ボードゲームの突然死

  by 飯島麻夫  Tags :  

ひとつ確実だと思われるのはボードゲームで戦うことを生業とする碁や将棋のプロの棋士でも、ごく近いうちにAIを駆使したコンピュータプログラムに歯が立たなくなるということだ。

そうなると…今後プロの棋士達はどうなるんですか?という素朴な疑問が投げかけられるも、すでにチェスの世界ではすでに人間がプログラム(当初は非AI)に叶わなくなって久しいが、それでも「人間のプロなんぞよりもコンピュータプログラムの方が強い」という大いなる引け目を感じつつも、依然としてプロのチェスプレイヤーは活動している。だから将棋や碁でも同じくプロの棋士が仕事を失うことはないだろう‥という楽観的・希望予測が支配だ。

しかし、本当にそうなのだろうか?プロのボードゲーム界にとって「人間で最強レベルの棋士がプログラムに敵わなくなる」ことが危機なのだろうか?いやいや本当の危機はその先にこそあるのだと思う。戦うたびに強くなっていくAIの導入によって、コンピュータプログラムが「ボードゲームの突然死」を引き起こす可能性が飛躍的に高まっているということではないか?

例えばチェッカーというボードゲームについては、すでに先手必勝であることがわかっている。チェッカーで先手になった場合の勝ち方を知っているプレイヤーが先手になれば、すでにゲームをする前から勝負は決まっている‥というわけだ。チェッカーはボードゲームとしてはすでに「解決済み」、つまり死んでいる‥ということである。優劣を競うプロのボードゲームとしてはすでに成り立たない。先手が必ず勝つからである。

もし、チェスや将棋や碁が同じ状況、つまり「先手が必勝で先手で必勝になる打ち方が解明されている」状況に陥れば、間違いなくプロが競うにふさわしいボードゲームではなくなってしまう。当然、世界やわが国のプロのプレイヤーは全員失業する。

「突然死」というのはそれがいつやってくるかわからないからである。明日か?一年後か?あるいは10年後か?がん患者のように「余命半年」とわかっているなら今できることもあるんだろうが、わからないんじゃねぇ…ということで大勢の棋士たちも突然死がやってくることを薄々と感じながらも、とりあえず現実から目を背けていられる所以である。

とはいえ「ボードゲームの突然死」はたぶん、いや確実に訪れる。

「人の10倍考える」を信条に色々とやってます。 元銀行員で現在も金融系のIT開発等に携わるフリーランス。JICA国際協力ボランティア(パプアニューギニア)

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