【通勤読書】42:想いの欠片

<『想いの欠片』 竹宮ジン>
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この本は、偶然に『喋喋喃喃』を読んだ後、竹宮ジン作品読みつぶし期間に入った時に読みました。学生だけしか出てこない物語も素敵ですが、社会人が少しでも出てくる方を取り上げたいということで、ここでは『想いの欠片』について書いていきます。ざっくり説明すると、住宅地に佇むカフェ『Piece』に関係する女性を中心とした恋模様を描くお話です。女性だけでなく男性も登場し、当事者だけでなく周囲も含め、同性愛について踏み込んだ作品になっています。
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女子高生のミカは、家庭教師だったサヤカとの間に苦い恋の経験があります。自暴自棄になったミカを助けたのがカフェ『Piece』のマスターであるタカコで、彼女にはルームメイトのユイと学生時代に刃物沙汰の過去があり・・・という感じで物語は進行します。ミカが、ひょんなことから仲良くなってしまうミカの同級生の原田くんはゲイで、セクシャル・マイノリティ同士として友情を育んだり(一方的に懐かれたり?)もします。そして、二人が会話中に、どうして自分たちは同性愛者なのかと原田くんが問いかける場面があるのですが、「恋をするなら『女』じゃなきゃ駄目なだけだよ。多くの人が異性に恋をする。だけどそうじゃない人もいるだけの話」というミカの答えがよかったです。とてもシンプルで、本当にいい答えだなと思いました。
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この作品は原田くんの妹マユも登場して変則的な三角関係が出来たり、マスターのタカコとユイも同級生や合コン相手を挟んだドロッとした三角関係を経験していたりと、百合作品なのですがヘテロも含めた男性が結構登場します。個人的には『百合に男の人いらない派』なのですが、同性愛者の中にも自覚するまでに揺れた人もいるでしょうし、認めたくないからと揺れ続ける人もいるでしょう。社会人が登場する作品なら、なおさら男性が全く登場しない作品ばかりという訳にはいかないでしょうし、百合だけでなく、同性愛というテーマを盛り込むなら女性だけでなく男性の同性愛者の存在もあるわけで。賛否両論あるとは思いますが、百合作品に男性が登場することについては、女性二人が離れられなくなるフックとして『必要悪』なのかなと思ったりします(男性の皆さん、ごめんなさい)。 そんなこんなで、おススメです。
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(写真は著者撮影)
※今後は紙媒体ではなく、Kindleで購入後、スマートフォンで読書することが増えたため、添付写真がこのスタイルになっております。ご了承ください。

Kindle作家と会社員の兼業。AmazonKindleにて小説発売中。通勤中の読書をテーマにのんびりと執筆していきます。

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