もう一人の奴隷解放の父「FREE STATE OF JONES」

  by Yukie Shibasaki  Tags :  

FREE STATE OF JONES」は、南北戦争時に黒人奴隷解放のために闘った、実在の英雄ニュートン・ナイトの伝説を描いた作品。

自分は南北戦争について、これっぽっちも理解してなかったのだと思い知らされた。 10代前半の少年が徴兵されたり、貧民から家畜や農作物をことごとく徴収していたなんて。 戦死者も多い、惨い戦争だったのだな。 でも北部と南部の戦いというよりは、黒人を奴隷として扱いたい人間と、そうでない人間の戦いのようにも思えた。 ニュートン・ナイト率いる反乱軍が南部に存在したように、北部にも奴隷制に賛成する人間が結構いたのでは。 戦後も年季奉公なんて条例を作ったり・・・どうしても黒人に奉公させたい連中は多かったようだ。

ニュートン・ナイトはリンカーン大統領並みに偉大な人物だと思う。 彼の伝説が今まで映画化されなかったのはなぜだろう?

マシュー・マコナヘーの気迫に満ちた演技は、ニュートン・ナイトが乗り移ったのかと思う程のものだった。 特に南軍の大佐を殺すシーンはすごかった。 髭のおかげ?かニュートン本人にそっくりに見えた。

マシューが主役だとその圧倒的な演技力と存在感により、他の役者が霞んでしまいがち。  でも!モーゼス役のマハーシャラ・アリーとレイチェル役のググ・バサ・ローは健闘していた。
マハーシャラは「ハンガー・ゲームFINAL」にボックズ大佐役で出演していた人なのだな。 ボッグズ大佐のことは確と覚えているゾ。
そしてググはのことは、かなりの演技派だと思った。 さすが王立演劇学校卒業生。
あと出番は少なめだったが、セリーナ役・ケリー・ラッセルも印象に残った。

映画の中では成長したニュートンの息子さんまでもが、黒人の血を引いているという理由で差別に苦しむ姿が描かれる。 アメリカには今も昔も白人至上主義者がいかに多いのか。

南北戦争から150年以上経った現在のアメリカにおいて、黒人は白人と同様に扱われているだろうか。 残念ながら黒人差別の事件のニュースをたびたび目にする。 さらに白人至上主義的な新大統領が誕生してしまい・・・。 アメリカの現状をニュートンらが知ったら、どう感じるだろう。

「ジョーンズ自由州」という原題が印象的。 自由で平等、それが民主主義だと思うのだが。

原案・脚本・製作まで兼ねたゲーリー・ロス監督の意気込みが伝わってきた。
重大な内容の壮大な歴史ドラマ。
上映劇場の少なさには閉口してしまったが。 観られなかった人のために、DVD化はちゃんとされますように!