ドナルド・トランプとはこんな人

  by あおぞら  Tags :  

オリンピックが開催される年にアメリカ大統領選挙があります。今回の選挙の目玉は共和党の大統領候補、ドナルド・トランプです。この毒舌で知られる人物は一体何者か?と日本のメディアでも大きく取り扱っていますが、ちょこまか『アレレ?』と思われる誤情報も流されているようですね。

上記写真右の上品なピンクのワンピースの女性は3度目の妻のメラニア夫人。英語は今も訛りを残したスロベニア出身のモデル。なぜか日本のマスコミでスーパーモデルと紹介していたものがありましたが、スーパーモデルには足元にも及びません。また左側の女性は最初の妻、イヴァナとの娘のイヴァンカで、こちらも複数の肩書にモデルも含まれていますが、ちょっとどうかな?という感じですね。イヴァンカ名義でファッションブランドやアクセサリー、香水等を扱っているので、自己ブランドの広告塔としてのモデルとは言えるのでしょうが、職業としてのモデルとすればちょっと誇張しすぎですね。

ドナルド・トランプ自身は本職は不動産、ホテル経営、カジノ運営等などが主流です。人物が個性的ですし、まさにアメリカンドリームの主といったところが、皆の注目を得るのです。そもそも親もニューヨークで不動産を手掛けており裕福ではありましたが、2代目の息子の代でさらに強固な成功をおさめました。ちょっと変わり者風情がありますが、優秀な人であることを証明できるペンシルバニア大学大学院のウォートン・スクールに進んでいますので、知的レベルは抜群です。この人の偉いところは賢いのに、言動が多少バカっぽく見えるのです。しかし、根本は頭脳明晰ですから底力は確実にあるのです。

毒舌で注目されるのは本人の作戦でしょう。今に始まったことではなく自身が書いた自叙伝にもポール・マッカートニーが前妻と結婚する前に、20歳以上も若い妻を迎えるにあたり、婚前契約(離婚した場合の財産分与の予めの取決め)はしているのか?とたずねるとポール・マッカートニーは「僕たちは愛し合っているのでそんなものは必要ない!」と答えたこと引き合いにだし、結果的にその妻と離婚した時に財産分与で泥仕合を世間にさらしたことを皮肉たっぷりに書いていました。

トランプは毒舌と言われますが、実は極めて当たり前のことを当たり前に口にしていることが多く、裸の王様に対して「王様は裸だ!」と言ったような少年の”口”を中高年になってももっていると言ったほうが正しいかもしれません。

日本のニュースでトランプはどんな人であるかをいろんな人が語っていますが、アメリカに長年生活している私が私なりにお伝えするとしたらデヴィ夫人的な扱いと言えるのではないかと思います。デヴィ夫人の芸能活動は副職みたいなもので、マスコミに登場することでご自身の宣伝にもなるし、仕事が円滑に進むはずなのです。インドネシア大統領の元夫人であったのは事実ですし、その肩書を活かしてビジネス展開はプラスに働きます。トランプもマスコミに登場し、また刺激的な発言で物議をかもしだし注目されると、それだけでトランプの宣伝効果があるのです。

トランプの大統領選は何も今回が初めてではありません。前回も共和党の大統領候補として立候補はしていますが、結構あっさりと撤退したので、てっきり目立ち屋だけだと思っていたので、まさか今回ここまで勝ち進んでいくことは想像できませんでした。トランプは大金持ちというイメージが強く、本来候補者が悩む選挙資金は、寄付はいらない、自腹でまかなう姿勢も成功者の証です。

しかし、人生順風満帆だけでなく、何度となく倒産危機を迎えてそれを乗り越えてきた強さと実績があるのです。80年代後半にシャトル便を買収した時には心底驚きましたが、結果的に航空業界では成功をおさめず大赤字を作りました。兎に角、果敢にビジネスに挑戦しています。娘のイヴァンカ同様、自身の名前をつけたブランドをメーシーズで売り出しファッション界にも挑みました。

テレビにも出演するし、映画にもカメオ出演しています。2002年公開でサンドラ・ブロック主演の『トゥー・ウィーク・ノーティス』では自身の出演とともに、自宅を映画のロケに提供しています。もちろんに言うに及ばず豪邸です。

ビジネスにエンターテイメントに活躍するドナルド・トランプは新しい分野の政治家として大統領になれるのか?

選挙は水物、だから可能性は十分にあるのです。世間はトランプが大統領になったらアメリカも終わりだと言われていますが、政治経験があるかないかはあまり重要性はないかもしれません。オバマ大統領は確かに上院議員から大統領になりましたが、わずか一期目にして大統領に選出されています。ですから政治経験はあるといえばあるのですが、たいした経験ははっきり言ってないのです。

トランプの毒舌が問題視されていますが、これはあくまで選挙戦の作戦だと思います。実際、ビジネスの猛者として渡り歩いている人間は変わり身が早くないと生き残れないのです。他国をぼろかすにこき下ろしても、自分が大統領の立場になれば、きちんとその職務は果たすでしょう。

とにかく選挙はわかりません。州ごとに選挙結果がでるアメリカは独走している候補者がいると、意外に番狂わせがあり同情票とは言わないけれど他州で巻き返しがよくあります。

世間がトランプを話題にするのは、何かの変化が欲しいのではないかと思います。今まで通りに州知事から、また上院議員から大統領になる道とまったく違う、横入りのドナルド・トランプがもし大統領に選ばれることがあれば、新しい風というか、波というか、まったく違った時代になるのは確実だと思います。

それが良くなるか、悪くなるかはわかりません。でも、現状を変えたいアメリカ国民の心のマグマの爆発がトランプを大統領に推す力になっているのではないかと推測します。

画像:flickr from YAHOO!
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