LINK]

キリン のどごし スペシャルタイム

新ジャンルつながりで言うと、少し前だけどキリンが新しいアイテムを世に放った。『キリン のどごし スペシャルタイム』だ。

キリンの新ジャンルと言えば、『のどごし<生>』だ。が、正直、サントリーの『金麦』、サッポロの『麦とホップ』に味わいの面で差をつけられていたように思う。『のどごし<生>』だけ異質な味がしていた。それは、麦を使わず「大豆たんぱく」を使った「その他の醸造酒」だから。(『金麦』と『麦とホップ』は発泡酒をスピリッツで割る「リキュール」)。一口に「新ジャンル」と言っても2系統あるのだ。で、この『キリン のどごし スペシャルタイム』はリキュール系新ジャンル。さあ、
 
実飲!
 
うん、やっぱこっち!
もちろん嗜好品なので自分の好みのものを選べばいいと思うのだけど、「よりビール風の味わい」という一点で判断するなら、間違いなく「その他の醸造酒」より“リキュール”系新ジャンルの方がビールに近い。これまで新ジャンルは『金麦』と『麦とホップ』の2択だった。今後は3択になるのが地味に嬉しい。

詳細は公式情報を
http://www.kirin.co.jp/company/news/2017/0112_03.html [LINK]

グランドキリン ひこうき雲と私

最後にいただくのは、ポエティックなこちら。『グランドキリン ひこうき雲と私』。

『グランドKIRIN』って当初はゴリゴリな男を悦ばせるビール、という印象だったけど、いつの間にかパッケージやネーミングを含めて女子を悦ばせるビールに路線変更している(色々な事情があるのでしょう)。
こちらスタイルはクラウドセゾン。ま、クラウドはレトリックと考えて問題ないので、こちらも“セゾン”ということ。開栓しグラスに注ぐと、オレンジのような香りが漂う。
 
何はともあれ、
実飲!
 
ん?ヴァイツェンの味わいに近い。でも、オレンジのようなアロマ、軽快な酸味もあり、“セゾン”ならではの特徴も兼ね備えている。勝手にハイブリッドビールだと思うことにする。美味い。
 
最近、ポエティックなビールが明らかに増えている。パッケージに詩人・谷川俊太郎の言葉が印刷された商品があったのは象徴的だ。これは飲まれ方が変わってきた、ということを意味していると思う。「仕事終わりのお疲れドリンク」から「日常を豊かに彩ってくれる素敵ドリンク」にビールが少しずつシフトしている、ということなのだろう。よなよなエールを始めとするクラフトビールの世界観が硬直した業界にインパクトを与えた、という側面も少なからずあると思う。

詳細は公式情報を
http://www.kirin.co.jp/company/news/2017/0112_06.html [LINK]

おしまいに…

いかがだっただろうか?
GWから梅雨入りまでは気候も安定して素晴らしい季節だ。セゾンやセッションIPAなど軽やかに飲める一本を持ってヒルソトビールなんて最高だ。
 
来月も人生が楽しくなるビールを求めて、ビアエッセイストの旅は続く……

矢野 竜広

1980年生まれ。東京都出身、妻の故郷である鳥取県に移住したライター、ビアエッセイスト。 立教大学を卒業後、広告制作会社勤務のコピーライター、事務所所属の構成作家を経てフリーランスに。愛してやまないビールを、飲むだけではなく学びたい!と数々の講座を受講。ビアバー巡りにも勤しむ。そんな大のビール好きが高じて、『ビールの図鑑』(マイナビ、2013)、『日本のクラフトビール図鑑』(マイナビ、2015)の執筆に携わり、地ビール会社にも勤務。NHK文化センター(鳥取教室、米子教室、梅田教室)でビール講座の講師を務める。その他著書に、詩集『そこに日常があった。』(文芸社、2002)、『・ツナ缶×1』(Kindle版、2014)、『「結ぶ」と「築く」~鳥取・大山町の移住者たちが挑んだ婚活事業~』(∞books、2016)。趣味は一人旅、ノンフィクションの書籍を読むこと、ドキュメンタリー鑑賞。

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