救いを求める人々への非情な暴力……頻発する病院攻撃を写真展で告発

2月23日から26日にかけてうめきたSHIPホール(大阪市)で開催されている写真展『国境なき医師団 “紛争地のいま” 展』

非営利で国際的な緊急医療援助を展開する『国境なき医師団 日本(MSF Japan)』が開催する、紛争地での病院攻撃の実態を告発する写真展だ。

平和な日本に住む我々にとってはにわかに想像しにくいが、シリア、アフガニスタン、イエメンなどの紛争地では近年、病院に対する攻撃が増加している。

健康の、生命のよすがである病院が、だ。

本写真展では紛争地、また彼の地の病院で起こった悲劇をおさめた写真、映像が多数公開されている。

国境なき医師団 日本広報部の舘俊平さんは語る。

「我々は紛争地で医療活動することが多いのですが、近年になって運営している医療施設が攻撃されることが顕著になっています。

たとえば2015年にはアフガニスタン・クンドゥーズで運営していた外科病院がアメリカ軍によって攻撃を受け、42人が死亡するという事件が起きました。

中立の立場で活動する医療施設への攻撃は国際人道法で禁止されています。

また我々は事前に、紛争の当事者たちに自らの活動を周知していました。

それなのにその日、クンドゥーズの病院は執拗な攻撃を受け、大勢の患者の方やスタッフが尊い命を失ってしまったのです。

とても悲しい事件ですが、これはただの一例にすぎません。

日本の、より多くの方にぜひこの事実を知っていただきたいという思いから写真展を開催させていただきました。

現在、国連の常任理事国5ヵ国のほとんどがなんらかの紛争に加担している状況です。

紛争、戦闘が正当化される空気を、平和を愛する人々の力でなんとか覆せないものと思っています。

日本政府あてに、国際人道法のもとの医療保護を国際的に呼びかけていただけるよう署名活動も行っています。」

国境なき医師団 日本のPRは硬軟おり交ざったもので、その心根や信条は一本筋が通っているが、流行や便利なものは率先して活用するという柔軟さもある。

会場で視聴することもできるが、たとえば昨年末には実際に医療活動に従事するスタッフたち自らが演者となったマネキンチャレンジの映像をYOUTUBE上で公開。

【国境なき医師団】マネキンチャレンジ~Tears of Blood (Mannequin Challenge MSF Japan)
https://youtu.be/mBh2Iz2f4q8

言い尽くせない悲しみを”血の涙”で表現するという奇抜な作品だが、なんともシリアスに仕上がっているのはリアルな体験、想いを持つ者ゆえの表現力というものだろう。

また会場に展示されている写真はすべて撮影可能で、SNSなどで拡散することが推奨されている。

本写真展の詳細は以下の通り。

『国境なき医師団 “紛争地のいま” 展』

入場無料

【期間】
2017年2月23日~26日

【会場】
うめきたSHIPホール
〒530-0011
大阪市北区大深町4-1 大阪うめきたSHIPホール

【時間】
10時30分~20時
※最終日は19時まで

【内容】
・写真展
・映像展
・現地派遣スタッフによるトーク
など

読者諸兄にとって平和とはなにか、人道とはなにかと考えさせられる機会になることを願う。

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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