【通勤読書】39:合法百合夫婦本


<『合法百合夫婦本』 伊藤ハチ>

*****
この本は、Pixivのお知らせで知って読みました。作者の方がPixivに部屋を持っていて、以前からチェックしておりまして(特にメロン〇ンナちゃんとロール〇ンナちゃんの話の大ファンです※一部伏字)、そこで新刊のお知らせがあって知りました。元は同人誌で発表されたものらしいのですが、私は同人関連のイベントに行ったことがありませんし、電子書籍で発表されているもの以外の同人誌を購入する機会もないので知りませんでした。物語をざっくり説明すると、頭に獣の耳を持ったヒトに近い住人が、ヒトに近い生活をしている遠い国で夫婦となった『ハル』と『先生』が、なんだかんだする話です。ハルは主婦、先生は小説家で、その国では同性同士の結婚が許されています。
*****
父親を早くに亡くし、母一人子一人で育ったハルに、叔父が縁談を持ってきます。相手は学歴なし、財産なしで若くもなく(三十一歳)、収入が不安定な小説家。いき遅れている自覚のあるハルも失礼だと思うような相手なのだが、相手の写真を見て心が動き、夫婦になって・・・という感じで物語は進行します。三十一歳は若いと思いますが、この世界では違うようです。先生より若いハルは二十代半ばくらいでしょうか。こちらも断然若いのですが、いき遅れている扱い。同性婚は珍しくないけれど、結婚適齢期は結構、厳しいみたいです。頭についている獣の耳が可愛いです。ヒトの耳も付いているので、獣の耳も入れたら一人が四つの耳を持っている状態。獣の耳は聴力を増大させているというより、感情を表しているようです。ハルの耳は表情にシンクロするように開いたり折れたりします。反対に、先生の耳は、ほとんど動きません。常に冷静な先生と同じく、先生の獣の耳も動きが少ない。注目して読み直してみると、先生の耳が動いたのは三回。いいシーンでお預けを食らった時に二回、うたた寝から起きるタイミングを逃した時に一回でした。先生の耳が動くのは照れた時限定のようです。そして、先生を照れさせることができるのは、ハルだけ。私は愛情を込めつつ断言したい。ハルと先生はバカップルです!
*****
ハルと先生は大人なので社会人百合なのですが、舞台になる国では同性婚が合法なので、「結婚したいけど、できない」という葛藤が初めからありません。この設定は斬新だなと思いました。ハルに見合い話が来た時、彼女の母親が断ろうとしたのですが、その理由は相手が娘と同性である女性だからではなく、収入が不安定などいいところがひとつもないところが心配だというものでした。しかも、見合い写真を見た娘のハルが「格好は男装だけど、女の人だわ・・・」と気にしたのとは逆に、母親の方が「ああそうだよ。今どき、同性婚なんて珍しくないだろ」と答えるのです。同性愛は禁断でもなんでもないし、同性婚だってただの結婚だよ、という世界が素敵でした。できれば続きが読みたいです!  そんなこんなでおススメです。
*****
(写真は著者撮影)
※紙媒体ではなく、Kindleで購入後、スマートフォン、タブレットで読書することが増えたため、添付写真がこのスタイルになっております。ご了承ください。

WEB作家と会社員の兼業。AmazonKindleにて小説発売中。わりといい年齢の社会人女です。電子書籍で百合作品を読む人を少しでも増やせたらと活動中。ご贔屓に。

ウェブサイト: http://metroswitchcompany.jimdo.com/

Twitter: metroswitchco