【通勤読書】29:傷心

<『傷心』 ユキムラ>
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この本は、人にすすめられて読みました。『傷心』『きつね姫』『おにあいのわたし』『Armet』『あさってにはハワイ。』『あさってまでハワイ。』『ねがい』『「傷心」番外篇 告白』の8作からなる短編集です。個人的には『おにあいのわたし』のキスシーンが非常に好みなのですが、今回は大人の女性二人の物語で表題作でもある『傷心』と『「傷心」番外篇 告白』について書いていきます。
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振られたばかりで寂しかった麻矢は、バーで同じように寂しそうに見えたエリに声を掛けます。「遊びでいいなら」という条件付きで二人の関係は始まり、二年が経って・・・という感じで物語は進行します。麻矢の過去については明らかにされないのですが、エリには付き合っていた彼女に「子供が出来た」という理由で振られた過去があります。女性同士の恋愛の場合、同性愛者なのか、それともヘテロでありながら女性を好きになってしまったのかでエンディングは変化するかもしれません。同性愛者×同性愛者の場合、目を光らせておく範囲は同性だけですが、同性愛者×ヘテロの場合、「元々、女性が好き」なのではなく、「好きになった相手が女性だった」ということなので、目を光らせておく範囲は同性だけでなく、異性も加わります。そして、エリの場合は彼女を寝取られただけでなく、孕まされているというエリにとっては最悪の展開になっています。
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交際している女性同士の間で交わされる、「子供が出来た」という言葉は、最後のお知らせと同じなのかもしれません。合意していない性行為など、彼女が望んでいない状況で妊娠しているのなら、助けることができるかもしれない。でも、望んでいる状況で妊娠されているのなら、もう出来ることはひとつだけ。別れてあげることしかありません。その辺りを思うと、エリの傷心の深さに震えてしまいます。そして、エリが心に抱えた傷が、麻矢と付き合うことでどう変化したのかは、本編で確認して頂ければと。 そんなこんなでおススメです。
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(写真は著者撮影)
※紙媒体ではなく、Kindleで購入後、スマートフォンで読書することが増えたため、添付写真がこのスタイルになっております。ご了承ください。

WEB作家と会社員の兼業。AmazonKindleにて小説発売中。わりといい年齢の社会人女です。電子書籍で百合作品を読む人を少しでも増やせたらと活動中。ご贔屓に。

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