不思議でショッキング…… 強烈なインパクトを残す映画5選

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印象に残る映画というのは、感動的な展開であったり、衝撃的なラストといった作品が多いと思います。感動できる場合、どこか温かみのある心に残るような作品で、衝撃的なラストの映画は思いもしなかった展開に対し「すごい!」と思わせてくれるもの。

今回紹介したいのはそのような映画ではなく、全体的に不思議でショッキングで、非常に強烈なインパクトを残す作品です。中には衝撃的なラストを迎える作品もありますが、それまでの展開すらも印象に残ってしまう。

決してグロテスクな映像が多量に飛び出すわけではなく、とにかく各作品が独特で不思議で、狂気を漂わせています。

今回は、そんな強烈なインパクトを残す映画を5作品ご紹介したいと思います。

『地獄の黙示録』(1980年日本公開)


(C)1979 Omni Zoetrope. All Rights Reserved.

今回紹介する映画の中で恐らく最も有名な作品だと思われます。
『ゴッドファーザー』シリーズで有名なフランシス・フォード・コッポラ監督によるベトナム戦争を舞台とした戦争映画。
本作で特筆すべきは、やはりマーロン・ブランド演じるカーツ大佐とロバート・デュヴァルが演じるキルゴア中佐という強烈なキャラクターでしょう。キルゴア中佐の狂ったような襲撃命令。マーロン・ブランド演じるカーツ大佐は登場するだけで圧倒的な存在感を放つ。
戦争とは狂気の産物であることを痛感すると同時に、この映画も狂気的。最初から最後まで、見た者に強烈なインパクトを与えること間違いなしの作品です。

『ネットワーク』(1977年日本公開)


(C)1976 Turner Entertainment Co. A Time Warner Company and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

『十二人の怒れる男』『オリエント急行殺人事件』などで知られるシドニー・ルメット監督による、近年の日本でも話題になる「視聴率」に振り回されるテレビ業界の模様を痛烈に描いた作品。
本作の見所は、徐々に狂気に蝕まれていくニュースキャスターを演じるピーター・フィンチの狂演。ここまで「狂演」という言葉がふさわしいものは少ないでしょう。
この「狂演」はアカデミー賞も評価し、第49回アカデミー賞でピーター・フィンチは主演男優賞を死後になりましたが受賞しています。
徐々に怒り、狂い、止まることができなくなる様は見る者誰しもに強烈なインパクトを残すでしょう。

『アンダーグラウンド』(1996年日本公開)


(C)CIBY2000-PANDORA FILM-MOVO FILM

本作はカンヌ国際映画祭にて最高の賞であるパルム・ドールを受賞した傑作。
役者、音楽、物語。すべてが強烈で、圧倒的な本作。
まず役者陣の演技が凄い。過剰なまでの演技は本編すべてを通して見ることができ、見る者を圧倒させてくれます。
そして、冒頭から流れ、この世界の空気を作りだす狂騒的で耳に残る音楽。この作品の強烈なインパクトの要素の一つとなっています。
ユーゴスラビアを舞台にしており、耳慣れない歴史や人物の名が登場するので舞台背景を理解するには少々難しいのですが、個性的すぎるキャラクターが織りなす物語は、そんなことを気にさせないくらい愉快で、痛快で、しかし悲しさもあるストーリーです。

『美しき冒険旅行』(1972年日本公開)


(C)1971 Si Litvinoff Film Productions. All Rights Reserved.

オーストラリアの都会暮らしの姉弟が、あることから広大な砂漠に取り残されてしまう。そんな砂漠の中で、先住民であるアボリジニの少年と出会い、言葉が通じないながらも一緒に旅をするという物語。
この、広大な砂漠に取り残されてしまった「あること」から物語は始まるのですが、それがまた強烈な出来事。
そんな強烈な始まりからアボリジニの少年との出会いへ。都会暮らしの二人と先住民の価値観の違い、文明社会と自然社会の違いをこれでもかと映像として映し出します。
自然に触れること、食べるということ、当たり前と思っていることが、どのようなものなのかを改めて感じさせます。
その強烈なメッセージ性のある映像と共に、美しいオーストラリアの景色が見れることもこの映画の魅力の一つです。

『籠の中の乙女』(2012年日本公開)


(C)XXIV All rights reserved

今回紹介する中で最も新しい作品ですが、最もショッキングな映画かもしれません。
ショッキングというとグロテスクな映像が流れるのかと思われるかもしれませんが、それはほんの1カットだけ。そんな1カットでさえも、グロテスクという表現ではなく、ショッキングという言葉がふさわしいかもしれません。
外の世界に出ることを許されず、家の中だけで生活している三人の子どもたちを描いた作品なのですが、とにかく狂気。
言葉、男女のこと、外のこと。すべての教育がおかしい家庭。「狂っている」という言葉がふさわしく、その教育が生んだものは一つひとつの場面を狂気に満ちさせ、強烈なインパクトを残します。
その狂気的な本作は、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門を受賞し、アカデミー賞外国映画賞にもノミネート。
まさに「ある視点」から、見ていただきたい作品です。

※画像は写真ACより

フリーランスのライターです。