【4/16公開】『グランドフィナーレ』人生においての最後とは


パオロ・ソレンティーノ監督の最新作
『グランドフィナーレ(原題 YOUTH)』が4/16全国順次ロードショーする
今回は一足先に観賞してきたのでレビューしていく。

グランドフィナーレってどんな映画?

世界的音楽家のフレッドは年老いてか作曲も指揮も引退し、アルプスの高級ホテルで悠々自適にバカンスを過ごす。
フレッドの60年来の友人、映画監督ミックも同じくアルプスの高級ホテルに滞在するがミックは現役にこだわり、新作の構想をアシスタントと共に練っている。
そんな中、フレッドの元にある依頼が舞い込む。英国女王からの出演依頼だ。
これをフレッドは頑なに断る、その理由には娘レナにも言わないある秘密が・・・

残り少ない人生の中、自分は何をし、何を残し、どうなるのか。
そこから見つけ出した答えとは?
その先にある「フィナーレ」とは?

映画の感想

感想としてはこれぞまさに「映画」である。そんな作品だった。
映画とは「総合芸術」だと皆口々に言う。まさにその通りであると自分も思う
ストーリー、構図や演出などのアート的観念、作品を彩る音楽、そして俳優たちによる演技
この『グランドフィナーレ』はこれら全てが良く出来ており、それらが混ざり素晴らしい作品になっていた。

この映画の良いところは何と言っても映像美である。
スイス、ヴェネチア、ロンドン、ローマの雄大な自然、ゴージャスなホテルで撮影を行い、役者を際立たせる。
そして何と言っても役者と背景が合わさり一つの空間になっている。それが非常に美しい。
それだけでも大満足な内容なのにパオロ・ソレンティーノ監督の魅せ方が光る。
この作品は明るい所から暗い所へ遠方から近方へと画面の魅せ方がチラつかずに心地よく、見ていて飽きない。
唯一と言っていい難点はストーリーのスローテンポさだ。
老人の作品だからスローテンポになるのは仕方ないというか忙しないジジィにすると一気にコメディ色が強くなってしまう。
故にスローテンポなこの作品、飽きてしまう人もいるかもしれないが先ほど述べた通りこの作品の映像技法はそのネックとなるスローテンポを上手くカバーし作品を調和させている。そこも注目してもらいたい。

ストーリーに関してはこの作品は「過去」が肝になっている。
主人公フリッドがバカンスを送る高級ホテルには一線を退け、余生を謳歌したり、充電期間に使う者もいる。
そのほとんどが過去に少しばかりの因縁がある。
一発当てたが、そのキャラクターのイメージが定着してしまい自分から抜け出せなくなった俳優
現役時代素晴らしい成績を収めたが引退後は醜く太り、介護なしでは生活できない元サッカー選手
ある理由で夫婦仲が冷めきり、会話が一切なくなった老夫婦
と様々な理由の過去を持つ個性豊かなセレブたちが登場する。

音楽についてはやはり音楽家が主人公なだけあって、音楽もよく映えていた
面白いと思った点は、一見高尚な作品に見えるが劇中にはEDMやヒューマンビートボックスなどの今風の音楽も使用されていた。

演技に関してはやはりベテラン俳優の存在感が凄かった
フレッド役を演じたマイケル・ケインはおんとし83歳の大ベテラン、心の奥に迫り来る演技に注目を。
個人的にはマッサージ師役のルナ・ミヨヴィッチのミステリアスでどことなく艶かしい雰囲気が好きだった。

超個人的な感想

この作品に登場するホテルは「天国(死)への中間地点」だと解釈している
過去と決別出来ず、解決も出来ずにいる登場人物たち
ホテルに泊まるのもただの現実逃避、余生を謳歌と言ってもただ人生の浪費をしているだけである。
かといってそこから抜け出せるほどの意思も理由付けもなく、ただただ時間だけが過ぎ、死を待つだけ
これはある種のモラトリアム作品である。先のない将来に怯える者たちの映画であると思う。
そこで悩み続けたその先に人生の「フィナーレ」が待っているのだ。
非常に考えさせられる映画だった。

ぜひ皆様にも観ていただきたい
《グランドフィナーレ公式サイト》http://gaga.ne.jp/grandfinale/

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