「♯保育士辞めたの私だ」 保育士が変えられることと、変えられないこと

  by yappi  Tags :  

Twitterでは「#保育士辞めたのは私だ」というハッシュタグのもと保育士の待遇改善を求める声が集まっています。保育士の切実な給料の額や残業の実態も挙げられてる一方で、中には人間関係の愚痴や保育のやり方次第で解決できるのではないかと思われるようなつぶやきも見られます。
それらの記事を読むたびに、元保育士として保育士の構造的な労働環境の改善は必須だと思うと同時に、今いちど保育士自身も自分達の保育を見直す必要があるのではないかと思うのです。

国や経営者に求める構造的な労働環境の改善

では、保育士には変えられないところで、変えなければならないところは何か。それは主に3つです。

1番目は給料。多くの人が指摘しているように、乳幼児期の子どもの命を預かり養護と教育を担う保育士の給料は、平均年収に遠く及ばない現状があります。有無を言わさず国が予算を確保し、なによりも優先して改善すべきところです。

2番目に、人員配置。現在、時間帯などの制限は設けられているものの無資格者も有資格者と同様に配置にカウントするよう緩和政策がとられています。育児経験者やある程度理解のある幼稚園や小学校教諭が保育現場に増えること自体はいいことだと思います。しかし、現在のとにかく人の確保の為の緩和は、現場の保育士にとっては負担が増えることになると予想されます。それは、無資格者には目の前のこどもとただ遊ぶことを任せるしかなく、その他のより専門的な知識と経験が必要な仕事は結局有資格者が担うことになると思われるからです。現場の経験から言うと、いい保育を実践する為には国の配置基準の有資格者の人数は変えず、+αで無資格者も配置するような基準にするべきだと思います。人員配置に余裕がなければ、保育士が有給取得が取りずらい状況や(私自身も有給はほとんど消化もできずに退職しました)満足に休憩をとったり、会議や研修をする時間もとれない状況は変えられません。

3番目に、保育をする上で必要な物的環境の整備です。これは何かというと、例えばパソコンや保育教材などの整備です。私が以前勤務していた園でもパソコンは保育士6人に1台の割合。書類作成時にはどう頑張ってもパソコン待ちになっていました。書類の中身の簡素化とともに、必要な部分はIT化も早急に進めていくべきです。また、保育園増設ラッシュにおいて、園は立てど最低限の室内遊具やおもちゃが揃っていない現状もあります。保育士の負担が増える一因であり、経営者が責任を持って揃えるべきです。

保育士が保育から変えられること。

では、今の保育士不足の原因と言われる中で、保育士自身が変えられることとは何でしょうか。
まず挙げられるのが、人間関係。女同士の泥々とした足の引っ張りあいや、新人いじめ。これらを保育士不足の原因として訴えても社会の共感は得られるはずがありません。そんなくだらないことは、今すぐに辞めましょう。
それから、過度な手作りや手作業です。例えば、壁面やおもちゃ。こどもとともに作り上げればとても有意義な保育だと思いますが、保育士が持ち帰って作る手作りの可愛いい壁面は必要でしょうか。こどもに何の学びがあるのでしょうか。ピアノも時にはCDでもいいのではないでしょうか。何時間も残業して練習し、生演奏にこだわらなくてはいけませんか?また、こどもの製作準備も然りです。大人にとって見栄えがいい、満足するものを追求するよりも、目の前のこどもにしっかりと寄り添う方が大切な保育士の仕事ではないでしょうか。私も自身の保育士時代を振り返ると、大切なことを見極め取捨選択すれば、不必要な残業を減らせる余地があったと反省します。

最後に

私は独学で保育士資格を取得、私立認可園で3年間働いていました。今は現場を離れてはいますが、保育士という職業の幅広さと奥深さにやりがいと矜持を持っています。いつかは戻りたいと思う私のような保育士は、きっと多いはずです。この先、保育士という職業の尊さが社会的に認められ、保育士自らも向上心を持ち保育をしていく世になることを願います。

山梨県出身。私大総合政策学部に在学中に保育士免許取得、卒業後3年間認可保育園にて働く。現在1児の母。得意分野は、海外旅行・保育・教育・育児など。