【通勤読書】37:くちびるためいきさくらいろ


<『くちびるためいきさくらいろ』 森永みるく>

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この本は、はっきり言います。『ジャケ買い』です! 「なにこれ! 雪の降る日に寒さで赤く染まる指先を絡めながら、瞳を閉じておでこをくっつけあうって、どういうことよ?」と、なりまして。迷わずポチッとしてしまいました。物語をざっくり説明すると、幼馴染なんだけど別々の高校に進学した『奈々』と『瞳』の二人が、なんだかんだする話を主軸に、他の生徒や先生が、なんだかんだする短編も一緒にまとめられています。短編も素敵でした。特に、『天国に一番近い夏。』という保健室の話が好きなのですが、今回は奈々と瞳の二人について書いていきます。ちなみに2巻で完結しています。
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高校一年生の奈々は、小中学校でずっと同じクラスで幼馴染で親友だった瞳と高校で離ればなれになります。ずっと一緒だと信じていた瞳が、自分と同じ高校に進学しなかった理由が分からないままの奈々は、ある雨の日に瞳と再会して・・・という感じで物語は進行します。最初の話で、一緒に行こうと約束していたのとは別の高校に進学した瞳の行動が、自分への恋心を封印するためだと知った奈々は後悔でいっぱいになりながらも、自分に正直になっていきます。話が進むにつれて、夢に見てしまうほどのキス以上の性欲に戸惑う奈々が可愛いですし、キス以上に進みたいけど奈々を大切にしたい瞳も可愛いかったです。鈍感な奈々と少しへたれな瞳に、「ああ! もう!」となりました。個人的に一番好きな話は『月に願いを』です。ベンチのシーンがとてもよかったです。瞳の指使いも勉強になりますが、奈々の表情に注目してほしい。これはもう、たまらない! こんな顔されて、耐えられる人なんているんでしょうか? ・・・私、無理(断言)。
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女子高生が恋と友情と部活と勉強をバランスよくこなすのは、かなり大変ですが、恋の相手が同性の場合、今の社会ではさらにバランス感覚が必要。上手に嘘をつかなければ、途端にいろいろな枠から外されてしまう怖さがあります。奈々と瞳も、その辺りの壁にぶつかるのですが、壁に対する行動や心の動き方が丁寧に描かれていて読み応えがありました。今、まさに「女の子を好きになっちゃった・・・どうしよう」な女子高生がいたら、この本を、そっと彼女の膝の上に置いて去りたい。そんな妙な行動をしてしまいそうなほど、いい話でした。 そんなこんなでおススメです。
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(写真は著者撮影)
※紙媒体ではなく、Kindleで購入後、スマートフォン、タブレットで読書することが増えたため、添付写真がこのスタイルになっております。ご了承ください。

WEB作家と会社員の兼業。AmazonKindleにて小説発売中。わりといい年齢の社会人女です。電子書籍で百合作品を読む人を少しでも増やせたらと活動中。ご贔屓に。

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